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Adobe Lightroomで「反射の除去」が可能に

Fireflyのモバイル版も登場

FireflyやCreative Cloud製品がアップデート

アドビは6月17日(火)、Adobe Creative Cloud製品のアップデートを発表した。「Lightroom」や「Photoshop」、生成AIの「Firefly」のモバイルアプリのリリースなどが含まれており、6月17日(火)以降、順次アップデートが提供される。

反射除去・クイックアクションが進化したLightroom

Lightroomは、新たに反射除去機能を搭載。すでに2024年12月にCamera RAWのアップデートで追加されていた機能がLightroomでも利用できるようになった。要望が多かった機能だとされ、1クリックで適用して画像内の反射を除去できる。Camera RAWではRAW画像のみが対象だったが、LightroomではRAW以外の画像も対象となった。

デスクトップ版の「不要な箇所を削除」機能に反射と人物が用意され、強弱スライダーで窓ガラスの反射を除去したり、複数の人物を一発で削除したりできるようになっている。

窓ガラスに反射してしまった写真
デスクトップ版で反射の除去を実行したところ。かなり精度よく除去してくれている

スーパー解像度の機能では、ノイズ除去を含めて今までその都度、書き出しと取り込みの作業が必要だったが、書き出し不要となって1クリックで適用できるようになり、非破壊処理が可能になった。

1クリックで適用可能になったスーパー解像度。複数のファイルを作成する必要がなくなり、ハンドリングがよくなった

モバイルアプリやWeb版に搭載されているクイックアクション機能では、画像をAIが解析して最適な編集機能を提供してくれる機能だが、その中の「シーン」を選ぶと、被写体、背景、草木、空といった具合に写真の構造を分割して、個別にスライダーで補正ができるようになっている。被写体、背景、空に関してはさらに細かい調整もできる。

画像に対して1クリックで様々な修正を適用するクイックアクションがアップデート
クイックアクションボタンからシーンやそれぞれの領域ごとの補正の利用が可能
写真内の領域が認識され、個別に調整が可能。単に露出の補正ではないようだ

レタッチ機能では、人物の目、肌、髪といったパーツごとに補正ができ、画面内に複数の人物がいる場合、それぞれの人物を個別に調整することができる。

レタッチ機能では、複数の人物がそれぞれ検出され、顔のパーツごとに補正できる
個別に補正が可能

モバイル版では削除機能として「余分な人物を削除」機能が追加。タッチすると画面内の主要被写体以外の人物が自動選択され、1タッチで削除できるようになった。個別に削除する人物を選択することもできる。削除した後は生成AIによって補完するため、複数の候補から選択することもできる。

モバイル版の削除機能。人物を検出すると自動的に「余分な人物を削除」が表示される
これを選ぶと主要被写体以外の人物が選択される。個別に調整も可能
削除されたところ。個別に復元もできる
デスクトップ版のLightroomでは「気になる箇所の削除」から同じ機能が利用できる

そのほか、共有機能もアップデートされ、QRコードを表示して共有できるようになった。

また、今後提供を予定している「Sneaks」の機能として、AIで画像を分析して分類をする機能が紹介された。例えば子どもの写真を連写してベストショットを選別する際に、「目が開いている」「こちらを向いている」といった項目を自動で分類してくれるというもの。多数の写真を選別するのに便利な機能をAIによって実現した。

ピントや目が閉じていないかといったフィルタリングが可能

現時点ではデモが紹介されただけで、実際にいつごろ搭載になるか、実用化されるかについては未定となっている。

PhotoshopやFireflyでもアップデート

Photoshopでは、ダイナミックテキスト機能が搭載された。バウンディングボックスのサイズに合わせて自動的にテキストのサイズなどを調整するほか、個別にフォントやカラーを変えるなど、テキストの処理が高度化した。

ダイナミックテキストは、ボックスのサイズに合わせてテキストが自動調整されるなどテキスト処理の機能が向上

従来搭載されていたクラウドを使った背景の削除機能/被写体の選択機能を組み合わせれば、テキストを使ったデザインをさらに高度に行えるようになったとしている。

クラウド経由で被写体を選択したり背景を削除したりできるようになり、編み目のような細かい選択も高精度に切り抜けるようになった。こうした機能の組み合わせで、様々な作業がより効率化されるようになった

Fireflyでは、新たにモバイルアプリが提供されるようになった。iOS、Androidのいずれも同時に提供を開始した。テキストから画像生成、テキストから動画生成、画像から動画生成、生成塗りつぶし、生成拡張の5つの機能がアプリ上から利用できる。

Fireflyのモバイルアプリが登場

同社では、スマートフォンのカメラで撮影した写真や動画を活用するなど、外出先でもアイデアをすぐに生成AIで拡張できるとアピールする。

生成AIモデルとしては、Fireflyに加えてパートナーモデルとしてOpenAIのImage Generation、GoogleのImagen 3/4、Veo 2/3も利用可能。生成塗りつぶしと生成拡張以外はそれぞれのパートナーモデルが選択可能。

外出先でもテキストから画像や動画の生成、静止画から動画の生成なども可能

ブラウザ版のFireflyでは、このパートナーモデルがさらに拡張された。従来OpenAI、Google、さらにBlack Forest LabsのFlux 1.1 Proが利用できたが、新たにBlack Forest LabsのFlux.1 Kontext、IdeogramのIdeogram 3.0、Luma AIのRay2、Pikeのテキストから動画機能model 2.2、RunwayのGen-4 Imageが利用できるようになった。GoogleのImagen 4、Veo 3も追加されている。

複数のパートナーが追加され、ツールを行き来せずに複数の生成AIモデルを利用できる

これらのパートナーモデルはFireflyの料金プラン内で利用可能となっており、プランのクレジットを消費することで利用できる。別途それぞれの生成AIサービスの契約や設定は必要ない。また、ユーザーがアップロードや生成したデータが学習などに使われることはないという。

Fireflyを使って生成したコンテンツに対しては作成者のクレジットや生成AIによるコンテンツであることを示すコンテンツクレデンシャルが適用されるようになっているが、パートナーモデルに対しても同様にコンテンツクレデンシャルが付与されるようになっている。

さらに、ウェイティングリストによる招待制だった「Fireflyボード」がパブリックベータとして公開された。これによって、誰でもFireflyボードを使うことができるようになった。Fireflyボードは動画や静止画を「キャンパス」上に並べてアイデア出しをサポートするツールとされている。

キャンバスにコンテンツを並べ、組み合わせて生成するなどしてアイデアを拡張していくFireflyボードが誰でも利用可能に

並べた画像に対して、生成AIの「Vary」機能でバリエーションを増やしたり、「Load」機能で似た画像を生成したり、複数の画像を合成するなどの機能が利用でき、アイデアを拡散させながら新しいコンテンツを生み出すことを支援する。

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、スマートフォン、キャッシュレスなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプで、「世界最小・最軽量」が大好物。たいてい何か新しいものを欲しがっている。