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[2007/03/19]

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[2007/03/05]

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[2007/02/19]

【Case-38】朝日桂宜の場合
[2007/02/05]

【Case-37】佐藤恵子の場合
[2007/01/22]

【Case-36】足立浩美の場合
[2007/01/15]


2006年

【Case-20】上谷弥美の場合



 私は『嬉しい』人が好きなの。私の中では、嬉しそうな人=シアワセな人だから。お金持ちより高学歴より、嬉しそうな人が私の中ではその時その時のチャンピオン。女の子は特に『嬉しそう』な子のがやっぱり必要とされてる気がするなぁ、周りの子を見ても。大人になって限られた時間で遊んだりご飯食べたりするなら、やっぱり嬉しそうな子といたいよね。女の私がそう思うんだから、男の人はもっとそう感じると思うなぁ。

 25歳の頃、仕事やら何やらいろんなことで私が悩んでいた時、何も相談したわけじゃないのに『女の子は明るく楽しくいる事が一番のお仕事だよ。それだけで十分だよ』と言ってくれた人がいて「なんて素敵な男なんだ!!」としみじみ感激したことがあるの。現実は、それだけじゃダメだと思うけど、『それも』なくてはならない要素だなぁって感じる。忙しくてイラっとする日もあるし、ブスッとしたい出来事もあるけど、なるべく明るくて楽しくて可愛げのある女でいたいなぁ……。

 あとね、忘れられない一言と言えば、さんざん遊んだ帰り道に『あぁーこんな楽しい日がいつまで続くんだろー』とイイ気分でデカイ声で言った私に、『いつまでもずっと続くよ!』と静かに笑いながら言った人もいる。何年経ってもその一言が忘れられないの。どんな言葉より勇気が出て、明日も頑張ろうと思えたから。その言葉を思い出すとき、その時の車の助手席に射してた光の具合いや、流れてきた風の温度や湿度まで思い出すよ。

 いつか誰かが、あの日の私とおんなじような問いかけをしたら、私も力いっぱい『いつまでも続くよーー』と言える私でいたい。現実はそうじゃないってみんな知ってる今だからこそ、そう言える私でいたいなぁ、ちょっとカッコ良すぎる感じもするけど。でも絶対言うんだ!その日が楽しみ。


 父、母、弟がいて、私はこの家族をこよなく愛してる。みんなコロコロ太ってるの。父さんも好きだけど、特に母さんを尊敬してる。とにかく強力な『陽』のパワーを放っていて、有り得ないくらいモリモリ食べる。小さい頃から不安な事があっても、母が「大丈夫だよ! そんな事は何でもナイ!」と笑って言うと、本当に安心できたなぁ。私は『シアワセ』って言葉を見ると、何故か、母が大好きなあんパンを食べながら、牛乳を飲んでニッカリ笑っているのを思い出すよ。

 弟は8歳年が離れてて、私より性格がいい。家族の中では私が一番ワガママだね。弟が小学校低学年の頃、熱帯魚に凝った事があるの。おこづかいを貯めては熱帯魚屋さんに行って、1匹2匹と楽しそうに買い集めてた。ある日ね、ふと弟の水槽を見たら目が片方ない魚や、何故か半身が削げている魚や、そんな不具合な魚ばかりだったから「どうせよく見ないで買ったんだな。子どもだからこんな魚ばかり売りつけられて……」と思ってたんだけど、弟はエサをやりながら『お姉ちゃん、この魚達、お店で死ぬよりウチで死んだ方が幸せだよね?』みたいな事を言った。そういう気持で、こんな魚ばかり買い集めてたのかと思ったら、涙が出ちゃった。今となっては髭が生えて、若いのに腹までプヨプヨしてきた弟も、本質はその頃から変わっていない。だからそんな弟をすごく大切におもってるの。

 それから友達って本当に大事だと思うなあ。大学の同期のユキエとミワ、あと、その頃バイトで知り合ったユウコの3人は特に、本当の私を知ってると思う。ユキエはもう主婦で子どもがいるし、ミワもめでたく結婚した、ユウコはシンガポールで年下の彼と幸せに暮らしてる。みんな仕事も生活もバラバラだし、頻繁に会えるわけじゃないのに、心では常に大きな部分を占めてるの。

