編集後記

2020年9月11日

鈴木誠

神保町近景

ひょんなことから自動車の話題にも広く親しもうと、Car Watchの記事や各ジャーナリストのYouTubeチャンネルをよく見ています。メディアが起用するジャーナリストは、一定の知識と経験による公平性や共通認識を持っているだろうという期待です。もちろん趣味においては「自分が好きなものをひたすら肯定してくれる人だけが好き」という嗜好もアリですが、それでも皆の幸せためには主観と客観の切り分けが大事だと思います。

さて、先日発表されたメルセデス・ベンツの新型Sクラスの公式映像を眺めていたら(※見るのはタダ)、序盤の撮影地がライカカメラ本社のあるライツパークでした。何となく見覚えがあるような……と思いつつ、案内板に「Ernst Leitz Werkstätten GmbH」の文字が見えたので確信。

The New S-Class: World Premiere | Trailer

この場所は「Leica Watch」の工房やライツパークの執務室があるビルの前です。直接の関係はないでしょうが、ライカカメラ社主のアンドレアス・カウフマン氏がこの工房について「ライカにおける(メルセデス・ベンツのハイパフォーマンス車を象徴する)AMGのような部門」と表現していたのを思い出しました。

関連記事:インタビュー:ライカが作った「腕時計」と「ホテル」。その心は?

カメラ趣味を追求していると、時に「高価なカメラを持っていたら、必ずそれに見合う素晴らしい作品を撮って発表し、周囲を納得させなければいけない」とするような強迫観念に飲み込まれ、居づらさを感じることもあるでしょう。その点クルマではドライビング・プレジャーという「運転そのものが楽しいよね」的な感覚が広く浸透していて、素敵だなあと思います。カメラだって趣味なんだから各自で勝手にやればいいんですが、どうしてもSNSのようなコミュニティでは車間キープが難しかったりもするわけです(←コレを言いたかった)。皆さまどうぞご安全に。

※Car Watchの「事故の確率を0.1%減らせるかもしれないリレーコラム」、好きです。