ニュース

第14回 タムロン鉄道風景コンテストの結果が発表。魚眼で捉えたサフィール踊り子とEF59×タイタニックオマージュ作品が大賞を受賞

株式会社タムロンは9月27日、「第14回 タムロン鉄道風景コンテスト 私の好きな鉄道風景ベストショット」の審査結果を発表した。応募者数のべ1,947名の中から大賞を含め入賞作品全87点の受賞者が決定した。

第14回となる今回は、応募総作品数7,630点、のべ1,947名からの応募があった。この中から87名の入賞が決定。大賞は佐野哲朗さん「新種で~す」(一般の部)と加納優一さん「俺、飛んでる!」(小・中・高校生の部)がそれぞれ受賞した。

タムロン鉄道風景コンテストは、鉄道風景や鉄道のあるスナップ写真など、鉄道をからめた作品を幅広く募るフォトコンテスト。地域の活性化や鉄道文化振興を目的として毎年同社主催で開催されている。

大賞受賞作品のほか、準大賞や審査員特別賞など各受賞作品は同社特設Webサイト上で公開。今後は、そごう大宮店(埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-6-2)にて10月14日~10月29日にかけて入賞作品写真展が開催される予定。また、上位入賞作品は『レイル・マガジン』2022年1月号での掲載も予定されている。

一般の部 大賞(さいたま市長賞)

作品名:「新種で~す」 撮影:佐野哲朗さん

 サフィール踊り子を、伊豆急線内の鉄橋に併設された歩道から撮影されたものです。もちろん仕切りの外から危険のないように撮られています。魚眼レンズでの撮影なので車体がデフォルメされ、最新のサフィールを超える新形車両、あるいは巨大な昆虫であるかのようにも見えます。作品は特に露出の決め方が良かったと思います。撮影データを見るとマニュアルでF8、1/2000秒で撮っています。青い美しいボディーカラーを強調するため、露出を少し切り詰めて色の濃度を上げ、深い青空に溶け込むようなグラデーションが美しく再現されました。

 鉄道写真には〝構図〟というものがないと僕は思っています。作品の良し悪しを決めるのは、ほとんどが〝構成力〟。この写真は構成力が非常にいいですね。左側もギリギリ、右も画面ギリギリ。ハイライトの輝点が真ん中ではなく少し右に寄っているところもいいです。非常に迫力があり、斬新な作品といえます。

選評:広田尚敬氏

小・中・高校生の部 大賞(さいたま市教育委員会 教育長賞)

作品名:「俺、飛んでる!」 撮影:加納優一さん

 EF59のデッキで、お友達と二人で映画「タイタニック」の有名シーンを真似た作品ですね。見た瞬間に笑いがこぼれました。映画では男女のシーンですが、それを男子同士でしっかり大真面目に演じているのも(男子同士のせいか二人の距離感が微妙に空いているのも)楽しいです。客船の舳先に乗って大海原を行くイメージで、やや下からあおり気味に撮っているので、空が広々と気持ちよく写って雲の形もダイナミックに描写されました。また白いTシャツだったせいで画面がすっきりと爽やかになり、EF59の色を損なうこともなく車両の存在感をしっかり出しています。楽しく、清々しく、まさに10代ならではの自由さと元気の良さが伝わってきます。

 パッと見たときにインパクトがあって、見ているうちにじわじわと面白さが伝わってきて、とても魅力に満ちた作品だと感心しました。作者が〝監督〟になって、ああしてこうしてと演技指導している様子を想像すると、さらに楽しさが増しますね。

選評:矢野直美氏

本誌:宮澤孝周