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写真から顔や名前を自動消去するクラウドサービス「キャラメル」。動画対応&API提供も予定

株式会社ビッツは1月19日、写真に写ってしまった個人の特定につながる情報を自動で消去するサービス「Character Melting System」(キャラメル)のバージョンアップ版を提供開始した。利用料金は、毎月100枚まで利用可能な「ミニマムプラン」(アルバム写真保存は7日間)が月額800円など。1カ月無料のお試しプランも用意している。

「キャラメル」は、クラウドに写真をアップロードするだけで自動的に個人の特定につながるような情報を消去するというサービス。顔出しNGの子どもの顔をあらかじめ登録しておけば、アップロードした写真に対して自動で顔部分がスタンプ処理されるようになる。また、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した際に埋め込まれた位置情報・撮影日時なども同時に消去することも可能としている。

昨今、SNSの普及により子どもたちの写真や個人情報が流出して、事件に発展するケースも少なくないという。そのため、保育園・幼稚園などの保育施設が運営するHPやブログなどに掲載される写真は、一部の児童の顔や名札などにスタンプなどでマスキング処理が施されている。

同社はそうした作業が手作業で行われていると知り、保有する技術で自動化できるのではないかと考え、開発をスタートさせたという。1年がかりで十分な精度のシステムが完成し、保育園への試験導入を開始。保育士からのフィードバックを受け、2021年8月からサービスを提供している。

処理前のサンプル画像
処理後のサンプル画像

AIと複数の画像処理フィルターを組み合わせることで、写真の雰囲気を保ちつつ、文字情報を自然に消去できるという(日本語だけでなくあらゆる言語や数字に対応)。一度に30枚の写真を並列処理でき、1分程度で安全な写真をアルバムに表示できるという。なお、意図的に撮影されたと思われる大きな文字(入園式、お誕生日会など)は表示したままにできるほか、手動による指示にも対応する。

今回のアップデートでは、指定した顔をスタンプで隠す自動機能や、登録なしで体験できるクイック体験コーナーを追加。写真アルバム容量も50GBに拡大した。

同社は今後、3月中を目途にキャラメルエンジンのAPIを提供予定。また、アルバムの長期写真保存に備え、タグ付けなどを自動化して多様な検索ニーズに対応するという。さらに、顔識別機能により、ブログなどに掲載される人物の登場頻度を自動カウントし、登場頻度の平均化作業のサポートや、動画への対応も予定している。

対応ブラウザは、Google Chrome、Microsoft Edge、Safari。作業端末の対応OSは、Windows10以上、iOS14以上、Android7以上を推奨。

処理前のサンプル画像
処理後のサンプル画像。ロッカーの名前も消去されている
飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。