オリンパスプラザ東京、阿部萌子写真展「背中の景色」


 オリンパスプラザ東京は、阿部萌子写真展「背中の景色」を7月28日から開催する。

(c)阿部萌子

初めて祖父の生まれ故郷へ行ったのは3年程前の事だった。そこで目にした新しいはずの景色はなぜかとても懐かしく、そしてなんだか心地の良いものだった。気が付くと私は、時間を見つける度に祖父が暮らした町を巡るようになっていた。

関門海峡に面し、九州島最北端に位置する福岡県・北九州市戸畑区。そして筑豊地方南部の英彦山という山の麓にあり、今でも山岳信仰の思想が根付いている添田町。どちらの町にも、私が生まれ育った町とは違った景色が広がっていた。その土地で見た景色、そしてそれと共に感じた懐かしさ。その“懐かしさ”とは一体どこからやって来るのだろう?

かつて祖父が暮らしたその土地で写真を撮り歩いていると、時間を浮遊しているような気持ちになることがあった。それは、何かを思い出そうとしているような感覚とでもいうのだろうか…。訪れた場所でその体験を重ねる内に「私」というものは“経験を通した記憶”を持つ以前に、受け継がれた記憶が幾重にもレイヤーのように重なって存在しているのではないかと思うようになった。私たちの体が誰に習う事もなく呼吸をしているように、無意識の中に存在する“受け継がれた記憶”があるのでは…と。気が付くと、私はその手触りを確かめるように写真を撮っていた。

出展作品数:カラー 約40点

(写真展情報より)

  • 名称:阿部萌子写真展「背中の景色」
  • 会場:オリンパスプラザ東京
  • 住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル1F・2F
  • 会期:2011年7月28日〜2011年8月3日
  • 時間:10時〜18時(最終日15時まで)
  • 休館:日曜・祝日

(本誌:折本幸治)

2011/7/14 00:00