ソニー、「サイバーショット」春モデルの発表会

〜クリップオン液晶モニターやNEX-5の新色も展示

 ソニーは13日、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」シリーズなどの新製品発表会を都内で行なった。

 主な発表機種は、ソニーのコンパクトデジタルカメラとして初めて有機ELディスプレイを搭載し、1080/60pの動画記録にも対応した「サイバーショットDSC-TX100V」、10倍ズームレンズとGPS機能と特徴とする「サイバーショットDSC-HX7V」など。

 併せてレンズ交換式デジタルカメラ「NEX-5」のカラーバリエーションモデルや、ホットシューに装着できる5型液晶モニターも発表した。

コンパクトデジカメ市場で1番を目指す

 ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部統括部長の下野裕氏は、2010年におけるデジタルイメージング商品のシェア推移(店頭販売金額ベース)について説明した。

ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部統括部長の下野裕氏

 2010年は2月にフルハイビジョン動画に対応するサイバーショットを発売し、シェアは約20%に増加(カムコーダー、レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラの3カテゴリー合算、以下同)。6月にはレンズ交換式デジタルカメラNEXシリーズの発売により、25%まで拡大したという。販売前年比推移は業界平均が前年を割る中、好調に推移したと述べた。

2010年のシェア推移販売前年比推移

 要因を「カメラ基本性能の向上」および「新規カメラ市場の創出」と説明。カメラ基本性能の向上は、裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」の搭載による高感度撮影、サイバーショットにおける「プレミアムおまかせオート」の高速画像処理技術、ハンディカムにおける広角撮影をポイントとした。

 一方、新規カメラ市場の創出に関しては、レンズ交換式デジタルカメラ「NEX-5」および「NEX-3」、レンズ交換式HDビデオカメラ「NEX-VG10」、フルハイビジョン動画対応コンパクトデジタルカメラの発売を挙げた。
 
 2011年は3カテゴリー合算でのシェア30%を目指すとともに、1位から4位が激戦というコンパクトデジタルカメラ市場で1番を目指したいとしていた。サイバーショット新モデルのテレビCMには引き続き北川景子さんを起用。沖縄を舞台に旅の思い出を残す訴求を行なうという。

 また、下野氏は2011年の“さらなるチャレンジ”として「カメラとしての本質価値の追求」、「フルハイビジョン動画対応の強化」、「3D撮影対応の強化」、「撮影後の楽しみをより充実」の4つを掲げた。

 フルハイビジョン動画対応を強化する背景には、下野氏が「家庭環境が劇的に変化した」とする“地デジ対応”を挙げた。大画面のハイビジョンテレビが急速に普及したことにより、「パーソナルコンテンツをテレビで楽しむ時代が本格的に来た」と強調した。

同時発表のハイビジョン3D対応ハンディカム「TD-10」(4月発売)を手にしてアピールする場面も

 撮影後の楽しみとしては、写真や動画を通じたコミュニティづくりと、家庭用ゲーム機「PlayStation 3」での楽しみ方を提案。具体的には、写真・動画投稿サイトの「αcafe web」を2月にオープン予定。PlayStation 3では、2010年9月より配信している2D/3Dの画像管理・鑑賞ソフト「PlayMemories」に加え、2月中旬ごろからAVCHD動画の管理鑑賞ソフト「Filmy」(フィルミー)を配信。Filmyは無料体験版と500円の有料版を用意し、PlayStation@Storeで提供する。

1080/60p動画対応機種や防水フルHDモデルをラインナップ

 会場では一部の新製品を手に取れる状態で展示していた。CMOSセンサー搭載モデルの共通仕様は、センサーに1,600万画素の「Exmor R」を採用。1080/60iのフルHD動画、3D静止画モードなどの搭載。高速無線転送のTransferJetにも対応する。スイングパノラマには、4,200万画素相当という高精細画像を生成する「HRモード」を新搭載した。

 3D静止画モードは、ワンショットでピントを合わせた画像とはずした画像を2回撮影。2枚の画像から距離情報を計算し、3D映像を合成で作りだすという。撮影画像は3D対応のテレビ「ブラビア」で鑑賞できる。

 各機種の詳細については関連記事を参照されたい。

・サイバーショットDSC-TX100V

 サイバーショットで初の有機ELパネル搭載モデル。タッチパネルは静電容量式。1080/60pの動画記録に対応するほか、GPS機能と電子コンパスも装備する。発売は3月4日。店頭予想価格は4万5,000円前後の見込み。

