写真展告知

前川朋子写真展:涯ての灯火

富士フイルムフォトサロン大阪にて 10月2日より

(c)Tomoko Maekawa

富士フイルムが2019年に開催した企画写真展「平成・東京・スナップLOVE」(東京は6月、大阪は7月)において、一般公募より選出された4名の写真家による個展がスタート。先行した東京会場の2展に引き続き、大阪会場での展覧会がはじまる。同会場での展覧会は前川朋子さんの「涯ての灯火」と阪東美音さん「メロウ」が同時開催となっている。両展覧会ともに、会期は10月2日~10月15日にかけて。

総勢11名の写真家が捉えた“平成”の“東京”が紹介された企画展「平成・東京・スナップLOVE」と連動し、ポートフォリオプレビューと題して、ひろく一般に作品の持ち寄りを募った作品選考会が実施。選考会を通じて選出された写真家4名に、個展の開催権が贈られていた。約1年の制作期間を経て、このほどファイナリストによる展覧会の開催となった。

「涯ての灯火」概要

2015年からわたしは、自分の娘とその周辺の景色を撮影し続けてきた。

些細な日常の出来事も、娘は、忘れてしまいたいことさえも鮮明に覚えていて、突然それに苛まれることがあるという。当のわたしは、忘れたくないことでもすぐに忘れていく一方だ。

同じ時間を過ごしているはずなのに、私たちの間には互いに相容れないずれ、眼に見えない「裂け目」のようなものがあるように思う。

写真を知り、より深く眼差す試みの中で、些細な日常の写真がこの「裂け目」のプラットホームとなり、他人同士の経験と記憶を育てるのかもしれない、という気づきをえて、小さな灯火が自分の中に灯されていく、そういう感覚をおぼえた。

この灯火が、まだ見知らぬ地平を、ささやかに照らしうることをいつも信じている。

写真展情報

選評:大西みつぐ氏

「葛藤」は写真作業の途上でさらに大きくなっていくものだ。しかし、個に立ち返り「世界」を見つめていく自由をも同時に獲得していくことになる。さらに「世界」はこちらをも凝視する。前川さんの写真は「我が家のアルバム」には残らない互いの呟きやもどかしさを溢れるほど積み込み、私たちがこの時代に生きねばならない確信を提示してくれている。
それは「愛しさ」という感情が地味ながらも着実に未来を照らしているということ。そこに向かって歩くしかないということ。

写真家プロフィール(敬称略)

前川朋子(マエカワ・トモコ)
1972年:東京都生まれ。
1998年~:徳島市在住。
2015年~:フォトアーキペラゴ写真学校に参加。

概要

会場

富士フイルムフォトサロン 大阪 スペース2
大阪府大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア1階

開催期間

2020年10月2日(金)~2020年10月15日(木)

開館時間

10時00分~19時00分
※10月8日(木)および10月15日(木)は14時00分まで。入館は終了10分前まで

休館日

会期中無休

入場料

無料