岡嶋和幸の「あとで買う」

752点目:自分らしい写真を長く楽しむための提案書

野寺治孝『個性あふれる“私らしい”写真を撮る方法』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

野寺治孝『個性あふれる“私らしい”写真を撮る方法』

写真家の野寺治孝さんによる写真の撮り方の本です。といっても作例写真を使って撮影などのテクニックを解説するのではなく、どちらかというとエッセイのような印象です。感性と個性が感じられる写真を楽しむための考え方やヒントなどが言葉で綴られていて、気軽に読み進めることができるでしょう。明日発売で、販売価格は2,200円です。

目次を見てみると、興味深い言葉がたくさん並んでいます。例えば「上手な写真が魅力的とは限らない大切なことはその先にある」「見慣れている地元や家族はテーマを決めてから撮る」「流行を追いかけた写真ではなく自分の“好きなもの”だけを撮ろう」「“作意”は設計図となるが“作為”はウケ狙いのあざとさとなる」「“何を撮る”かではなく“どう撮る”かが大切」など、私もフォトスクールで同じようなことを伝えているのでとても共感できます。自分の写真に何が足りないのかを教えてくれる1冊といえるでしょう。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。