キヤノン、文化財複製プロジェクト第三期で新たに5作品を制作


 キヤノンは26日、伝統文化財のデジタル化と複製品の制作を行なう「綴(つづり)プロジェクト」について、第三期の5作品が完成したと発表した。

松島図屏風(画像はオリジナルを撮影したもの)

 綴プロジェクトは、京都文化協会とキヤノンが共同で行なう文化財保存活動。2007年3月に開始した。キヤノンのデジタル一眼レフカメラと大判プリンターを用いて、日本古来の文化財の高精細な複製品を制作する。必要に応じて金箔や表装も施す。制作した複製品を活用することで、オリジナルの劣化を防ぎながら文化財の継承を行なうことを目的としている。

 制作にはデジタル一眼レフカメラ「EOS-1Ds Mark III」とプロジェクト用に開発した旋回台を使用し、多分割撮影を実施。PC上で合成を行なった。合成時にレンズ収差によるゆがみなども補正する。プリンターは「imagePROGRAF」を使用した。また、同社独自の高精度・高精細カラーマネージメントシステムの採用により、制作期間を大幅に短縮するとともに、よりオリジナルに忠実な色再現を実現したという。

 第三期に制作したのは、神護寺に寄贈する「神護寺三像」(伝 藤原隆信、国宝)、圓徳院に寄贈する「山水図襖」(長谷川等伯、重要文化財)、祥雲寺に寄贈する「松島図屏風」(俵屋宗達)、早雲寺に寄贈する「竜虎図屏風」(雪村)、静岡県立美術館に寄贈する「樹花鳥獣図屏風」(伊藤若冲)。

 制作した複製品は、オリジナルの文化財の現所蔵元もしくは海外に渡る以前に保有していた社寺、博物館、大学、ゆかりのある地方自治体などへ寄贈する。



(本誌:鈴木誠)

2010/3/26 17:30