写真展告知

小林修写真展:司馬遼太郎「街道をゆく」の視点 歩いた風土、見抜いた時代

白鬚神社(滋賀県高島市) 写真:小林修(朝日新聞出版)

FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)では、2019年11月1日(金)から20日(水)まで、作家・司馬遼太郎の世界を撮り続けている小林 修 氏の写真展を開催いたします。

小林修氏は「週刊朝日」の人気連載「司馬遼太郎シリーズ」の写真を13年にわたり担当し、作家・司馬遼太郎の作品世界を写真で表現しつづけているカメラマンです。小林氏は生前の司馬氏に会うことはありませんでしたが、司馬氏の連載『街道をゆく』の最後の担当であった村井重俊氏とともに司馬作品ゆかりの地を取材し、その原風景を写真で表現してきました。

『街道をゆく』は1971年から、司馬氏が亡くなる1996年まで、25年にわたり「週刊朝日」に連載された司馬氏のライフワークともいえる、紀行文学の名著です。日本人はどこから来たのか、日本はどのような歴史を辿ってきたのか、その文化の源流はどこにあるのか。司馬氏の歴史と風土を訪ね歩く旅は、国内は北海道から沖縄、さらに海を越えて、アイルランドやオランダ、モンゴルなどにまでおよびました。同作の中で、司馬氏の思索は時空を自在に行き交い、時代を鋭く見抜き、また『国盗り物語』や『竜馬がゆく』『燃えよ剣』『坂の上の雲』など小説作品の世界とも有機的なつながりを見せます。司馬文学のエッセンスが凝縮されている『街道をゆく』は、小林氏の撮影でも大きな手掛かりとなっているといいます。

本展は、小林氏が長年にわたり撮り重ねてきた膨大な写真群の中から『街道をゆく』をテーマに厳選した約90点を展示いたします。『街道をゆく』文庫版の表紙や、「週刊 司馬遼太郎」シリーズで多くの人に親しまれてきた作品の数々を「宗教」や「言葉」など、さまざまな切り口で再構成し、新たに制作した銀塩プリントで展観いたします。感覚を研ぎ澄ませ、現代の風景の中に司馬作品の世界が立ち上がる瞬間を、明快に、そして繊細にとらえた写真群は、時代を超え、司馬文学の世界をいきいきと今日によみがえらせるものです。小林氏の視点が、司馬氏の視点に重なる瞬間、その精神までをも浮かび上がらせる写真たちが、司馬作品の世界にもう1つの扉を開くことでしょう。

今なお不動の人気を誇る作家・司馬遼太郎の世界、そして、写真が生み出す『街道をゆく』の新たな魅力を、どうぞご堪能ください。

写真展情報

黒崎教会(長崎市上黒崎町) 写真:小林修(朝日新聞出版)
モンゴル・ゴビ砂漠 写真:小林修(朝日新聞出版)
奈良・若草山 写真:小林修(朝日新聞出版)

FUJIFILM SQUARE

開催期間

2019年11月1日(金)~11月20日(水)

開催時間

10時00分~19時00分(入館は18時50分まで)

所在地

東京都港区赤坂9-7-3

休業日

会期中無休

ギャラリートーク

11月9日(土)13時30分~15時00分
11月10日(日)13時30分~15時00分

富士フイルムフォトサロン 大阪

開催期間

2020年4月3日(金)~4月22日(水)

開催時間

10時00分~19時00分

所在地

大阪府大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア 1階

休業日

無休(年末年始を除く)

作者プロフィール

1966年、群馬県に生まれる。1990年、立教大学英米文学科卒業。同年、朝日新聞社に入社。出版写真部で「アサヒグラフ」「週刊朝日」などの撮影を担当。主な展覧会に「司馬遼太郎さんの歩いた道」展(画家・安野光雅氏との二人展、新宿紀伊國屋書店・丸善丸の内店・桑原史成写真美術館、2007年)、「小林 修写真展 司馬遼太郎の世界」(朝日新聞東京本社2階コンコースギャラリー、2018年)など。2003年、2017年、2018年、2019年、日本雑誌写真記者会賞最優秀賞を受賞。現在、朝日新聞出版写真部長。