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【Case-30】村上妙子の場合
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生まれ育ったのは三重県のとある田舎町です。街まで出掛けて行くための交通手段はバスのみ。それも1時間に2、3本しか走っていない田舎に住んでいました。
買い物や通学するには確かに不便でした。だけど、その反面自然が豊富にあって、子どもの頃は川で魚捕ったり泳いだり、林で昆虫を捕まえたりしてよく遊んでいました。東京に住んでいる今でも、ゆる~くのんびりした性格はこどもの頃からあんまり変わっていないです。
高校を卒業してすぐ親元を離れひとり暮らしをしまた。都会に出ることにすごくワクワクしてました。わたしは好奇心がかなり強いほうだと思います。まわりからよく言われるのは、ちょっとマニアックで変わり者だと思う……って。
気が付いたら、東京に住んでもう6年目となってしまいました。今の私がココにいるのは、今まで出会った彼氏や友達のおかげだと思う。たとえば音楽を通じての遊び方、考え方、その他にもみんなからいっぱい影響を受けたきました。
昔から踊ることが大好きで、音を聴くとからだが自然と動き出してしまう。上京してから、今までずっといろんなアルバイトをしながらやってきました。だけどダンサーになった今、音にはまって自分の世界にはいって踊っている自分が最高に楽しい。だからこそ、初心を貫いてずっとずっと続けてきて良かった! と実感しています。
今回は昨年からの続きの妙子ちゃんの作品をようやくまとめて発表してみた。以前にも少し書いたが、同じような焦点距離がダブっているレンズを多用していることがわかった。やはり、好きな画角、使いやすくクセになっている画角や焦点距離というのがあるんだなあーと今さらながら納得してしまった。
このシリーズの撮影がスタートした時点では、それまでのやり方のひとつとして、併用する機材に6×6の銀塩フィルムカメラであるハッセルブラッドにプラナー80mm標準付きをメインに使用していた。そのせいもあってか、35mm版デジタルカメラは自然と広がりのあるワイド系を多用した。あとから構成する時に、真四角なフレームの中に標準の画角、縦位置もしくは横位置の2:3のフレームのそれぞれが際立つようにという意味もあったのだろう。
ここの誌面には無いが、普段あまり使わない長玉も敢えてポイント的に使ってみたりとかもしていた。何故、自分で「だろう」なのかというと、今ではすっかりデジタルが主流になってしまっているから、少し前の事も覚えていない。そのくらいデジタル機器の発展や使用上の方法論のスピードが速くて、それらに追いついていくのが精一杯なのが難点でもあり、新しい機材を手にするのはまた楽しい部分でもある。
使用中の4カットを撮影した古いアパートは、神奈川県の某所に残っていた。昭和の歴史そのものといった風情があり、とても気に入っていたので、その後の撮影でもお借りしようと数カ月前に訪れたら、なくなっていた。正確には「柱だけが焼け残っていた」だ。立ち入り禁止にはなっていたが崩れかかったままに放置され、焦げ臭い臭いすら微かに残っていたので、どうやら撮影日の直前に火事になってしまったようだ。屋根はすっかり焼け落ちていて、大黒柱がかろうじて立っていたが、そのまわりには壁材や床だった部分が瓦礫となってしまっていた。
ボクは新しい建物や町並みには何も感動しない。歴史がある町並みや人間の営みの歴史や息遣いが感じられる建物にこそ「ここで写真を撮りたい!」という感情が働くタイプだ。またひとつ、そんな良き時代の臭いが残る建物が消えてしまったのがとても悲しい。バックナンバーにその「焼け跡」を背景に使った写真があるので、興味がある方は探して見て欲しい。
使用機材
Nikon D2X
AF-S DX Zoom Nikkor ED 12~24mmF4G (IF)
AF-S DX Zoom Nikkor ED 17~55mmF2.8G (IF)
Ai AF Nikkor 50mm F1.4 D
SIGMA 18~50mm F2.8 EX DC
Sandisk Extreme III
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■ URL
バックナンバー
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/haruki_backnumber/
HARUKI (はるき)1959年広島市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。広告、雑誌、音楽の媒体でポートレートを中心に活動。
1976年 個展「FIRST」を皮切りに、多数の個展、グループ展を開催。1987年朝日広告賞グループ入選、表現技術賞受賞。1991年パルコ期待される若手写真家展選出。コラボ作品がニューヨーク近代美術館に、「普通の人びと」シリーズ作品が神戸ファッション美術館に永久保存。
2005年に個展「Tokyo Girls♀彼女たちの居場所。」を東京 渋谷、2006年に京都で開催。
http://www.harukiphoto.com/ |
2006/11/20 00:02
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