写真展

くすのきりょうへい写真展「雨溝の生態学 ~選ばれなかった風景~」

(オリンパスギャラリー)

都市でスナップしていると、高層ビル群の足元で雨溝に架かったグレーティングの隙間より、妙に元気な植物の群が顔を出しているのに気がついた。溝の中にカメラをねじ込んで撮影すると、見た事がない「風景」に思わず驚いた。それから道行く人々に怪しまれながらも、雨溝を見つけてはカメラを突っ込み撮影することが多くなった。

これらの雨溝の画像を眺めていると、ふと「風景は思想だ」と言う日本画家 堀 文子さんの言葉が浮かんできた。「風景は、自然を取捨選択し、その国の人々が作り上げた作品なのだ。」と言う。では、この風景は誰の思想なのか?

…これは選ばれなかった風景ではないのか

人が自然の中に都市と言うコロニーを勝手に作りあげるのならば、そこに自然が自分の流儀で侵入してくることもあるだろう。そして、人がこの植物群に気を留めた時、何の感覚もなく無造作に削り取ってしまうのではないか。おそらく選ばれることはない。公園のように、都市が自然のコスプレをして、人にこびを売っているわけではないのだから。

雨溝を撮り続けていると、これは向こう側から見た風景に見えてきてしかたがない。しかるに、時々写り込む人の姿がまるで、けもののように見えてしまう。

【オリンパスギャラリー大阪】7月1日~7月7日 くすのき りょうへい 写真展|オリンパスギャラリー大阪 写真展一覧|ショールーム・ギャラリー&サービスステーション|オリンパス

会場・スケジュールなど

  • ・会場:オリンパスギャラリー大阪
  • ・住所:大阪府大阪市西区阿波座1-6-1MID西本町ビル1階
  • ・会期:2016年7月1日(金)~7月7日(木)
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

作者プロフィール

・1956年 大阪に生まれる。
・中学生の頃、祖父より万国博覧会の入場券と、お古のカメラ、オリンパスPENをプレゼントされ、写真に興味を覚える。
・高校生の時、一眼レフカメラが欲しくなり、1年間のアルバイトの末、発売されたばかりのオリンパス M-1を入手する。このカメラは高校から大学の生活のすべてを記録してくれた。
・1980年 大学を卒業して仕事に追われ写真への興味を失う。
・2014年 オリンパスギャラリー大阪で玉利祐三氏の個展に出会い指導を受け約30年ぶりに写真を撮り始める。
・2015年 2月 オリンパスプラザ大阪オープンフォトスペースにて写真展「Art by Art-filter Photo Exhibition by the tamari group」でグループ発表。
・2015年 6月 豊橋市市民文化会館で開かれた「佐久間駿氏アンプ試聴会」においてミニ個展「失われた音を求めて」を併催。
・2015年 6月 御苗場 PHOTO SESSION KANSAI 2015での組写真において第2位。
・2015年7月 オリンパスプラザ大阪オープンフォトスペースにて写真展「Art by Art-filter Photo Exhibition 2」でグループ発表。
・大阪府豊中市在住