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ビックカメラ主催初のフォトコンテスト「BicCamera Photo World」授賞式が開催

受賞作品と受賞者の喜びの声を掲載 作品展も開催中

授賞式は東京・池袋のホテルメトロポリタンで開催された

ビックカメラが主催するフォトコンテスト「BicCamera Photo World 2025」の表彰式が6月14日(土)に都内で開催され、受賞者にトロフィーや表彰状が授与された。受賞者からの作品に込めた思いも聞くことができた。

今回が第1回目となるフォトコンテストで、2024年11月1日~2025年2月28日にかけて作品を募集していた。

ネイチャー部門、アンダー18部門、スマートフォン部門、自由部門の4部門から金賞、銀賞、銅賞、佳作が選ばれたほか、4部門を通じて最も優れた作品に最優秀賞が贈られた。また、ゲスト審査員賞も1名が受賞した。

審査員

なお、自由部門金賞は辞退の申し出があったため該当無しとなっている。

授賞式の様子
会場には上位の作品が展示された

最優秀賞:森の遊園地|林純一さん

林純一さん

受賞者コメント

撮影場所は娘が小さい頃によく行っていた、家から10分ほどの公園です。娘が大きくなると勝手に遊ぶものですから、自分もカメラ片手にどこか良いところは無いかと探していました。

そうしていると木の隙間から観覧車が見えまして、娘にモデルをお願いしました。最初は悪ふざけで落ち葉を舞い上げていたのですが太陽も良いところに来て、ファインダー越しに「これは良い」と感じました。

1つこだわったのは、落ち葉を舞い上げると手が上に行ったままなんですが、その手をすぐに下げてもらうようにしました。それによって、落ち葉の真ん中に子供が来るイメージになりました。ちょっと浮遊感が出た点も受賞に繋がったのではないかと思っています。

ネイチャー部門:金賞 遊び仲間|増田晋一さん

増田晋一さん

受賞者コメント
写真は赤ちゃん猿が遊んでいる姿ですが、左右にお母さん猿がいてずっと見守っていました。そのあと私がくしゃみをしてしまって、小猿がみんな木からおちて泣きながらお母さんのところに逃げていってしまい後悔しました(笑)。

私はニホンザルを14年くらい撮っていて、地獄谷の温泉の猿などあちこちで撮影しています。最近のカメラは瞳AFがありますが、ニホンザルの瞳にもちゃんとピントが合っていて構図とシャッターチャンスに集中できました。カメラの進化がすごいと感じているところです。

スマートフォン部門:金賞 なつまつり|河原利花さん

河原利花さん

受賞者コメント

普段は一眼レフで撮っていますが、この度スマートフォン部門で受賞できて驚いています。去年の夏祭りで当時4歳と6歳の子供を撮影した写真です。子どもたちが「まだ帰りたくない」と後ろ髪引かれている状況です。

今は上の子も小学生になり、「友達と行きたい」と言ったりして成長を感じています。その当時も来年はもしかしたら一緒に行ってくれないかもしれないと、母としてちょっと寂しさもありつつの1枚でした。私なりの気持ちが写真になったかなと思っています。

ゲスト審査員賞 お手伝いのあとで|岩川皓司さん

岩川皓司さん

受賞者コメント
他の方の作品を見ているとやはりすごく、私はまだまだだと感じます。その中でなぜ選ばれたのかと考えると、これはひとえにこのおいしそうな子どもたちの顔がすべてだと思います。

この表情が審査員の心を掴んだということを子供たちに伝えたら、モデル賞もいるんじゃないかという話になり、Nintendo Switch 2をプレゼントすることになりました(笑)。この後ビックカメラで抽選に参加したいと思います。

