岡嶋和幸の「あとで買う」

822点目:文章力を高めたいクリエーターのための本

古賀史健『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

古賀史健『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』

タイトル、ステートメント、キャプション、プロフィールなど、作品制作を行っていると文章を書く機会が多いものです。近年はフォトスクールなどで、写真だけでなく文章についてアドバイスすることが増えました。『写真総合』や『写真力アップのための新トレーニング』といった本で、そのためのヒントをまとめたりしていますが、写真表現が中心の内容なので限界があります。

優れた写真作品を見て学ぶように、文章力の向上には本をたくさん読むことが大切だと考えます。でもそれだと時間がかかるので、自分が思っていること、伝えたいことをうまくまとめるために、より効率良く学べる教科書はないかと思って見つけたのが本書です。ライターを目指している人だけでなく、「書くこと、伝えることで自分と世界を変えようとするすべての人に向けた教科書」です。

作品制作に限らず、SNSなど文章で誰かに伝えたりする機会が増えています。本書で書くことや伝えることの大切さを知ることで、いろいろな場面に役立てることができるでしょう。個人的には第3章の「調べること、考えること」、第5章の「構成をどう考えるか」、第8章の「推敲という名の取材」が特に参考になりました。販売価格は3,300円で、Kindle版もあります。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。