宮嶋康彦写真展「東京起源」(大阪ニコンサロン)


東京に暮らし始めてずいぶん歳月が流れた。
四十を過ぎたころから、この街で果てることを夢想するようになっていた。
東京郊外の家が、終の棲家になるのか、と。
その頃から、東京は、のっぴきならない撮影のフィールドになった。

東京、とは、どこ、か。
私が発生した母胎の闇から、遠いのか…。

ぼくが生まれた長崎の海辺から、北東1340キロメートル地点にある東京。
いつからだろう…二つの都市を繋ぐ闇のありようを考えるようになった。
闇をまさぐる情動が東京撮影の後ろ盾となった。

ぼくは、てんでに東京の夜を徘徊する。暗がりに溶けこもうとしてきた。
けれども、東京は明るい。あまりに昼化された都市に遭遇することになる。
きみの双眸や耳の奥にさえ、この街の光彩が射しこんだ。
それでも、闇らしきを見つけたときには、慰安のシャッターを切った。

東京、とは、どこ、か。
私が発生した母胎の闇から、遠いのか…。

プラチナ・パラジウムプリント40点。(写真展情報より)

  • 名称:宮嶋康彦写真展「東京起源」
  • 会場:大阪ニコンサロン
  • 住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • 開催日:2012年7月12日~2012年7月18日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休




(本誌:武石修)

2012/6/26 00:00