ニュース
100均商品で撮影?ニッシンの「手作り」ワークショップ
自分で作ったアイテムで、ストロボ撮影の奥深さを知ろう
Reported by 関根慎一(2015/4/30 16:33)
ストロボメーカーのニッシンジャパンは4月26日、東京・高円寺にある同社のスタジオにおいて、ストロボ実践活用イベント「ド根性!アーウィンのちょっと気合いが入ったストロボワークショップ」を開催した。
同社が開催している講座・イベントの1つで、カメラとストロボを離して使うオフカメラライティングの経験者に向けた、中級ストロボユーザー向けのワークショップ。講師はフォトグラファーのアーウィン・ウォン氏。
今回のワークショップは、身の回りにあるものを使って、できるだけお金を使わずにストロボアクセサリーを作るコンセプト。ここでは100円均一ショップで手に入る素材を用いて、ストロボアクセサリーを自作し、ポートレートの撮影で使用した。材料としては画用紙、テーブルクロス、輪ゴム、針金、クリップ、セロファン、洗面器などを用意しており、ソフトボックス、グリッド、スヌート、オパライトなどのアクセサリーを作成できた。
大切なのは"光をコントロールできる"こと
ワークショップ全体の構成は大きく分けて3つ。ストロボ講座、アクセサリー自作、ポートレート撮影による実践の3部からなる。ストロボ講座では、ストロボを使ったウォン氏自身の作品を例として、主にスポット光の活用方法を解説した。
前半は、ウォン氏による座学を中心に進行した。講座では、ストロボアクセサリーを拡散、集中、遮蔽の3種類に分類。光を拡散させるアンブレラやソフトボックス、光を集中させるスヌートやグリッド、光を部分的に遮蔽するフラッグなどを例に挙げた。いずれも被写体に対する光の当たり方をコントロールするためのアクセサリーだが、どうしても思ったような光にならない場合は、自作のアクセサリーを使うことがあるという。
「色々な表現を試みる中で、市販のアクセサリーでは得られない質の光が必要になることもありますが、そういう時は自分で作るしかないのです。例えばテレビから出た光が人物の顔を照らしているように表現したいとき、普通のストロボアクセサリーを使っても思ったような光にならないことがあったので、自作のストロボアクセサリーを使いました。被写体のどこをどう照らして、どこを照らさないか。必要に応じて光をコントロールできることが重要なのです」
ウォン氏はフォトグラファーになる前にストロボのテクニックを勉強していた頃、ストロボのアクセサリー機材まで資金が回らず、よく自作していたと話す。また、自作して使っているうちに、光の当て方を上手くコントロールできるようになったという。
「当時は経済的にもそれしかなかったというのはありますが、試行錯誤を繰り返していくうちに、ストロボアクセサリーの効果をコントロールするにはどうしたらいいのか、意図通りに表現するにはどのように作ったらいいのかを考えるようになりました。市販のアクセサリーはやや高価なのですが、構造がシンプルなので、きちんと作れば自作でも概ね同等の効果は得られます。でも、耐久性は市販のアクセサリーの方が上ではあります」
様々な試行錯誤を重ねた結果、ストロボの光をコントロールするための知識が身についたとウォン氏は話す。ただ、時には思わぬ効果が得られることもあって、今でも気づくことはたくさんあるという。
「自作の面白さは、定番のライティングだけではなく、応用が効かせられるところですね。例えばグリッドを手作りするとき、僕の場合は黒いストローを使いますが、ストローを長く切ればより集光効果が高まりますし、短く切れば拡散します。必要に応じて効果の具合を調整できる。今ある物で満足できないから自分で作るのです。今は100均(100円均一ショップ)があるので、安価に材料を調達して自作できる環境があります。僕は普段の生活の中でも面白い光の効果を探すようにしていて、街中で面白い光の当たり方をしているのを見かけたときは、よく観察して、現場で再現できるように自分で作ってみることもあります」
創意工夫で自由に製作、多灯ライティングも体験可能
座学の終了後は、各自自由にストロボアクセサリの作成や撮影に時間を割り当てられる。ストロボアクセサリーの自作は、基本的な作り方をウォン氏が指導し、完成したらすぐに撮影で使うことができた。参加者は用意された材料を使って、ソフトボックスやスヌート、グリッドなどを手作りし、撮影ではその場で思いついたライティングを試したり、撮影した写真を参加者同士で見せ合ったり、作ったアクセサリーを手直しするなどして楽しんでいた。
なおニッシンジャパンではこのほかにも、プロカメラマンを講師に迎えたセミナーを盛んに実施しており、撮影において光をコントロールすることの重要性を学ぶことができる。セミナーでは同社の新製品も体験可能で、今回のワークショップではスピードライト「Di700A」やコマンダー「Air1」などを用いた多灯撮影も体験できた。
モデル:クリスティーン