アカダルス、ジャイロセンサー内蔵の電動式「全自動水平雲台」
テイクは、アカダルス(Acadalus)の全自動水平雲台「CPS-h1」とコントロールユニット「mc-1」を2月末に発売する。価格はCPS-h1本体とバッテリーユニット、チャージャー、ACアダプターをセットにした「ユニバーサルキット」が60万9,000円、mc-1とACアダプターをセットにした「mc-1スタジオキット」が28万3,500円、予備の専用バッテリーとチャージャーのセットが6万8,250円。
CPS-h1ユニバーサルキット | mc-1 |
CPS-h1は、長時間露光、HDR、パノラマ、複写撮影などに有効とする全自動水平雲台。デジタル一眼レフカメラおよび中判カメラに最適とする。同製品は海外において発売済みで、主に風景および建築写真のカメラマンが使用しているという。水平出しを機械に任せて撮影に集中できるメリットから、プロだけでなくハイアマチュアにも向ける。
アカダルスはコッホ・フォトグラフィー(Koch Photography)の製品ラインの1つで、ジナー(Sinar)の4代目社長であるカール・ヨング・コッホが「ジナー製品を検証するため」のスタジオとして2000年に設立。2005年から「新しい写真デバイスのコンセプト」を研究し、フォトキナ2010でCPS-h1として発表する製品のプロトタイプを開発してきた。
セッティング例 | 開発者のPhilipp Affeltranger氏が製品紹介とデモを行なった |
CPS-h1の単体使用時は、本体前面のOKボタンを押すことで自動的に雲台を水平位置に傾ける。可動範囲内であれば10秒以内に水平を出せるとし、逆さ吊りでも使用できる。傾きの検出にはジャイロセンサーを使用しているという。
可動範囲は水平位置から25度以下。OKボタンを取り囲む方向ボタンを押すと、任意の方向へ無段階に傾けることができる。また、コントロールユニットmc-1と組み合わせることで、水平位置から前後左右へ0.25度刻みで任意に傾けられる。傾斜精度は0.25度以下。CPS-h1のみで任意の角度に傾けることはできない。
中央のOKボタンで水平を出す | 状況を問わず瞬時に水平を出せるとする。逆さ吊りにも対応 |
反転式のカメラネジを装備 | 専用ケーブルでmc-1と接続すれば、0.25度刻みで任意に傾きを指定できる |
コントロールユニットのmc-1は、CPS-h1およびカメラの制御を外部から行なう製品。操作にはGUIとタッチスクリーンを使用する。対応機種のデジタル一眼レフカメラを接続することで、低速度撮影動画(タイムラプスムービー)の素材を容易に撮影できるとする。
カメラとはUSBケーブルで接続 | 対応機種を接続すると自動認識する |
2011年2月現在の対応機種は、キヤノン「EOS 5D Mark II」、「EOS 5D」、ニコン「D3S」、「D300」の4機種。今後はキヤノンおよびニコンの機種を中心に、ファームウェアのアップデートで対応予定としていた。mc-1はストロボ用のシンクロ接点も備え、ストロボも作動できるよう準備中という。
低速度撮影を行なうには、「撮影する時間」、「最終的なフィルムの長さ」、「フレームレート」の3つを入力し、実行ボタンを押す。より良い結果を得たい場合は「HDRモード」にチェックを入れて撮影し、パソコンで合成・編集する。
アカダルスのWebサイト(英語)では、同製品を利用するためのチュートリアルや、HDR低速度撮影のサンプル動画を公開している。
撮影する時間を入力 | 入力した撮影条件から撮影間隔を算出。5秒未満となる場合は撮影画像の書き込みが追いつかない可能性を知らせる(製品版ではボタン表記の「調光」を「測光」に修正) |
HDRのオプション設定。測光による平均値から自動設定も可能 | 青が実際の測光値。緑の三角の内側が、現在のHDR設定における階調の範囲内 |
パノラマ撮影時は「パノラマアシスタント」を使用。あらかじめ太陽の入る明るい部分や影となる暗い場所にカメラを向けてmc-1から測光を行なうと、mc-1が輝度差の平均値を算出し、最適と判断した露出設定を行なえる。HDR撮影時は、露出差とブラケット枚数を自動で設定する「auto」モードも利用できる。
CPS-h1の雲台部は回転方向に15度ごとのクリックを備えるが、パノラマ撮影時も雲台の回転は手動で行なう必要がある。将来的には自動で回転する機構を備えた雲台も開発していきたいとのことだった。
Bluetoothを内蔵するmc-1は、MacもしくはWindowsの専用ソフトでリモート操作も可能。機材が手の届かない位置にあっても、mc-1本体と同じ画面構成で操作できる。mc-1は将来のアカダルス製品にも接続・制御を可能とするという。
専用ソフトから遠隔操作も可能 | シンクロ端子を備え、今後のアップデートで利用可能になる予定 |
CPS-h1およびmc-1は、バッテリーパックもしくはAC電源で駆動可能。CPS-h1は雲台を動かす頻度により、フル充電で90分~約1日使用可能という。1つのバッテリーパックでCPS-h1とmc-1の両方に電源供給できる。CPS-h1の本体サイズは190×125×125mm。重量は2.5kg。耐荷重は3.5kg。
【2011年2月21日】「mc-1スタジオキット」および専用予備バッテリーの価格を追記しました。
2011/2/15 19:56