特別企画

「顔料インク」VS「染料インク」に決着?

キヤノンPIXUS PRO “Which? キャンペーン”の結果を見てみよう

皆様はキヤノンマーケティングジャパンが実施していたユニークなキャンペーン、「Which? キャンペーン」を覚えているだろうか。

ハイアマチュア向けのインクジェットプリンター「PIXUS PRO-10S」(以下10S)および「PIXUS PRO-100S」(以下100S)の発表に合わせたもので、応募者が送った写真をキヤノンが10S、100Sの両方でプリントしてくれるというキャンペーンだった。

このキャンペーンの何がすごかったかというと、「顔料インクと染料インク、どちらを選ぶべきか」という、プリント制作者にとって悩ましい問題が解決するかもしれない稀有な機会だったというところ。

実は、基本仕様がほぼ同じ10Sと100Sにおいて、唯一ともいえる違いが採用インクなのだ。10Sが顔料インク、100Sが染料インクを採用していることから、それぞれのインクを試せるわけ。しかも光沢、半光沢、マット紙の3種類の用紙にそれぞれプリントしてもらえるというから、何とも太っ腹なキャンペーンだった。

PIXUS PRO-10S
PIXUS PRO-100S

キャンペーンは3月29日に終了したが、4月30日、キャンペーン体験者の感想を集めたページの第2弾が公開された

このページを見るに、顔料インク、染料インクのそれぞれについての体験者の感想がなかなか興味深い。紹介してみよう。

顔料インクとは?染料インクとは?

その前に顔料インクと染料インク、その違いを確認しておこう。

顔料インク

顔料インクは、インクの粒子が用紙の表面にとどまることで着色。用紙に染み込んで広がらないので、高階調・高精細な色再現が可能とされている。また、黒の表現に優れ、重厚感のある仕上がりも特徴だ。耐水性に優れ、にじみにくいという利点もある。

注意点としては、こすれ・剥がれに弱いところや、光沢紙だと反射光によってムラが出やすいという点がある。

染料インク

一方染料インクは、インクが用紙の内部に染み込むことで着色。用紙の表面にインクの凸凹ができないため、顔料より発色がよく、鮮やかな仕上がりになるとされている。特に、光沢紙での発色に優れるという。プリント速度が比較的速いのも特徴だ。

注意点としては、水濡れ・滲みに弱く、光や空気に触れると時間とともに色が薄くなりやすいことが挙げられる。

体験者が支持したのは?

いよいよ次は、体験者の回答から得られた顔料インク、染料インクそれぞれの傾向を見てみよう。

まずは「あなたが好ましいと感じたところはどこですか」という質問から。

PIXUS PRO-10S
(顔料インク)
PIXUS PRO-100S
(染料インク)

10S(顔料インク)で評価が高いのは「色の深み」。実に、20%の体験者が好ましいと感じた。「黒の濃度」についても、100Sより若干ポイントが高い。

一方100Sでは、「色の再現性」を好ましく感じたという人が18%とトップ。「発色性」も17%と同様に高く、染料インクらしい結果となったのが興味深い。

次は、「もっとも好ましいと思った用紙はどれですか」という質問。

PIXUS PRO-10S
(顔料インク)
PIXUS PRO-100S
(染料インク)

どちらも光沢用紙を評価する回答が得られているが、10Sでは半光沢用紙(微粒面光沢ラスター)でも38%と高い支持を集めている。マット用紙は100Sの方が票を集めた。

投稿者のコメントは?

