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Adobe Lightroomで「反射の除去」が可能に
Fireflyのモバイル版も登場
2025年6月17日 22:00
アドビは6月17日(火)、Adobe Creative Cloud製品のアップデートを発表した。「Lightroom」や「Photoshop」、生成AIの「Firefly」のモバイルアプリのリリースなどが含まれており、6月17日(火)以降、順次アップデートが提供される。
反射除去・クイックアクションが進化したLightroom
Lightroomは、新たに反射除去機能を搭載。すでに2024年12月にCamera RAWのアップデートで追加されていた機能がLightroomでも利用できるようになった。要望が多かった機能だとされ、1クリックで適用して画像内の反射を除去できる。Camera RAWではRAW画像のみが対象だったが、LightroomではRAW以外の画像も対象となった。
デスクトップ版の「不要な箇所を削除」機能に反射と人物が用意され、強弱スライダーで窓ガラスの反射を除去したり、複数の人物を一発で削除したりできるようになっている。
スーパー解像度の機能では、ノイズ除去を含めて今までその都度、書き出しと取り込みの作業が必要だったが、書き出し不要となって1クリックで適用できるようになり、非破壊処理が可能になった。
モバイルアプリやWeb版に搭載されているクイックアクション機能では、画像をAIが解析して最適な編集機能を提供してくれる機能だが、その中の「シーン」を選ぶと、被写体、背景、草木、空といった具合に写真の構造を分割して、個別にスライダーで補正ができるようになっている。被写体、背景、空に関してはさらに細かい調整もできる。
レタッチ機能では、人物の目、肌、髪といったパーツごとに補正ができ、画面内に複数の人物がいる場合、それぞれの人物を個別に調整することができる。
モバイル版では削除機能として「余分な人物を削除」機能が追加。タッチすると画面内の主要被写体以外の人物が自動選択され、1タッチで削除できるようになった。個別に削除する人物を選択することもできる。削除した後は生成AIによって補完するため、複数の候補から選択することもできる。
そのほか、共有機能もアップデートされ、QRコードを表示して共有できるようになった。
また、今後提供を予定している「Sneaks」の機能として、AIで画像を分析して分類をする機能が紹介された。例えば子どもの写真を連写してベストショットを選別する際に、「目が開いている」「こちらを向いている」といった項目を自動で分類してくれるというもの。多数の写真を選別するのに便利な機能をAIによって実現した。
現時点ではデモが紹介されただけで、実際にいつごろ搭載になるか、実用化されるかについては未定となっている。
PhotoshopやFireflyでもアップデート
Photoshopでは、ダイナミックテキスト機能が搭載された。バウンディングボックスのサイズに合わせて自動的にテキストのサイズなどを調整するほか、個別にフォントやカラーを変えるなど、テキストの処理が高度化した。
従来搭載されていたクラウドを使った背景の削除機能/被写体の選択機能を組み合わせれば、テキストを使ったデザインをさらに高度に行えるようになったとしている。
Fireflyでは、新たにモバイルアプリが提供されるようになった。iOS、Androidのいずれも同時に提供を開始した。テキストから画像生成、テキストから動画生成、画像から動画生成、生成塗りつぶし、生成拡張の5つの機能がアプリ上から利用できる。
同社では、スマートフォンのカメラで撮影した写真や動画を活用するなど、外出先でもアイデアをすぐに生成AIで拡張できるとアピールする。
生成AIモデルとしては、Fireflyに加えてパートナーモデルとしてOpenAIのImage Generation、GoogleのImagen 3/4、Veo 2/3も利用可能。生成塗りつぶしと生成拡張以外はそれぞれのパートナーモデルが選択可能。
ブラウザ版のFireflyでは、このパートナーモデルがさらに拡張された。従来OpenAI、Google、さらにBlack Forest LabsのFlux 1.1 Proが利用できたが、新たにBlack Forest LabsのFlux.1 Kontext、IdeogramのIdeogram 3.0、Luma AIのRay2、Pikeのテキストから動画機能model 2.2、RunwayのGen-4 Imageが利用できるようになった。GoogleのImagen 4、Veo 3も追加されている。
これらのパートナーモデルはFireflyの料金プラン内で利用可能となっており、プランのクレジットを消費することで利用できる。別途それぞれの生成AIサービスの契約や設定は必要ない。また、ユーザーがアップロードや生成したデータが学習などに使われることはないという。
Fireflyを使って生成したコンテンツに対しては作成者のクレジットや生成AIによるコンテンツであることを示すコンテンツクレデンシャルが適用されるようになっているが、パートナーモデルに対しても同様にコンテンツクレデンシャルが付与されるようになっている。
さらに、ウェイティングリストによる招待制だった「Fireflyボード」がパブリックベータとして公開された。これによって、誰でもFireflyボードを使うことができるようになった。Fireflyボードは動画や静止画を「キャンパス」上に並べてアイデア出しをサポートするツールとされている。
並べた画像に対して、生成AIの「Vary」機能でバリエーションを増やしたり、「Load」機能で似た画像を生成したり、複数の画像を合成するなどの機能が利用でき、アイデアを拡散させながら新しいコンテンツを生み出すことを支援する。