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キヤノン「デュアルピクセル CMOS AF」が全国発明表彰内閣総理大臣賞に

科学技術の発展・産業の振興に貢献した発明に贈られる賞

キヤノン EOS 70D
デュアルピクセル CMOS AFを初めて搭載したEOS 70D

キヤノン株式会社は、公益社団法人発明協会が主催する平成30年度全国発明表彰において、「撮像面位相差オートフォーカス方式を実現するイメージセンサの発明(デュアルピクセル CMOS AFに関する発明)」で内閣総理大臣賞を受賞した。

本発明表彰は、大正8年に日本の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、公益社団法人発明協会が多大な功績をあげた発明を表彰するもの。

また、多大な功績を挙げた発明、考案、意匠、あるいはその優秀性から今後大きな功績を挙げることが期待される発明などを表彰している。

内閣総理大臣賞は、科学技術の発展と産業の振興に貢献した発明に贈られ、最高位の恩賜発明賞に次いで優秀と認められた発明に対して贈られる賞となる。

なお、内閣総理大臣賞の受賞者は同社室長の山崎亮氏。発明実施功績賞として同社代表取締役会長CEOの御手洗冨士夫氏が受賞している。発明実施功績賞は、内閣総理大臣賞などの特別賞が授与され、これを受賞する該当法人の代表者に贈られるものとなる。

デュアルピクセル CMOS AFは、2013年8月に発売された「EOS 70D」で初めて搭載されたAF機構。1つの画素を2つの独立したフォトダイオードで構成したCMOSセンサーであり、それぞれのフォトダイオード別に計2枚の映像を取得、双方の映像の位相差を検出する。画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備えており、像面位相差AFでありながら位相差画素を必要としない点が特徴。

現在もキヤノンの一眼レフカメラやミラーレスカメラで展開されており、ライブビューや動画撮影においてAFを使った新たな撮影スタイルを提供。映像表現の幅を格段に広げ、映像文化を大きく発展させることに貢献しているという。さらには、撮影画像とともに画素単位の「奥行情報」も取得できるため、被写体形状を立体的に把握できる次世代画像認識技術への応用も期待されている。

デュアルピクセルCMOS AFに対応したEOS 70Dの撮像素子

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。