以上を踏まえ、10S、100Sそれぞれについて寄せられたコメントの一部を見ていこう。

PIXUS PRO-10S(顔料インクを採用)についてのコメント

星空の黒に深みがあり、星が目立っていた。星の色も見た通り再現されていた。火山の赤、星空の色すべてがモニターで見たとおりに仕上がっていた。また、星空の黒の色も階調も表現されていて、顔料インクの「黒」の力がわかったような気がする。(男性 10代)

人物の肌質や服の生地(縫い目)などの質感がつぶれることなく鮮明でした。光(陽射し)の加減が落ち着いた感じで、臨場感を味わえる仕上がりでした。「黒」がただの黒い塊とならず、「黒」の中にもグレーから黒までの濃淡が素晴らしく、撮影した現場の空気感を表現してくれた。(男性 30代)

リスの毛並の再現性が優れていた。(女性 50代)

黒色はもちろん、深い赤や緑色の色調・階調が見事で、自分のイメージどおりの色が再現されていた。色の深みが抜群でありながら、明るいパステル調の色合いも染料に負けない発色でした。(男性 40代)

水に映った桜の花の色が淡く美しく仕上がっていた。淡い色の再現性が優れていると感じた。(男性 60代)

10Sのプレミアムマットはシャドー側の階調の良さにひかれました。陰になっている立木のディテールが出るかどうかを見たかったので満足しています。(男性 50代)

モノクロの階調を重視しているが、様々な段階のグレーの表現が優れていた。(男性 60代)

夜空に浮かぶ欄干の明かりと陰の微妙なコントラストが穏やかに仕上がっていた。夜の陰という難しい黒の濃度の質感が再現されていた。(男性 60代)

髪の色の表現に立体感と深みがあり、柔らかいツヤ感が美しいと思った。衣服の白い部分も、白がとび過ぎず柔らかい光の表現が出来ている。高機能のプリンターで印刷することによって、はじめて作品の完成を実感した。(女性 50代)

歴史を経た木造建築物の茶色系の濃淡がよく表現できている。水面からの光の反射などコントラストを丁寧に表現できる。赤みを強調した深みのある色彩表現ができる。(男性 50代)

古城にあたる夕日の再現が染料より深みが感じられた。自分好みの色は10Sである。(男性 60代)

PIXUS PRO-100S(染料インクを採用)についてのコメント

新緑のイメージを一番重視しました。新緑の美しさはなかなかプリントで出ませんが、今回はかなり満足出来るものでした。柔らかいディテールが素晴らしく、新緑の質感が良く出ていました。(男性 60代)

雨の日の桜を撮ったのですが、木肌の色と桜の花越しに見える緑の葉の色が見たままに近い色が出ていたように思いました。(男性 60代)

夜明けに見た雲海が、ナチュラルに発色している。雲海から垣間見る里の明かりが、克明に描写されて奥行きを感じる仕上がりである。(男性 60代)

海と空の色の鮮やかさ、透明感に好感を持った。シャドー部分のディテールが損なわれていなかった。(男性 60代)

紅葉一枚一枚の色味が再現されていた。微妙な色合いの差をしっかりと表現できている。(男性  20代)

海の焼けた朱色が美しく仕上がっている。(男性  60代)

夜景の街並みの暗部に関しては100Sの方が黒の締まりがよく、微妙な階調がよく出ていました。(男性 40代)

イチョウの黄葉が明るく、微妙に細かいところもよく再現されていて、自分好みだった。(女性 60代)

色の再現性に驚いているが、特に緑色の彩度がいい。花弁の微妙な質感が表現されて、立体感がでてきている。(男性 60代)

色乗りが良くメリハリも有って好ましかった。暗い所もつぶれていないし、明るい所の輝きが好ましかった。苔の瑞々しさが再現されていた。影になったところもつぶれず再現されていた。(男性 50代)

まとめ

ここに掲載したコメントは、応募者による約600点のうちのわずか10点。Which? キャンペーンのページにはもっとたくさんの意見が掲載されている。体験者の作品も見ることができるので、自分の作品に近い人の意見が見つかるかもしれない。

顔料インクと染料インクのどちらが自分の好みで、どちらが自分の作品に合うのか。第2弾の情報が公開されたキャンペーンページを参考にしてみてはいかがだろうか。

(本誌:折本幸治)