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中藤毅彦写真展「Bucuresti Days」

(Bright Photo Salon)

ルーマニアの首都ブカレスト。

かつては、バルカンの小パリと称される程の美しい街並を誇っていたというこの都市は、独裁者チャウセスク大統領の方針で徹底的に改造され、未完の宮殿「国民の館」を始めとする巨大で無機的な建築物ばかりが目立つ殺風景なメガロポリスと化してしまった。

更に今から24年前、1989年の流血革命でブカレストは市街戦の舞台となり、街はすっかり荒廃してしまった。

そのブカレストに興味を持って僕が3度に渡り撮影に通ったのは2000年から2001年の事である。

当時、既に革命から10年の月日が過ぎていたにも関わらず、街にはマンホールに住む薬物の袋を持ったストリートチルドレンや、群れをなす野犬の姿が目立ち、1日に何度も偽警官が寸借詐欺をしかけて来る有様で、治安も経済も非常に厳しい状況にあった。

だがそうした環境の中でも人々はしぶとく、したたかに生き抜いていたのが深く印象に残っている。

その後、ルーマニアは念願のEU加盟を果たし、2006年にブカレストを再訪した時には着実に復興を果たし、日々変化を続けている事が見てとれた。

今回、展示の為に全てのカットを見直して、過渡期にあったこの時代にしか撮り得なかった混沌を自分が写していた事を再認識出来た。

12年の月日を経て、再びこの作品を展示する事は、撮影当時とはまた違った意味合いを持つのではないかと思う。

ここ数年、ブカレストを訪れていないが、この東欧の特異な都市は、新しいルーマニアの首都として現在どのような姿に生まれ変わっているのだろうか。

(写真展情報より)

中藤毅彦写真展「Bucuresti Days」

  • 会場:Bright Photo Salon
  • 住所:東京都中央区湊1-8-11千代ビル4F
  • 会期:2013年4月26日(金)〜2013年5月9日(木)
  • 時間:10時〜19時(土日祝日は18時、最終日は17時まで)
  • 休館:月曜日

(本誌:折本幸治)