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ソニー、4,240万画素フルサイズコンパクト「RX1R II」【作例あり】

光学ローパスフィルターの“効き”を変更可能

ソニーは、有効約4,240万画素の35mmフルサイズセンサーを搭載したレンズ一体型デジタルカメラ「RX1R II」(DSC-RX1RM2)を12月中旬に発売する。

価格はオープン。店頭予想価格は税別43万円前後の見込み。

米国時間で10月14日に海外発表された製品。日本での発売が正式に告知された。

2013年7月発売の「RX1R」および2012年11月16日発売の「RX1」の上位モデル。レンズ交換式の「α7R II」と同等のイメージセンサーや画像処理エンジンを採用、さらに光学式の可変ローパスフィルターを採用するなど、機能面で大幅な強化が見られる。また、RX1R/RX1を踏襲するコンパクトな外観ながら、ポップアップ式のEVFが内蔵された。

ちなみに、RX1RとRX1は併売。ソニーのRXシリーズは今回発表されたRX1R IIを筆頭に、RX1R、RX1、RX10 II、RX100 IV、RX100 III、RX100 II、RX100の8モデルで冬商戦に臨む。

ソニーによるとRX1Rは、レンズ交換式カメラのサブ機ではなく、あくまでもメイン機としての位置付けにあるという。対象ユーザーはプロ、ハイアマチュア。撮影ジャンルとしてはスナップやポートレートに加え、周辺の描写力や解像度が求められるスチルライフのコマーシャルフォト、携行する荷物が限られる山岳写真なども対象として見据えているという。

α7R IIと同等のExmor R CMOSセンサーを搭載

前述の通り、撮像素子はα7R IIのものと同じ。35mmフルサイズの有効約4,240万画素、裏面照射型のExmor R CMOSセンサーを採用する。

最高感度は拡張時でISO102400。RX1Rと比べて3.5倍の高速読み出しも実現した。映像エンジンはBIONZ Xで、これもα7R IIと同じ。α7R IIでは発売後にファームウェアアップデートで対応した、14bit非圧縮RAW出力にも発売時から対応している。

撮像素子が変わったことで、AF関連も大きく変化した。像面位相差AFが可能になり、コントラストAFと像面位相差AFを併用する「ファストハイブリッドAF」に強化されている。RX1R/RX1はコントラストAFのみだった。

測距点数は像面位相差AFが399点、コントラストAFが25点。イメージセンサーの読み出し高速化と合わせ、AF速度はRX1R比で約30%高速になったという。

また、RX1R/RX1では省略された「AF-C」(コンティニュアスAF)も利用可能になっている。「ロックオンAF」もRX1R/RX1になかった機能。

AFエリア設定は「ワイド」「センター」に加えて、3段階から枠サイズを選べる「フレキシブルスポット」を増設。さらに、選択したフレキシブルスポットエリアとその周辺にあるAFセンサーで被写体を捉え続ける「拡張フレキシブルスポット」も備えている。

動画記録もα7R II相当に引き上げられている。XAVC S、AVCHD Ver.2.0、MP4での記録にそれぞれ対応。最大1,920×1,080/60p記録が可能になっている。

世界初「光学式可変ローパスフィルター」とは

もう一つの目玉が、イメージセンサーの前に設けられた光学式可変ローパスフィルターだ。

先行して発売されているRX1RとRX1は、RX1Rが光学ローパスフィルター「なし」、RX1が光学ローパスフィルター「あり」という違いを持つ。解像力では光学ローパスフィルターを持たないRX1Rが有利なものの、RX1よりモアレが発生しやすいというジレンマもある。

RX1R IIは光学ローパスフィルターを内蔵する。ただし「光学式可変ローパスフィルター」とすることで、被写体に合わせてローパスフィルターの効果を「オフ」「標準」「強い」の3段階から調整できるようになった。ソニーでは世界初としている。

