大澤寛幸写真展「コトドワタシ」(ニコンサロンbis大阪)


1986年4月26日に発生したチェルノブイリの原発事故。当時、作者は7歳だった。
 事故の重大性を理解するには幼すぎたが、放射能という目に見えない恐怖を理解するには十分な年齢だった。すなわち『死』への恐怖。作者の自我は死への恐怖と共に目覚めた。
 そして、2011年3月11日。東日本大震災による津波発生。さまざまなトラブルが重なり福島第一原発は電源を喪失し、冷却機能を失う。加えて、水素が原因と思われる爆発が生じ、施設の破壊、及び放射性物質の拡散。炉心溶融。格納容器の破損。
4月12日、IAEAは暫定的であるもののチェルノブイリと同レベルの事故としてレベル7を宣言。喧伝され続けた安全神話は完全に崩壊した。
様々なメディアで繰り返し使われる『ただちに影響は無い』という言葉。私たちはその言葉によって、放射性物質への恐怖が麻痺してしまった。
眼前に広がる光景は、これまでとなんら変わることがない。木々や水や土は変わらずそこにあり続ける。だがそれは恐怖と共にある。それは漠然とした恐怖だ。
今回の写真展では場所や時間の感覚を出来うる限り消失させることで、漠然とした恐怖感と、美しく居心地の良い世界、2つの相反する力が同居する作画を心がけた。報道写真とは違う感覚的・抽象的手法で現在の私たちを取り巻く状況を訴えたい。モノクロ約45点。
(写真展情報より引用)

  • 名称:大澤寛幸写真展「コトドワタシ」
  • 会場:ニコンサロンbis大阪
  • 住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • 会期:2012年6月21日~2012年6月27日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休



(本誌:鈴木誠)

2012/6/6 12:33