動く被写体を止める・流す
光が一本の線のように流れている写真を見たことがありますか?
上の写真はシャッター速度を5秒にして、遊園地の乗り物を撮影しました。5秒間の光の軌跡が写し込まれ、このような不思議な造形になるのです。
絞り優先オートでは絞り値を自分で選べたように、シャッター速度優先オートではシャッター速度を任意で選択することができます。手ぶれしてしまった、被写体ぶれしてしまったという失敗はありませんか。今回は動いている被写体を止めたり、わざとぶらしたりできる、シャッター速度についてお話ししましょう。
シャッター速度とは?
シャッター速度とは、カメラ内のシャッターが開いている時間のこと。シャッターは写真の明るさの調整に使われるのですが、シャッターが開いている時間の長さによって、動いているものが写し止められたり、ぶれたりします。
モードダイヤルをSにすると、シャッター速度優先オートになり、シャッター速度を任意で選ぶことができます。このカメラでは画面に黄色く「40」と表示されていますが、分子が省略されているので1/40秒となり、逆に40秒の場合は「40”」と表示されます。
シャッター速度を変えると?
シャッター速度を意識した例を見てみましょう。
動きのある被写体に対して、シャッター速度を変えると写り方に変化が出ます。シャッター速度が速いと動きがピタッと止まったように写り、遅いと動きがぶれて写ります。ただ、シャッター速度を遅くすると被写体ブレだけではなく、カメラブレも生じる可能性があるので注意しましょう。
シャッター速度を変えて噴水を撮影しました。水の流れに変化があるのがわかります。シャッター速度が速いと水しぶきが止まって、目では見えないような水の粒が見えます。一方、遅くすると、白い線のようになり、こちらも目では見えない水の動きの軌跡を写すことができます。
1/640秒で撮影しました。子供の動きとともに、落ち葉がぴたっと止まり、時間が止まったかのようです。
1/100秒で撮影しました。それほど遅いシャッター速度ではありませんが、落ち葉の動きが速かったので、わずかにぶれが生まれています。そのおかげで、葉が舞い散る動きを感じさせることができました。
シャッター速度を速くすることで、被写体ブレを防ぐことができます。同時に、瞬間を切り取った表現が可能になります。どれくらいのシャッター速度でどんな速度のものを写し止められるかは、被写体の動きや距離、レンズの焦点距離などによって変わります。いろいろなシーンで撮影していくうちに経験が積まれていくはずですよ。
水がポタポタ落ちているところをクローズアップし、1/1,250秒で写しました。1/500秒ぐらいから徐々にシャッター速度を上げていき、再生し、拡大しながらチェックしました。1/1,000秒でもわずかにぶれていたので、それよりも少し速くしています。
反対にシャッター速度を遅くすることで、被写体の動きの軌跡が表現できます。動く被写体のブレが軌跡を作るのです。そうしたスローシャッターでの撮影をする場合は、カメラの手ぶれを防ぐために三脚を使いましょう。
東京駅の夜景を5秒で写しました。建物に変化はありませんが、車が動いたので、ライトが線になって見えます。暗いので車体自体はぶれ切って見えませんが、明るいライトの光だけが写されます。手持ちで撮影するとカメラブレしてしまうようなシャッター速度なので三脚を使用しました。
シャッター速度が遅いと、こんな遊びができます。「露光間ズーム」といって、シャッターが開いている間にレンズをズームさせると、光が飛び出したように写ります。ズームを動かす間、シャッターを開いておく必要があるので、数秒間のシャッター速度が欲しいところです。
ISO感度とは
ISO感度は光に対する感度で「アイエスオー感度」や「イソ感度」と呼びます。
夜行性の動物を高感度カメラで撮影した映像を見たことがあるでしょうか。真っ暗な中でも動物の動きが捉えられていますが、画面が粗く感じます。デジタルカメラも同じように感度を上げることで、暗い中でも明るく、ぶらさず写すことができます。ISO感度の設定は任意で固定できるほか、カメラが自動で設定してくれるISOオートがあり、通常はISOオートにしておくと安心です。
このカメラではISO200が基準の感度。数値が低い方が低感度となり、きめ細やかな画質ですが、速いシャッターが切りにくく、暗いところではブレの心配があります。
一方最高感度のISO25600では暗いところでも明るく写せるし、速いシャッターを切ることができますが、全体的にザラザラとしていて、ぼんやりと見えています。高感度にするとシャッター速度が速くなるとはいえ、不必要に上げてしまうと画質が低下するというデメリットもあるのです。
連写の使い所は?
高速シャッターが生きる例として連写があります。
動いている被写体のベストな瞬間を写すのは難しいものです。シャッターチャンスが来た!と思ってからシャッターを切るのでは遅く、ある程度動きを予測するなど、被写体への知識や経験も必要ですが、連写することでチャンスの幅を広げることができます。ドライブモードを連写にすると、シャッターボタンを押している間、短い間隔でシャッターが切れます。
子供が走っているところを連写しました。実際には掲載した写真の間にも2、3カットあるので、かなりの枚数が記録されます。このようにたくさん写す中で、動きや表情の良いもの、ピントが良いものを選び出すことができます。
オートフォーカスにも色々ある!
上の写真のように動く被写体を連写するときは、AF(オートフォーカス)を「コンティニュアスAF」(カメラによってはC-AF、CAF、AIサーボなど)にすると、向かってくる被写体にピントが合いやすくなります。
通常は「シングルAF」(S-AF、SAF、ワンショットAFなど)を使っている方が多いと思いますが、前後に移動している被写体を連写する場合はC-AFがお勧めです。連写するときは、最初の1枚目でピントを合わせると、あとはずっとシャッターボタンを半押しするだけで被写体にピントを合わせてくれます。シングルAFは被写体を追わず、被写体が動くとピントがどんどんと外れていってしまうのです。
その代わりシングルAFでは、一度シャッターボタンを半押しするとピントが固定されます。そのため、画面の中央で被写体にピントを合わせたあと、半押ししながらカメラを動かし、構図を整えることができます。これを「フォーカスロック」といいます。スナップ撮影には便利ですね。
逆にコンティニュアスAFでは合わせ続けるのでピントを固定することはできません。おなじAFを使うモードですが、シングルAFとコンティニュアスAFにはこのような違いがあります。