※アンダー18部門は受賞者が欠席

「写真文化を広げていきたい」ビックカメラ社長

主催者のビックカメラからは、代表取締役社長の秋保徹氏が挨拶した。

秋保徹氏

コメント

9,933名、作品が5万3,785点と本当たくさんの方に応募頂きました。対外的にフォトコンテストを行うのは今回が初めてです。2,000名くらいから1人5点で1万点くらい応募頂けたらと思っていましたが、フォトコンテストのなかでもだいぶ多い部類だそうです。本当にやって良かったと一安心しているところです。

私も写真展を拝見しましたが本当に素晴らしい作品です。美しさや迫力はもちろん、その前後を想像させるところもあり、見ていて飽きず時間を忘れて見させて頂きました。改めて写真というものの奥深さや素晴らしさを再認識しました。

私どもは約半世紀にわたって商売をさせて頂いているが、社名もビックカメラということで、祖業であるカメラ屋、写真屋という原点に今一度立ち返って、写真の良さや大切さを皆様にしっかり伝える使命があると改めて感じました。

発信力はあると自負しており、我々がフォトコンテストを開催することによって写真の良さを多くの方々に知って頂く機会になると考えて企画しました。今回で終わらずに、さらに写真文化を広げる貢献をしていきたいと思います。

「AI時代に写真を撮る意味が問われる」熊切大輔氏

審査員を代表して、審査員長の熊切大輔氏が入賞作品などについてスピーチした。

熊切大輔氏

コメント

今回のフォトコンテストは、まさに記念すべき第1回大会であり、受賞の意義は大変大きいと思います。また写真というものはカメラはもちろん、スマートフォン、さらにはプリンターやパソコンなど、様々な機材があって初めて生まれるもの。ビックカメラがこれほど大規模なコンテストを開催したことは、非常に大きな意義があると感じています。

審査では膨大な数の作品を拝見しました。審査員一同、徹夜で取り組んだり、朝起きてすぐにパソコンを開いて審査をするなど大変でしたが、どの作品も非常に素晴らしく、特に受賞作品は生き生きとした表情が印象的。良い表情が撮れるのは被写体との距離感、そして信頼関係があったからこそだと分析しています。

また、生成AIによって「画像」が作られる現代において、「写真」を撮る意味が問われることもあります。しかし、AIが作るものはあくまで「画像」であり、「写真」は心が動いた瞬間にシャッターを押すことで、その人だけのものが生まれると強く感じています。今回集まった作品は、皆さんの個性が乗った作品ばかりであったと評価しています。

私はよく「身近な絶景」という言葉を使います。写真の力とは、日常の何気ない瞬間を絶景に変えることにあると思っています。受賞された皆様が、今後も素晴らしい写真を撮り続け、このコンテストにたくさんの作品を応募してくれることを、私たち審査員一同、心より楽しみにしています。

「作品を残すことは人生の財産」ハービー・山口氏

また審査員の1人ハービー・山口氏も登壇し、受賞者を激励した。

ハービー・山口氏

コメント

70数年生きていると人生観というものがありまして、私が常に唱えているのが「人生第3のロケットセンス」ということです。

第1のロケットは若い頃はやんちゃをしたとか楽しい海外旅行をしたとか人生楽しんだこと。それから大人になって社会に出る。安定して家族を持ち生きていけるかな、というふうに自分の立場を築いたときが第2のロケット。やがて定年を迎え第2のロケットの燃料はだんだん消える。その後は老後というのが人生です。

しかしもう1つ、第3のロケットがあると思います。それは私たちが日頃努力して人を感動させる作品です。それが人々に与えた影響が第3のロケットの燃料となっていつか点火するときが来ます。

私もこれだけ作品を撮ってきて、あるとき偶然フランス人と会って、パリのギャラリーで展示が即決で決まりました。それをロンドンにも持っていきたいという人も現れた。皆さんの作品も永遠の財産になるということです。備蓄燃料のように作品を1枚1枚重ねて行って欲しいと思います。

受賞作品展が開催中

日時

  • 6月24日(火)まで
  • 11時00分~19時00分(水曜休館)

会場

ギャラリー 路草

入場

無料

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。