背景をぼかすには
背景がふわっとぼけた写真にあこがれて、レンズ交換式のカメラを手に入れた方も多いとおもいます。確かに、スマートフォンやコンパクトデジタルカメラに比べるとぼかしやすいのですが、ただ撮って見るだけではふわっとしたボケにはなりません。
背景をぼかす4つのポイントを知り、思い通りにぼけをコントロールしましょう。
背景をぼかす4つのポイント
背景をぼかすには
「F値を小さくする」
「ズームレンズの望遠側で写す」
「被写体に近づく」
「背景を遠ざける」
という4つのポイントがあります。大きくぼかす場合は全てを取り入れ、ほんのりぼかすには減らしていくようにします。
まずは大きくぼかせるよう、4つの要素をひとつずつ取り入れてみましょう。
F値を小さくする
F値を小さくする=「絞りを開放にする」といいます。
絞り優先オート(AまたはAvモード)でF値を小さくすると、背景がぼけやすくなります。
ここでもう少し詳しく……
「絞り」とはレンズの中にある、レンズからカメラに取り込む光の量を調節する部分です。絞りは数値で「F○」と表示され、これを「絞り値」、または「F値」と言います。
この絞り値を変えると、光の量と一緒に「被写界深度」が変化します。被写界深度とはピントがあって見える範囲のこと。写真用語のひとつとして覚えておきましょう。
被写界深度が変わると、ぼけも変わります。絞りを変えて同じ被写体を撮ってみました。
ボケを大きくする=被写界深度を浅くする=絞り値を小さくする
ボケを小さくする=被写界深度を深くする=絞り値を大きくする
と覚えておきましょう。
ズームレンズの望遠側で写す
標準ズームレンズの広角側と望遠側では、ボケ具合が違います。望遠側で写すとぼけが大きくなります。
標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」を一番望遠側にした状態です。カメラはいつもの「OLYMPUS PEN E-PL7」。
ズームさせると「焦点距離」が変わります。焦点距離はレンズの名前にも含まれていて、「14-42mm」の部分がそう。このレンズの一番の望遠側の焦点距離は42mmです。焦点距離の数字が大きいほど望遠側となり、他の条件が同じなら、よりぼけが大きくなります。
いろいろなボケ
キットの標準ズームよりもさらにF値が小さいレンズ、焦点距離が長いレンズ、被写体に近づけるレンズを使うと、より大きくぼかすことができます。
ボケは被写体の後ろに限らず、前側にも現れ、これを前ボケと呼んでいます。背景ボケと同じようにやわらかな雰囲気を出すことができるだけではなく、主役の一部を隠したり、奥行きを感じさせる効果があります。
イルミネーションのような点光源をぼかすことで、丸いボケを作ることができます。自然の中でも木漏れ日や水面の反射、水滴などをぼかすと丸くなります。
被写体の手前にある前ボケ。奥の花にピントを合わせれば手前の花がボケるので、画面の空いた部分を前ボケの彩りで埋めることができました。鏡に写った被写体にピントを合わせ、本体をぼかすのもおもしろいですよね。
背景をぼかすことで、ふんわりした雰囲気に仕上がるだけではなく、主役が目立つ効果もあります。4つのポイントを上手に取り入れて、自分好みのボケ具合に仕上げましょう。
さて、次回はシャッター速度についてレクチャーします。動いている被写体をぶらさず、シャープに写せるコツをご紹介しますよ!
使用したカメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL7