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「第16回 タムロン鉄道風景コンテスト」の審査結果が発表

入賞作品展は11月14日からそごう大宮店で

株式会社タムロンは10月23日、「第16回 タムロン鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景ベストショット」の審査結果を発表した。

タムロン鉄道風景コンテストは、定番の鉄道写真に加え、鉄道写真の枠にとらわれない自由な発想の作品で応募できる写真コンテスト。今回からWeb応募を開始して、「ユニーク/ユーモア賞」の新設などリニューアルが行われた。

応募総点数は、過去最多となる9,454点。応募人数2,488人の中から、各部門の大賞を含む全45点の入賞作品が選出された。

入賞作品写真展は、11月14日から30日までそごう大宮店3階特設会場で行われる。開場時間は10時00分~20時00分。入場は無料。

一般の部 総合グランプリ(さいたま市長賞)

「黄昏れて」長谷由美氏(愛媛県・57歳)

選評 (広田尚敬氏)
ここは海の見える駅として有名な愛媛県伊予市の下灘駅。過去に何度も入賞している場所ということもあって僕は少し躊躇していたのですが、上位作品を絞り込むたびに少しずつ登りつめた結果、最後は頂点に達したという素晴らしい力を秘めた作品。有名地であることとレタッチを駆使して作り込んだ作品というある種の“弱さ”もあるものの、それを超越する作品自体の魅力が審査員全員の心を捉えました。モデルの皆さんも撮影者も、見る人の気持ちがとてもよく解っていて、両者の気持が通じ合い作品に力を与えています。 撮影時刻も気象も良し、空に向かって指を差す演技も少しも嫌みがなく、そこに作者の感性が加わってひとつのハーモニー(調和)を創り上げています。おそらく周囲に他の人もいたのでしょうが、その中で自分だけの世界を描き出した作者の強運と実力に大拍手を送りたいと思います。

結果発表

U-18(18歳未満)の部 総合グランプリ(さいたま市教育委員会 教育長賞)

「フェンス越しに見ていたあの頃の記憶」藤原幸矢氏(愛知県・16歳)

選評(矢野直美氏)
一見して作者の心情がとても良く伝わってくる印象的な作品。「幼い頃に電車や新幹線を見る時はいつもフェンス越しだった」というご自分の思い出をベースにして作品づくりに向かった姿勢にも共感します。フェンスで区切られた空間の中に新幹線をうまく収めるのも難しかったでしょうが、モノクロームに変換したことで色彩的にもスッキリまとまり、幼時の追憶といったイメージ表現にもつながってうまく成功していると思います。新幹線がふんわりとした輝きに包まれたような光の使い方、構図力、観察力、技術力すべてがプラスに働いてこのような素敵な作品に結実したのだと思います。

多くの人が忘れてしまいがちなささやかな記憶を大切にして、わざと困難なフェンス越しに撮影した作者の思い入れとチャレンジ精神にエールを送りたいと思います。

結果発表

ユニーク/ユーモア大賞(さいたま商工会議所 会頭賞)

「花より団子よりスーパーやくも」田中瑛三氏(岡山県・31歳)

選評(矢野直美氏)
ひときわ目立つ団子でも、たくさん見える桜でもなく、小さく写っている「スーパーやくも」にピントをあてて主役にした、まさにタイトルがすべてを物語ってくれるユニークな作品です。おそらく左手で団子を持ち、右手でカメラのシャッターを切っているのでしょう。それぞれの手で違う動作をするという安定しない状態で列車を待ち、このタイミングでこの構図を作り上げる、しかも流し撮りのようです。きっと撮影の瞬間はものすごい集中力が発揮されたのではないでしょうか。青空と桜、団子も車両も実にカラフルで、春のうきうきとした気持ちを感じます。そのアイデアと鉄道愛に、審査員一同、微笑ましい気持ちになりました。

「ユニーク/ユーモア大賞」は、アイデアであり、愛であるように思えます。鉄道や旅や写真、四季の移り変わりなどを愛おしむ気持ちから生まれる瞬間が、見る人を笑顔にしてくれます。

結果発表

本誌:佐藤拓