トライウインとT.MAP、通話機能を搭載したデジタルフォトフレーム


 トライウインとT.MAPは、PHSによる通話機能を搭載したデジタルフォトフレーム「ルナ」(Luna、CPS-No.1)を25日に発売する。価格は4万2,800円(3年間の基本通信料を含む)。当初、法人ユーザー向けとしてスタートする。小売りに関しては準備中とする。

ルナ背面

 PHSモジュールを内蔵し、音声通話やメールの受信に対応した9型のデジタルフォトフレーム。祖父母に孫の写真を送って会話するといった個人ユースのほか、病院のベッドサイドに設置して入院中に家族とコミュニケーションするといった利用を想定する。ナースコールのようなシステムへも展開していきたいとする。PHSは低電磁波のため、医療機関への導入が可能となっている。

 また、地方自治体の担当者と独居老人のコミュニケーション、マンションや老人ホームの各部屋と管理室とのやり取りなどでの活用も見込む。

 本体の生産はトライウインが行ない、販売やユーザー管理などの運営をトライウイン子会社のT.MAPが行なう。通信回線はウィルコムが提供する。

 ルナに対して、PHS、携帯電話、固定電話から発信して通話が可能。また、ルナからPHSまたはルナに対して発信も可能。ただし、着信相手機はあらかじめ登録した端末1台のみとなる。ルナ側はハンズフリーで会話できる。そのほかルナは、メールやメールに添付した写真を受信して自動で表示することができる。

 独自の機能として「ありがとう」ボタンを装備した。メールや写真を送付した相手に対してお礼のメールをワンタッチで送信できるもので、高齢者などでも簡単に操作できる。安否確認が容易になるとしている。

ありがとうボタンにより、高齢者の安否確認ツールとしての機能も果たす一般の固定電話や携帯電話と比べても低価格だとする

 ルナの通話料は定額。4年目以降の通信料は6,300円/年となっている。

 本体のOSにはAndorid 2.1を採用した。ただしタッチパネルにはなっておらず、本体上部の6つのボタンですべての操作を行なう。ボタンの機能は画面に表示される。アプリケーションの追加による将来の機能拡張にも対応する。タッチパネルではないため、例えばSkypeなどのアプリは利用できないという。

側面
上部に大きめのボタンを備えたSDHC/SDメモリーカードスロットなどを装備
写真の一覧表示全画面表示
写真の管理画面メールの受信画面
PHSのため電話番号が割り当てられている

 解像度は800×480ピクセル。対応ファイルフォーマットはJPEG。内蔵メモリーは2GB。SDHC/SDメモリーカードスロットを備える(8GBまで対応)。USB端子(今後の拡張用)も備える。電源はAC100V。サイズは265×184×88mm。重量は約640g(スタンドを含む)。

 トライウイン代表取締役の中城正一氏は、「高齢化社会に対応する製品。説明書を見なくとも、ご老人でも使えるものに仕上げた。パソコンや携帯電話を使ったことがない人でも使えるものにしたかった」と簡単な操作をアピール。既存のタブレットデバイスよりも機能を絞って低価格にすることで、高齢者や主婦といった層に訴求する。

 中城氏は東日本大震災を踏まえ、各仮設住宅に設置できれば地方自治体からの一斉発信が受信でき、生活に必要な情報を得られるのではないかとした。ありがとうボタンにより、受信の状況もリアルタイムに見ることができるとする。「なんとか、仮設住宅全部にルナを置くことができないか考えている。実現すれば本当に喜んで貰えるのではないか」と語った。

トライウイン副社長の武内清氏(右)が、被災した福島県南相馬市に住む兄とルナを使って会話するデモを行なった

 今後は、より高速な回線を使用したマルチメディア対応モデルの開発を目指し、地域活性化や買い物弱者対策といったサービスの展開も行なう。

 T.MAP代表取締役の齋藤杉峰氏は、「一般のPHSや携帯電話と比べて通信料を安く抑えた。メールよりも会話で活用できる。ルナからの発信を1台のPHSに限定することで低価格を実現した。その点はウィルコムにも協力いただいた」と述べた。

齋藤氏はPHSの品質の高さも訴えていた

 トライウインとT.MAPでは、東日本大震災で被災したスペシャルオリンピックス日本のアスリートおよび関係者に対してルナ100台を寄贈した。スペシャルオリンピックス日本は、知的発達障害者へのスポーツトレーニングや競技会を実施している組織。


(本誌:武石修)

2011/4/21 19:22