東日本大震災の復興支援写真展「生きる」がフォトキナ2012で開催


 公益社団法人日本写真家協会は、ドイツ・ケルン市で、写真展「生きる」-Post-TSUNAMI-を開催する。会場は、フォトキナ2012が行なわれるケルンメッセ内。フォトキナ2012の会期と同じく、9月18日〜9月23日かけて展示される。



 東日本大震災の復興支援事業として、3月から4月にかけて東京と仙台で実施された写真展「生きる」-東日本大震災から一年-を海外でも展開。世界最大規模のカメラ関連のイベント、フォトキナ2010の会場において展示する。協賛は株式会社タムロン。

 展示構成は、第1部「被災」、第2部「ふるさと」、第3部「生きる」の3部構成。それぞれ、被災当時の写真を集めた第1部、復興のため立ち上がる人々の営みに迫った第2部、生きることの素晴らしさと希望を胸に秘めた被災者の暮らしぶりを伝える第3部となっている。作品数は116点。プロ、アマチュア73名が参加した。

 展示会場はケルンメッセ内ホール5.1で、100坪以上の専有面積に6mの天井という大規模なもの。そのため大判にプリントし直した作品もあるという。中でも津波が迫る瞬間を捉えた作品は、2m70cmの巨大な作品となっている。「あたかも津波の中にいるような体感をしていただきたい」(常務理事の菅洋志氏)とのこと。


会場のイメージ

 3日に行なわれた記者発表会では、会長の田沼武能氏がまず挨拶に立った。

「昨年の震災では世界中からご支援、募金をいただいた。そのご報告をするかたちで展覧会を発表したい。フォトキナには20万人の来場者があり、世界の人に見ていただける場。素晴らしい場所を提供いただいた」(田沼武能氏)。


田沼武能氏

 続いて実行の中心となった菅洋志氏が、本プロジェクトの成り立ちと経緯を説明した。

「被災の現場で写真が撮れない。撮る気がしなかった。現地の写真を撮られた方の写真を集め、プロデュースする形をとらせていただいた。写真を集結させ、成功に持って行くのが我々の責務ではと考えてた」(菅洋志氏)

「最初は東京展と同じ規模を考えていたが、連絡を取るうちに規模が大きくなっていった。巡回展になる予定なので、ドイツ国内で一般の人の眼に触れることで、日本への理解を体感いただけるのでは」(菅洋志氏)


菅洋志氏

 東京と仙台での展示は大きな反響を呼んだという。会場で販売した写真集の売れ行きも好調で、重版も行なわれた。

 フォトキナ会場での展示の後は、ドイツ国内を巡回する計画もあるという。まずは10月から11月にかけ、ケルン市内の国際交流基金日本文化会館で行なわれる予定。5月と6月には、ハレ市での展示も計画されている。


陸前高田市のアマチュア写真家志田信一氏は第3部に参加。手にするのは被災して泥をかぶったニコンF3。カメラ博物館に寄贈される

同じく陸前高田市で災害の瞬間を撮影した西條嘉吉氏。足元まで水が来たという当時の様子を語った


(本誌:折本幸治)

2012/9/10 00:00