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写真家・岡田敦氏の「エピタフ 幻の島、ユルリの光跡」がJRA賞馬事文化賞に

岡田敦「エピタフ 幻の島、ユルリの光跡」

写真家の岡田敦氏が、日本中央競馬(JRA)が主催する「2023年度JRA賞馬事文化賞」を受賞した。

JRA賞馬事文化賞は、当該年度において文学、評論、美術、映画、音楽、写真、公演、催事、テレビ番組等を通じ馬事文化の発展に特に顕著な功績のあった者に授与する賞。

受賞作品は、「エピタフ 幻の島、ユルリの光跡」。根室半島沖に浮かぶ無人島「ユルリ島」に生息する馬を記録した写真集だ。ユルリ島と馬の関係は、1950年代に漁師の労働力として持ち込まれたことに端を発する。現在では漁師が撤退し、馬のみが生息する島となっている。そんな島の様子を幻想的なシーンと共に、様々な角度から10年に渡って記録し続けた作品だという。

受賞理由について選考委員会は、「馬がいた時代の情景が見えてくるような地元の方との対話が自然で素晴らしく、詩のような世界を構成している写真とともに、あらゆる面からユルリの記憶を残そうとする著者の熱意と真摯で誠実な取り組み方が評価されました」とコメント。

また、岡田敦氏は受賞について以下のように話している。

北海道の東の果てに、馬だけが暮らしている島がある。そんな不思議な島の話を耳にしたのは、いまから15年ほど前のことでした。無人島になぜ馬がいるのか。馬はどこからやってきたのか。多くの謎を秘めたその島に僕は心を奪われ、気づけば30代の全てをささげていました。ユルリ島、消えゆくことが運命づけられた馬たちの島…。その光景と歴史を永遠に遺したい。『エピタフ』、すなわち“墓碑銘”と名づけたこの本に刻んだユルリ島にまつわる物語が、日本の馬事文化を伝える歴史ある賞のもと、時代を超え、多くの人たちに語り継がれてゆくことを願っています。このたびは名誉ある賞をいただき、ありがとうございました。

2023年度JRA賞馬事文化賞の決定 JRA

本誌:佐藤拓