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パナソニックが調査結果「家族写真の昔と今」発表。撮影機材や保存方法など、世代別の利用実態について

パナソニックは3月8日、「昔と今の家族写真に関する調査」の調査結果を発表した。

カメラの種類が増えたことなどにより、同社は近年一般家庭でのカメラ事情が大きく変化しているとして、家族写真の昔と今について調査を実施した。カメラの利用状況から、現像方法やSNSの活用方法の違いについて、「世代ごとのカメラの歴史を明らかにします」としている。

調査対象は、15~54歳の男女881名。実施期間は、2022年2月8日から15日まで。なお、同調査においては、15~24歳をZ世代、25~39歳をミレニアル世代、40~54歳をX世代と定義している。

子供の頃はどのようなカメラで写真を撮っていたかの調査

Q.あなたが子どもの頃は、何で写真を撮られていましたか?

「あなたが子どもの頃は、何で写真を撮られていましたか。よく使われていたものを3つまで教えてください」という問いに対して、X世代の回答には「フィルムカメラ(一眼レフカメラ以外)」「インスタントカメラ」「一眼レフカメラ」といった昔なじみのカメラがランクインした。

一方で、Z世代・ミレニアル世代では「デジタルカメラ」の他に「スマートフォンのカメラ」がランクインしている。同社はこの結果から、時代によって一般家庭で使われていたカメラが「フィルムカメラ」→「インスタントカメラ」→「デジタルカメラ」→「スマートフォンのカメラ」のように移行していったと分析。カメラの種類が増え、選択肢が広がっていくにつれて、便利さや手軽さを求めてデジタルカメラやスマートフォンカメラの利用が増加したようだとコメントしている。

Q.現在、子どもの写真は何を使って撮影しますか?

「現在、子どもの写真は何を使って撮影しますか。よく使われていたものを3つまで教えてください。」という問いでは、ミレニアル世代とX世代の両世代で、スマートフォンが8割以上を占める結果となった。

スマートフォンの他には、特別な写真を撮る時は一眼カメラやコンパクトデジタルカメラを使用するなど、シーンによってカメラを使い分けているという結果が得られた。なお、Z世代については、N数(子供がいる回答者)が少ないため排他している。

写真の保存方法に関する調査

同社は次に、撮影した写真の保存方法について、自分が子供だった頃と現在とで比較する調査を実施した。

一般家庭で利用できるカメラの種類が多様化したように、PCやスマートフォンなどのデバイスの流通により保存の手段も変化が見られるという。また、写真を効果的にシェアできるSNSツールの流行もあり、「共有」という観点からも写真の捉え方が変わってきていると同社は指摘した。

Q.あなたが子どもの頃の写真は現像して保存していますか?

「あなたが子どもの頃の写真は現像して保存していますか。」という問いでは、約8割の人が現像して保存している(編注:オンライン=データ保存の対となる選択肢のため、“プリントで保存している”という意味と思われる。以下同)という結果になった。回答者の子供の頃を想定すると、その多くは、現像しか保存する手段がなかったことが理由だと同社は分析している。

「現在、子どもの写真は現像して保存していますか。」という問いでは、オンラインのみで保存するという回答も多かった。しかし「アルバムに残したいから」などという理由で、現像して保管している人も半数以上いるという結果になった。

なお、「撮った写真はSNSに投稿しますか。」という問いでは、67.2%が「2週間に一度はSNSに写真を投稿する」と回答。その中でも「毎日する」と回答した人は16.8%、「2~3日に一度程度する」と回答した人は19.6%と、合わせて36.4%が数日おきにSNSに写真を投稿しているという結果になった。

このことから、スマートフォンの流通によって写真を撮る機会が増えている現在において、「アルバムやオンライン保存だけでなく思い出の残し方のひとつとしてSNSがあることがわかる」と同社は分析している。

目的別によるカメラの使い分けについての調査

スマートフォンカメラの利用者が増えているなか、他のカメラがどのような目的で使われているのかを調査した。

Q.子どもの思い出の撮影はデジタルカメラでキレイな写真を残してあげたいですか?

「子どもの思い出の撮影はデジタルカメラでキレイな写真を残してあげたいですか。」という問いでは、86.4%が「はい」と回答。デジタルカメラで撮影することが多いシーンとして、「特別な日の写真」や「旅行先の写真」などが挙げられている。

スマートフォンが主流となった今でも、特別な行事や記念の日、家族で思い出を残した日は、スマートフォンと使い分けてデジタルカメラでキレイな写真を残したい人が多いという結果となった。

Q.写真館やプロのカメラマンにお願いして家族で写真を撮ったことがありますか?

「写真館やプロのカメラマンにお願いして家族で写真を撮ったことがありますか。」という問いでは、複数回あるが36.4%、一度だけあるが16.4%、一度もないが47.2%となった。

「写真館やプロのカメラマンに写真を撮ってもらったことがない理由や、撮ろうと思わなかった理由を教えてください。」という問いに対して、「料金が高い」「一部の家庭の人しか撮ることができないイメージがある」「兄弟で年齢差があり家族揃って写真を撮る機会がなかった」「デジタルカメラで満足できる」などの回答が得られた。

また、他の理由として「料金が高いから」「一部の家庭の人しか利用できないイメージがある」「家族の構成などにより、プロのカメラマンや写真館で写真撮影をお願いする時間的な余裕がない」という回答も多くあったという。このほか、デジタルカメラの性能が上がっていることにより「家庭のデジタルカメラで満足できる」という回答もみられた。

思い出の写真はキレイに残したいと考えている人が8割以上もいる中で、プロのカメラマンや写真館での撮影を経験したことがない人が約半数という結果となっている。

スマートフォンのカメラとデジタルカメラの便利な点と不便な点

上記の調査から、カメラの多様化により、多くの人がシーンによって特性の違うカメラを使い分けていることが判明。同社は、一般家庭で使われることが多いスマートフォンのカメラとデジタルカメラについて、「スマートフォンの撮影で便利な点」「スマートフォンの撮影で不便な点」「デジタルカメラの撮影で便利な点」「デジタルカメラの撮影で不便な点」のそれぞれについて調査した。

スマートフォンの便利な点は?

スマートフォンのカメラで便利な点として挙げられたのは、「手軽に撮影ができる」「持ち運びがしやすい」という点だった。撮影をする予定がない時でも、スマートフォンさえ持っていればその場で撮影ができ、SNSへの投稿が簡単であることが支持されている。

不便な点として挙げられているのは、「手ブレしてしまう」「暗所での撮影に向いていない」「高倍率ズームができない」といった機能面。初期のスマートフォンよりも性能が上がっており、多くの問題が改善されているが、それでもデジタルカメラや一眼カメラの精度には追いついていないと感じている人が多くいる結果となった。

デジタルカメラの便利な点は?

デジタルカメラの便利な点としては、「画質が綺麗」「本格的な写真が撮れる」「手ブレに強い」という点が挙げられている。いずれも、スマートフォンのカメラの弱点を補填するようなものが多く、家庭で本格的な写真を撮るのに向いていると感じている人が多い結果となった。

不便な点としては、「持ち運ぶのが面倒」「データの管理が面倒」「自撮りがしづらい」と、スマートフォンが得意分野している要素との比較が多く挙げられている。

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。