光学式可変ローパスフィルターの仕組みは、2枚のローパスフィルターの間に設けた液晶に電圧をかけることで、撮像素子に向かう入射光束の光路を変化させ、ローパスフィルターの効果を変えるというもの。ソニーでは具体的な仕組みを公開していないが、効果なしのときは光がシンプルに進むことで解像力が維持され、効果ありの時は解像力が減じるよう光が散らされて撮像素子に向かう……といったイメージが推測される。

この光学式可変ローパスフィルターにより、モアレの出そうな被写体(衣服やビル壁など)では「標準」または「強い」で撮影することでモアレ低減を図り、一方それ以外の被写体では「オフ」に設定して解像力を発揮させる使い方が可能になる。

さらに、3段階の効果を一度のシャッターボタンで得られるブラケット設定も利用可能。被写体が静止していて、かつモアレが出るかどうか不明な場合、ブラケットを使ってみるのも手だろう。

ポップアップ式の内蔵EVFを装備。背面液晶はチルト式に

内蔵EVFもRX1R/RX1になかったポイント。これまでは外付けEVFで対応していたが、今回はRX100 IVのようなOLED(有機EL)によるポップアップ式のEVFが搭載されている。

OLEDのスペックは0.39型約236万ドット。光学系は新開発で、すべてガラス製となっている。特に接眼レンズには、ガラスモールド非球面レンズ2枚と高屈折ガラスレンズ2枚を使用。ZEISS T*コーティングも施されている。

倍率は約0.74倍(50mmレンズ換算)、アイポイントは最終光学面から約19mm、接眼枠から約18.4mm。

RX100 IVと同じく本体左手側に収納。RX100 IVではポップアップしたのち接眼部を手前に引く動作が必要だったが、RX1R IIでは必要なくなった。収納もワンステップで行える(ただし付属のアイピースカップを装着すると収納は不可)。

ちなみにRX100 IVの内蔵EVFは、サイズとドット数はRX1R IIと共通なものの、倍率は約0.59倍となっている。

背面の液晶モニターは、RX1R/RX1の固定式から、チルト可動式になった。ドット数は約122.9万。サイズは3型。明るい状態でも視認しやすいという「White Magicディスプレイ」を採用している。

Wi-FiやUSB充電も

レンズはRX1R/RX1と共通。35mm F2のZEISSゾナーT*レンズを搭載する。撮像面との位置合わせをミクロン単位で行い、「約4,240万画素の解像力を極限まで生かす」としている。

最短撮影距離は約14cm(マクロ切り換えリング0.2〜0.35m時)。絞り羽根は9枚。

RX1R/RX1になかったWi-Fi/NFCを搭載。PlayMemories Camera Appsにも対応する。

記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。UHS-Iに対応する。メモリースティックPRO-HGデュオ/PROデュオ/デュオも使用可能。

バッテリーはRX1R/RX1に続き、NP-BX1を使用。RX100シリーズや、高倍率ズームのHX90Vなどと共用できる。USB充電にも対応。バッテリー使用時間は、液晶モニター使用時で約220枚、EVF使用時で約200枚。実動画記録は、液晶モニター使用時・EVF使用時ともに約30分。

本体はマグネシウムボディ。外形寸法は113.3×65.4×72mm。質量は約507g(バッテリー、メモリースティックデュオ含む)。

本革使用の専用ジャケットケース

本革を使用した専用ジャケットケース「LCJ-RXH」は、ボディケースとレンズケースからなる速写タイプ。メーカー希望小売価格は税別2万6,000円。

レンズフード「LHP-1」や、サムグリップ「TGA-1」(ともにRX1R/RX1と共通、別売)を取り付けまま装着が可能。三脚も使用できる。

また、ケースを装着したままバッテリーとメモリーカードを交換でき、USB接続やNFC操作にも対応する。前面のフォーカスつまみも利用が可能だ。

作例(ソニー提供)

作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。

その後、クリックした箇所がピクセル等倍で表示されます。

(本誌:折本幸治)