サイバーショットDSC-TX100V有機ELの採用は、動画再生時などのに応答速度の面でメリットが大きいという
撮影モードやシーン選択などのイメージを従来機種から一新したカメラ内ガイドは各ページの「使ってみる」ボタンからその機能へジャンプできる
スイングパノラマの撮影時、撮影画面で直接スイング方向を選択できるようになった。モード選択ボタンが大型化しているのも従来からの変更点カラーバリエーションは3色。シルバーはソニーストアの限定カラー

・サイバーショットDSC-HX7V

 10倍ズームレンズを搭載する高倍率モデル。2009年3月に発売した「サイバーショットDSC-HX5V」の後継機種で、GPS機能と電子コンパスを引き続き搭載。動画撮影時の手ブレ補正機能「アクティブモード」も継承した。発売は2月10日。店頭予想価格は4万円前後の見込み。

サイバーショットDSC-HX7V方向キー部分にダイヤルを装備。液晶モニターも高精細化した
カラーバリエーションはDSC-HX5Vの2色から5色に増えた

・サイバーショットDSC-WX10

 広角端24mm相当、開放F2.4からの7倍ズームレンズを搭載。AF速度0.1秒を謳う。動画撮影時は手ブレ補正「アクティブモード」を利用可能。発売は3月4日。店頭予想価格は3万5,000円前後の見込み。

サイバーショットDSC-WX10DSC-HX7Vと同様のホイールを搭載
DSC-WX10のカラーバリエーションは5色

・サイバーショットDSC-WX7

 テレビCMなどでメインに据える5倍ズームレンズ搭載のスリムモデル。厚さ19.1mmのボディを特徴とする。背面にモード切り換え用のスライドスイッチ装備し、ホイール型のコントローラーも搭載した。発売は2月10日。店頭予想価格は3万円前後の見込み。

サイバーショットDSC-WX7ホイールに加え、モード切り換えにスライドスイッチを採用
厚さ19.1mmのボディ。上面にステレオマイクを内蔵カラーバリエーションは5色

・サイバーショットDSC-TX10

 水深5mまでの防水性能のほか、耐衝撃、耐低温、防塵性能を有するモデル。水中でのフルHD動画撮影が可能な点を特徴とする。光学4倍ズームレンズと静電容量式タッチパネルを搭載。発売は3月4日。店頭予想価格は4万円前後の見込み。

サイバーショットDSC-TX10静電容量式のタッチパネル式液晶モニターを搭載。シャッターボタンわきに動画ボタンも備える
カラーバリエーションは5色

CCD搭載機種にはラインストーン装飾モデルも

 そのほか、撮像素子にCCDを採用する4モデルも展示していた。いずれも有効1,610万画素のSuper HAD CCDセンサーを搭載する(DSC-W530のみ有効1,410万画素)ほか、パノラマ撮影機能「スイングパノラマ」やシーン認識機能「おまかせオート」も利用できる。

サイバーショットDSC-W570サイバーショットDSC-W570D
サイバーショットDSC-W530サイバーショットDSC-T110

 「サイバーショットDSC-W570」は広角端25mm相当からの5倍ズームレンズを搭載。発売は2月10日。店頭予想価格は2万3,000円前後の見込み。

 「サイバーショットDSC-W570D」は、DSC-W570のバリエーションモデル。本体にデザインパターンやラインストーンなどの装飾を施した。発売は2月10日。店頭予想価格は2万5,000円前後の見込み。

 「サイバーショットDSC-W530」は、メタルボディに広角端26mm相当からの4倍ズームレンズを搭載。5色のカラーバリエーションを用意する。発売は2月10日。店頭予想価格は1万5,000前後の見込み。

 「サイバーショットDSC-T110」は、広角端25mm相当からの4倍ズームレンズを搭載。タッチパネル式の3型液晶モニターを備える。「カメラ内ガイド」も利用可能。発売は
3月4日。店頭予想価格は2万3,000円前後の見込み。

ピーキング機能付き液晶モニターを国内発表

 また、会場には同時発表のレンズ交換式デジタルカメラ「NEX-5」のゴールドモデルおよびクリップオンLCDモニター「CLM-V55」も用意していた。

 NEX-5のゴールドモデルはダブルレンズキットのみ用意し、2月10日に店頭予想価格9万5,000円前後で発売する。

NEX-5(ゴールド)

 クリップオンLCDモニターCLM-V55は、5型800×480ドットでカメラのアクセサリーシューに装着できるピーキング機能付き液晶モニター。2011 International CESでも展示していた。入力はHDMI。3月10日に4万2,000円で発売する。

CLM-V55の装着例。フードは脱着式フードを外したところ
モニターの設定メニュー。ピーキング機能のオン/オフなどを行なえるバッテリーは背面に装着。一部のαシリーズで採用していたバッテリー「NP-FM500H」などを使用できる


(本誌:鈴木誠)

2011/1/13 19:55