編集後記

2021年10月22日

宮本義朗
What happened?

新卒で入社した会社を辞めた私は、充電期間(?)と称して欧州一人旅を実行しました。この先の人生でもうこんな時間は作れないだろうと思い、4週間ほどをかけてスペイン、アイスランド、イタリア、ドイツを周遊。なんとなく行っておきたいな、と思った街を巡りました。もうしばらく前の話です。

アイスランドでは、車を借りて島を一周しようという計画を立てました。期間は1週間ほど。4月の後半から5月の頭にかけての時期で、北欧では白夜の季節が始まりかけていました。夜は地平線の向こう(正確には山々の向こうですかね)に薄く日の明かりが残っているくらい。それもあり、滞在中はパーキングスペースなどでの車中泊を織り交ぜながらの気ままなドライブ旅となりました。

アイスランドは、“リングロード”と呼ばれる国道1号線が、島をぐるりと1周するように主要な街を結んでいます。大陸プレートの境目や、巨大な間欠泉、スケールの大きな滝、氷河など、いよいよ地球の果てに来てしまったなというような、雄大な自然を巡りながらリングロードを進んでいきます。

北部にあるミーヴァトン湖に向かう道すがら、その日は朝から気温が低く、雨が降っていました。途中で雨が雪へと変わり、道路にもうっすら雪が積もってきたなと思った瞬間、私はスリップして車道から滑り落ちてしまうのでした……。

後に来た車を強引に止めて街まで送ってもらい、翌日業者と一緒に事故現場へ。それが冒頭の画像なのですが、前日とはまるで違う場所であるかのように快晴。業者のお兄さんが「What happened?」と問いかけてきた時の不思議そうな顔は忘れられません。どうやらこの季節にしては珍しい悪天候にぶつかってしまったようです。

それにしてもなぜ一瞬にして私は脱輪せねばならなかったのか。その答えが下の画像です。こんなになるのかというほどタイヤの溝がツルツル。もはやノーチャンスでした。車を借りるときは、車体の傷だけでなくきちんとタイヤのコンディションも確認しておかないといけませんね。英語でのやり取りを極力減らそうと気が焦ったせいか、その確認が甘くなったようです。

このタイヤを見たお兄さんが「oh shit……」とつぶやいたのは、英語が不得意な私でもしっかりと聞き取れました。日本の車検制度も、そう捨てたものではないのかもしれません
微笑ましい旅の記録

旅の経験は自分を強くさせます。見知らぬ国でこんなトラブルが起こっていますから、大抵のことでは動じません。帰国後に入社した会社で、東名道を営業車で走っている途中にタイヤが突然「バンッ!」と音を立ててバーストした時も、私を動揺させるまでには至りませんでした。ありがとうアイスランド。

最近は国内旅行すらまともに行けていないので、旅行フォルダを眺めてはため息をつく時間が増えました。せっかくの旅の話なのに、雄大な自然の画像じゃなくてすみません。