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和田剛一写真展「カワガラス~清流に生きる~」

(オリンパスギャラリー東京)

©和田 剛一

カワガラスは、沖縄以外の川の中流から源流にかけて暮らしているハトよりちょっと小さい野鳥である。焦げ茶色の体色が、遠目には黒っぽく見えるため川のカラスと呼ばれている。カラス科ではないが、分類上は、カラスと同じスズメ目に属している。スズメ目の鳥たちは、ウグイスやオオルリなど、美しい声でさえずるものが多い。しかし、カワガラスの鳴き声は、人間にとっては美声とは言えない。この姿も声も地味で、どこの川でも簡単に見ることができる普通の鳥が、実は、ものすごく特殊な能力を持っている。

それは、潜水する能力である。足に水かきがあるわけでもないのに、巧みに潜り、泳ぎ、水底を歩く。スズメ目の他の鳥たちには、決してまねのできない行動である。おかげで、エサである水生昆虫や小さな魚を独占することができる。

しかし、多大な恩恵を受けている川ではあるが、いろいろな試練にも直面する。川を生活の場に選んでしまったカワガラスは、巣も川に面した岩や滝の裏などに作る。大雨で増水すれば、流されてしまうこともある。そして、エサを独占して繁栄しても、川でしか生きられないカワガラスは、生きる場所を確保するために骨肉の争いを演じることになる。高知県の太平洋に流れ出す川を舞台に、そんなカワガラスの生活の一端をご紹介できればと思います。

(写真展情報より)

 公益社団法人日本写真協会による「東京写真月間2013」の企画展「水-いのち・恵み」のひとつ。

和田剛一写真展「カワガラス~清流に生きる~」

  • 会場:オリンパスギャラリー東京
  • 住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル
  • 開催日:2013年5月30日(木)~2013年6月5日(水)
  • 時間:10時~18時(最終日は15時まで)
  • 休館:日、祝日

(本誌:武石修)