写真展告知

小池貴之写真展:Домой - シベリア鉄道 -

(Roonee 247 Fine Arts)

「ダモイ」。旅の途中、私は何度もこの言葉を聞き、少しドキッとしていた。シベリアに抑留された人たちが聞いたという言葉だったからだ。日本とロシアの間には戦争の記憶や領土問題など今もお互いの関係に隔たりがある。北海道で育った私はそれを強く感じていた。

未知の国ロシアを知りたい。その好奇心からシベリア鉄道で旅をすることにした。ウラジオストク〜モスクワまでの約9000kmの区間を何度も乗り降りし、車内の人たちと話し、人や景色を撮った。出稼ぎ労働者、エンジニア、軍人、商人、旅人、様々な人と仕事や文化、政治、歴史などをグーグル翻訳越しに語り合った。彼らは饒舌で気さくで自由に話す。ロシアは閉鎖的という私の想像はひと昔前のステレオタイプだったのだろう。

「Домой(ダモイ)」。これは故郷や家庭、帰るということを意味する言葉だ。親しくなると彼らはその言葉を多用し、自慢の風景や家族や友人の写真を嬉しそうに見せてくる。君のことも知りたいと根掘り葉ほり聞いてくるのも微笑ましい。鉱山の労働を終えて実家へ帰る途中の男は言った。

「この鉄道があるから故郷へ帰ることができる。家族に会うことができる。君にも会えた。故郷を見せたい。」 遠くから来た私を分け隔てなく受け入れ知ろうとする彼らの姿に感動した。気がつくと、私と彼らの間にある汚れた窓は取り払われていた。

写真展情報

展示概要

2018年〜2019年にかけてロシア・シベリア鉄道に乗車し撮影しました。シベリア鉄道を使って生活する人々や車窓の景色から、彼らと私の故郷に対する想いを描写しています。

カメラはライカM4-P、レンズはJupiter-3、Lomography New Jupiter-3+、Jupiter-12、Russar MR2を使いました。

作者自ら暗室でバライタ印画紙にプリントした銀塩モノクロ作品約28点を展示します。プリントおよび今回の展示の内容をまとめた写真冊子(Zine)の販売も行います。

会場・会期

会場

Roonee 247 Fine Arts Room 1
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビル 4階

開催期間

2020年9月1日(火)~2020年9月6日(日)

開館時間

12時00分~19時00分
※最終日は16時00分まで

休館日

月曜

入場料

無料

作者プロフィール

小池貴之(Kino Koike)
1999〜京都、2005〜東京を拠点に写真作品を制作
1980 北海道函館市生まれ
2005 立命館大学大学院 理工学研究科 修士

・個展
2003/11 モノクローム(Photo Gallery ississ 京都)
2005/03 現れた瞬間(Photo Gallery ississ 京都)
2019/02 街と体温 -香港-(Paper Pool 東京)
2020/09 Домой -シベリア鉄道-(Roonee 247 fine arts 東京)

・作者 Web/SNS -
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