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オリンパス、「デジタル一眼レフカメラからの撤退や縮小の事実無し」とコメント

 オリンパス株式会社は13日、「デジタル一眼レフカメラからの撤退、および大幅な縮小を検討している」との一部報道に対して、「そのような事実はない」とのコメントを発表した。

 12日にスポーツニッポン新聞社などが「デジタル一眼レフカメラ事業を大幅に縮小する」などと報じていた。

 オリンパスは、「今後強化するミラーレス一眼カメラと共に、デジタル一眼レフカメラについても従来と変わらず継続して行く」としている。一方コンパクトデジタルカメラについては、「高価格帯機種に経営資源を集中する」という従来からの戦略を改めて示した。

オリンパスは、2013年にミラーレス機と見られる「E-P3後継機」を発売することを明らかにしている。
「E-P3後継機」を展示したCP+2013のオリンパスブース。

 12日にオリンパスが発表した2013年3月期第3四半期決算によれば、デジタルカメラを含む映像事業は減収減益。営業利益は第3四半期までの累計で約88億円の赤字と、前年同期の約38億円の赤字から倍増した。通期では160億円の赤字になる見通し。

 決算発表会(12日開催)の音声配信で、オリンパス取締役専務執行役員 グループ経営統括室長の竹内康雄氏は、「残念ながら、映像事業については大変厳しい実績となった。経営陣としては喫緊かつ重要な経営課題と認識している。中期経営計画からさらに踏み込んだ構造改革案を検討している」と話した。

 同社によるとミラーレス機の売上は増加しており、第3四半期までの累計で前年同期比12%増の308億円、第3四半期単体では28%増の120億円となった。「もっとも注力しているミラーレス分野では、OM-DやPENシリーズの新製品が国内やアジアで売上増に寄与した。今後の事業の鍵となるミラーレスの領域において、徐々にだが成果が出始めているのではないかと見ている」(竹内氏)。なお、ミラーレス機やコンパクトといった製品カテゴリー別の損益は公表していない。

 決算発表会での映像事業についての主な質疑応答は以下の通り(音声配信による)。

 ――映像事業不振の要因を詳しく教えて欲しい。

 「精緻にどれが戦略上未達の部分であったかという分解は難しいが、中期ビジョンで掲げた、高級コンパクト、ミラーレスを中心とした事業を加速するという方向性で間違っていないと思っている。しかし、マーケット全体が非常に厳しいというのはどうしてもあると考えている」

 「(今後の)構造改革について、具体的な内容を紹介することはこの場ではできないが、今持っているインフラも含めて、商品戦略面、開発、製造、販売などそれぞれの観点からすべてに渡って見直す方向で突っ込んだ検討をいま行なっているところだ」

 ――第4四半期は営業利益が厳しい見立てになっている。前提になる数量や価格の考え方は? また、在庫が2012年9月に比べて同12月末で減っていないことに対するアクションは?

 「12月末の在庫は順調に進んでいる状況ではない。コンパクトを中心に3月末に向けて、価格面も含めて在庫の減少を図るということに違いは無い」

 ――価格については、在庫処分を優先するオペレーションという認識で良いか。

 「価格は、第4四半期については厳しく見ており、下がると見ている」

 ――映像事業の改革案はいつ頃発表するのか? よほど抜本的な改革をしなければこの状況は脱せないと思うが?

 「指摘の通り、相当のことをやろうと検討している。遅くとも本決算発表(5月15日予定)までに発表したい」

 ――次の2014年3月期の映像事業は、黒字化をめざす形ということで良いか?

 「もちろんそれを狙っていま検討を行なっている」

 ――コンパクトとミラーレスは継続し、高級路線を追求するとともに、固定費削減で損益分岐点を下げるものと理解して良いか?

 「どうしてもインフラ全体は、絞って行かざるを得ないと考えている。どういう商品でやっていくかというのは、現状では最終的に決め切れていないが、いずれにしても絞り込んだインフラに見合う商品戦略ということになってくると思う」

 ――極端な話、販売台数を今年度引き下げられた数字よりもさらに思い切って下げても利益が出るような形を指向しているのか? それとも売上増による利益増も加味しているのか。

 「基本的には絞って対応していく。売上増を前提とした計画にはならないと考えている」

(本誌:武石修)