ルーニィ・247フォトグラフィー、杵島隆写真展「日本の四季」


 ルーニィ・247フォトグラフィーは、杵島隆写真展「日本の四季」を9月27日から開催している。




日本の広告写真のパイオニア、蘭写真の第一人者、「桜田門外の変」とも称されたヌードフォトの数々。様々な活動で知られ、本年2月亡くなった杵島隆さんの作品を展示致します。
「日本の四季」と題されたこのシリーズは、カラーフィルムとソフトフォーカスを組み合わせ、日本人の情感や風土をあらわそうと試みたシリーズで、1990年から2000年頃にかけて制作したものです。そのうちのいくつかは、印画紙を和紙に表装したものがあり、ニューヨークで展示されて話題を呼びましたが、国内では殆ど発表されたことがありません。この時期の杵島さんは、歌舞伎や文楽、着物に桜などの写真を数多く撮影し伝統的な日本のかたちを著作にまとめる仕事に没頭していた一方で、故郷の鳥取をはじめ、九州、奈良、新潟、そして新宿御苑など、各地を訪れては撮影を繰り返していたのです。

自然の懐へ素直に入り込むような景色によって、写真を見る私たちは、何かがささやきかけて来るような印象を受けます。アメリカ日系二世に生まれ、日本人としてのアイデンティティを求めて特攻隊に志願するなど、日本民族と日本人の間で歯がゆい思いをした杵島さん。本人の胎内回帰に近い記憶がこのような世界を撮らせたのではないかとも思えます。本作は杵島さんが愛してやまなかったこの国の理想郷、残したい日本の四季の風景と解釈すべきなのかもしれません。

本展は和紙に表装した貴重なビンテージプリントを中心に、多彩な仕事を残す杵島さんのあまり知られていない側面を小規模ながらも濃密に紹介するものです。(写真展情報より)

  • 名称:杵島隆写真展「日本の四季」
  • 会場:ルーニィ・247フォトグラフィー
  • 住所:東京都新宿区四谷4-11みすずビル1階
  • 会期:2011年9月27日〜2011年10月9日
  • 時間:12時〜19時(最終日16時まで)
  • 休館:月曜日

(本誌:折本幸治)

2011/9/30 19:07