ギャラリー冬青、渡部さとる写真展「Silent Shadow Aomori2011」


 ギャラリー冬青は、渡部さとる写真展「Silent Shadow Aomori2011」を6月3日から開催する。

前作「da.gasita」は、あたりまえで、なんでもない風景だと思っていた東北の盆地、米沢を撮ったものだった。
その写真を海外の人々は「美しい」と言ってくれた。
海外の風景にばかり目を向けていた自分に、日本の美しさを気付かせてくれたのは皮肉にも彼らだった。
日本を撮ろうとして地図を広げた。北海道から沖縄まで、こうしてみると意外と広い。
さて、どこを撮ればいいのか。

きっかけは友人の一言だった。

仕事で青森に住んだことのある彼は、「東北の中でも青森は他と違う。北海道とも違うし、何か特別なところだ」と言う。何が特別なのかと尋ねると、口の重い彼は「行ってみれば分かる」としか答えなかった。

最初の旅は10月。青森駅から五所川原を抜けて竜飛崎、そこから日本海に沿って移動を重ねた。しかし、撮れたのはたった4枚。時間をかけ、お金をかけ、期待をかけて出かけた青森に何のひっかかりも残らなかった。

「何が特別なんだ?」

冬の初めから春にかけ、津軽半島から下北半島、八戸から十和田湖、八甲田と一筆書きでなぞるように青森をぐるりと回った。

雲が幾重にも層を成して黒く重くのしかかる。
吹雪で数メートル先も見えなかった視界が突然開け、空から強烈な光がふり注ぐ。

めまぐるしく変わる空に翻弄される旅だった。

(作者コメントより)

  • 名称:渡部さとる写真展「Silent Shadow Aomori2011」
  • 会場:ギャラリー冬青
  • 住所:東京都中野区中央5-18-20
  • 会期:2011年6月3日〜2011年6月25日
  • 時間:11時〜19時
  • 休館:日曜・月曜・祝日

(本誌:折本幸治)

2011/5/20 12:32