 そして私の友人は何故かB型が多いんだよね。私はA型だから合わないはずなのに。『なんでそんな事できんだよー』とか『なんでそんな事言えるんだよー』と思いつつ驚きの目でB型を眺めてると、何故か愛し始めちゃってる自分に気付くみたいな感じ。彼がいても友達との時間を必ず持つな、私は。『彼がいれば何もいらない!』ってタイプにはなれない。『彼がいたとしても、友達も、家族もいなきゃ無理!』ってタイプ。決して寂しがりやではなく、欲張りなのかな。



 今は栄養士の仕事とブライダルモデルの仕事、両方でお金を頂いてる。栄養士の資格を取ろうと思ったきっかけはね、高校生2年の時、大好きだった人が大病を患い入院した事なの。片想いだったけどね、その人が1カ月弱の眠りから生還してしばらくして、病院にお見舞いに行ったの。その人が痩せ細った体で『カレー食いたい』と言ったとき、人間の食欲に心を打たれちゃった。身体機能的にはまだ『おもゆ』とか『三分粥』とかしか受け付けないであろう時に! カレーだよ。しかもステーキとかじゃなくて、カレー。

 『生きること=食べること』なんだなぁ!とつくづく実感して、人間って可愛い生き物なんだなぁと思った。でもこの病気は一体いつになったら、そのカレーを食べてもOKになるのか、他に何を食べても良いのか、その時の私には分からないことが多くて、とってもジレったかったので、若かった私はその人にせっせとクッキーを焼きながら「栄養士の資格が取れる大学に行こう!」と決心したの。その年の夏もすごく暑かったのを覚えてる。今はこの資格に助けられているので、片想いだったその人には感謝してる。

 元々外見にコンプレックスを持ってた私が、知人に頼まれてショーの仕事を引き受けるようになったのも、その人を含めた『2度と会わないであろう人達』に、今の私の姿を見てもらえるかも知れない、と思ったから。どんな小さな仕事でも巡り巡ってその人達に届くかも知れない。最後にバイバイした時、不機嫌そうだったり悲しい顔をしちゃったりした人に、元気な私を見てもらえるかも知れないから。何だか書いてる内に、私って結局、起きたことを踏み台にどんどん前に進んでく逞しい女なんだなぁと実感してしまった(笑)


 ひろみちゃんはとにかく明るい。前向きな性格だ。幼い頃からきちんとした育てられ方をしてきた事が彼女の考え方や生き方、行動にも如実に表れている。といっても甘やかされて育ったわがままお嬢さんとはまったく違い、一般常識をちゃんと備え持っているので、何度か撮影をしたがいつも安心できた。ボクの写真の好みはどちらかというと暗いトーンに仕上げる事が多いので、ひろみちゃんをいかにしっとり撮るかが課題だった。



 ここにある写真のほとんどがシグマの18~50mmを使用したものだ。コンパクトでとても取り扱いやすいレンズだ。ニッコールの純正レンズと比較すると若干の色温度の違いがあるのだが、この価格でズーム全域の開放値がF2.8、しかもかなり寄って撮影が可能な事などを考えると、すばらしいできじゃないだろうか。AF-S DX Zoom Nikkor ED 17-55mm F2.8G(IF)を使う機会が最近では増えてきたが、機材を軽くしたい場合などにはこれからも活躍してくれるレンズであるのは間違いない。

使用機材
Nikon D2X
AF-S DX Zoom Nikkor ED 12~24mmF4G(IF)
SIGMA 18~50mmF2.8 EX DC
Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
Ai AF Nikkor 85mm F1.8D
Sandisk Extreme III
Lexer 133x



URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/haruki_backnumber/



HARUKI
(はるき)1959年広島市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。広告、雑誌、音楽の媒体でポートレートを中心に活動。
1976年 個展「FIRST」を皮切りに、多数の個展、グループ展を開催。1987年朝日広告賞グループ入選、表現技術賞受賞。1991年パルコ期待される若手写真家展選出。コラボ作品がニューヨーク近代美術館に、「普通の人びと」シリーズ作品が神戸ファッション美術館に永久保存。
2005年に個展「Tokyo Girls♀彼女たちの居場所。」を東京 渋谷、2006年に京都で開催。

2006/08/28 02:14
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