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連載バックナンバー
【Case-41】橋詰雅代の場合
[2007/03/19]

【Case-40】廣瀬友香の場合
[2007/03/05]

【Case-39】今泉麗香の場合
[2007/02/19]

【Case-38】朝日桂宜の場合
[2007/02/05]

【Case-37】佐藤恵子の場合
[2007/01/22]

【Case-36】足立浩美の場合
[2007/01/15]


2006年

【Case-08】岡本まりこの場合



 小さい頃からピアノと日本舞踊を教わっていました。休みの日は趣味で雑誌を切り抜いて作るコラージュとかやっています。でも一番好きなのは演劇鑑賞。

 うちの両親は超過保護、超過干渉で、私の手となり足となり、頭となり育てられてきました。「おまえは何もできないんだから何もしなくていいんだよ」って小学生の頃から言われてました。そんな子ども時代のある朝、目が覚めると天井がグルグルまわってた。なんだか気持ち悪くて起き上がれなかった。登校時間になるといつも外では友だちたちの楽しそうな声がして、ベットでひとり寝てる自分が嫌いだった。ごはんを食べるのさえ苦痛だった。ごはんの後の大量の薬も、毎週の注射も大嫌いだった。生きてるのが苦しかった。そして自分じゃない誰か違う人間になりたいと段々思いながら過ごしていました。

 それでも楽しみな事がひとつだけあった。それは月に1度、親に連れられてお芝居を見に連れて行かれた事でした。舞台の上で泣いたり笑ったり走り回ったり、なんであんなにキラキラしてるんだろう……お芝居を見てるとすっごいパワーが伝わってきて、私のスカスカの体に流れ込んでくる感じがした。私もあんな風にキラキラしたいと思った。


 高校生になって少しづつ環境が変わり「どうして自分でやらないの?」、「自分で考えれば?」と周囲に言われるようになって、初めて対等に見ることができるような気がした。「私も自分で考えられるんだ」って。親離れじゃないけど、自分で考えて動く事の楽しさを知った。お腹が空くようになった。ごはんがおいしくなった。生きるのが楽しくなった。私お芝居がしたい! 小さい頃に見たキラキラが今も私の心に強烈に焼き付いて離れません。

 今は実家を出て働いているので、仕事はいくつかしてます。そのうちのひとつは、六本木のクラブに併設されたサロンでのバイト。クラブの中にあるのに、その場所は静かでゆったりしてて、おウチのリビングみたいにのんびりくつろげる感じの空間です。だけど時間が不規則なので最近は、仕事も食事も睡眠も生活パターンがバラバラ。友達の家に居候させてもらってたりして、まるで渡り鳥のような生活を送ってます(笑)

 この生活も悪くないけど、早く「お芝居をしたい」というあの夢を実現できるようになりたいと感じてる毎日です。



 早いものでこのロケ撮影を行なってから、もうひと月以上が経った。

 今年の桜の咲き頃は例年になく早く、撮影していた頃には東京では終わってしまっていた。京都ではシーズン真っ盛りなのにかなわなかった、桜満開背景のカットを撮るべく、山梨県へと向かった。東京を出発する時点で降り始めていた生憎の小雨の中を、中央道を走った。現地に着いた頃には、なんとか雨はやんだものの曇天。時折、雲の切れ間から差し込む太陽との戦いとなった。

 水着撮影のために予約していた現地ホテルの部屋の向きが悪く、他へ移動して探したり、悪天候で思ったよりも寒いなど悪条件が重なった中で、彼女はがんばってくれた。特にトンネルのカットでは、南北へと抜ける強風(トラックが走ると特にヒドイ)が吹き荒ぶ中、鳥肌が立っているのに耐えてくれたのには感謝。片手と足に挟んでいたレフ板が風に煽られて何度も飛び、それを拾いに行ってはまた再開。走っている車から見た人にすれば、なんともマヌケな情けない撮影だったと思う(笑)


 今回は買ったばかりのレンズテストも兼ねていた。発売以来、長年愛用してきたニコンの80~200mm F2.8 D NewのAF/MF切り替えレバーが壊れて久しい(実は購入してしばらく経ったころから、ガムテープで留めていた。情けない……)し、VRレンズというものを持っていなかったしので、思い切ってAF-S VR Zoom Nikkor ED 70~200mm F2.8G(IF)へ切り替えることにしたのだ。今回だけじゃなくその後も何度か使った感想を簡単に言うと、悪い点は細長いレンズなので「ホールディングがしづらい」、だからこそVR機能が必要なのかも?

 利点は「AFの速度は速い」、「色再現がクリア」に感じられた事だった。

 VRについては正直、もう少し使ってみないと未だよくわからない。基本的に長玉はあまり好きではないのだが、もう少しコンパクトなら、性能面からは常用したいかも知れない。ただボクは評論家でも理論派でもないので、あくまでも個人的な主観でしかないのであてにしないで欲しい。

 現在は次なる買い換え予定のレンズを使ってテスト撮影しているので、そのうち感想を書いてみよう。



 そして肝心の桜の花はというと、まだ咲いていなかったどころか蕾のままの状態で、ようやく梅が満開になるところだった。この説明を読まない人が見たら、2月末から3月の風景に見えてしまうのはトホホだ。

 都内と比べたら完全に2カ月ずれていた。東京では20度前後の気温が続く頃、10度を切っていたくらいに、山間部の春は思ったよりも遅かった。しかしそれも運命とあきらめて、楽しんだ。春先を2度楽しんだと思えば得した気分になれる。高速道路へ向かう帰り道、畑の中にポツリと咲いてる1本の満開の桜の木があった。遠くから眺めただけだったが、美しかったなあー。それが結果オーライの楽天写真家の流儀。

 本当は超晴れ男なんだけどなあ。ブツブツ。これからは時々、東京を離れたロケをしてみようと思った。リベンジ!

使用機材
Nikon D2X/D200
Sandisk Extreme III
AF-S DX Zoom Nikkor ED 12~24mm F4G(IF)
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17~35mm F2.8D(IF)
AF-S VR Zoom Nikkor ED 70~200mm F2.8G(IF)
Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
Ai AF Nikkor 85mm F1.8D
SIGMA 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF




HARUKI
(はるき)1959年広島市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。広告、雑誌、音楽の媒体でポートレートを中心に活動。
1976年 個展「FIRST」を皮切りに、多数の個展、グループ展を開催。1987年朝日広告賞グループ入選、表現技術賞受賞。1991年パルコ期待される若手写真家展選出。コラボ作品がニューヨーク近代美術館に、「普通の人びと」シリーズ作品が神戸ファッション美術館に永久保存。
2005年に個展「Tokyo Girls♀彼女たちの居場所。」を東京 渋谷、2006年に京都で開催。

2006/05/22 00:00
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