特別企画

雪景色を撮りに行こう! スタッドレスタイヤに挑戦(後編)

実際に撮影に出かけた写真家3名の作品を掲載!

 12月18日に公開した前編では、3名の写真家が新しいスタッドレスタイヤを装着し、雪景色を撮影すると宣言したところまでお伝えした。あれから約1カ月。改めて、3名の写真家に状況を聞いてみた。雪景色をテーマにした作品もそれぞれ披露してもらっている。

 トップバッターは、関東圏に在住ながら、雪景の撮影経験が豊富な礒村浩一氏。まずは雪撮影にまつわる注意点や、雪道での運転テクニックを説明してもらった。これから撮影に出かける方は、ぜひ参考にしていただきたい。雪景色だけでなく、女性ポートレート作品も用意してもらった。

とにかく温かい装備で

ベテランドライバー代表:礒村浩一さんより

関東圏に住んでいると、真冬といえどもなかなか雪景色に出会うことができないのが現実だ。それならばと雪のある場所へ撮影に赴く訳だが、そこはやはり厳冬の地。ふらっと出かけて撮影という訳にはいかない。雪撮影にそれなり準備と心構えが必要なのだ。

まずは何より防寒装備。温かくても1〜2度、北海道など極寒の地では、マイナス25度程度まで下がることもあるので、準備を怠ると危険だ。発熱効果のある下着の上に保温性の高いシャツやフリースなどを身につけ、風を通さぬ厚手の防寒コートを着て体温を維持する。もちろん防寒用手袋や帽子も忘れずに。

また大事なのが、雪上において滑り難い靴を準備することだ。雪をしっかりと掴んでくれる靴底と雪に埋もれても水が染み込まない防水性、足が冷えない防寒性をもったブーツが望ましい。

雪上を歩いて撮影するような場合には、雪に埋もれることなく歩くためのスノーシューがあると心強い。このように雪撮影に臨む際には十分な装備を整える必要がある。

礒村氏のブーツ。しっかりした防水・防寒性能が重要
完全防備で撮影中の礒村氏。雪上ではスノーシューも活躍する

撮影者の防寒装備と同様に必要なのが、カメラ機材の防寒および雪撮影対策だ。

最近のデジタルカメラは、実は意外な程低温には強く作られている。多くのカメラはメーカー公称値では0度までとなっているが、私の経験上ではマイナス10〜15度程度でも問題なく動作してくれる。さらに最近ではメーカー公称値としてマイナス10度までの動作保証をしているカメラもあるので、カメラ自体の防寒対策はそれほど心配しなくても大丈夫だろう。

ただしカメラのバッテリーは低温化では急激に消耗してしまうので、複数のバッテリーを自分の服の胸ポケットなどで温めながら、交換しつつ使用するようにするとよい。

なお、レンズ交換をする際にはカメラ内に雪が舞い入らないように十分に注意しよう。また低温下にて夜景や星景撮影など長時間撮影をしているとレンズ表面の水蒸気が結露したり時には凍ってしまうこともある。これを予防するにはレンズを専用ヒーターやカイロなどで暖める方法もある。

撮影後の注意点としては、カメラが冷えている状態でいきなり温かい室内や車内にそのまま持ち込まないようにする必要がある。温度差によってカメラが結露する恐れがあるからだ。室温を下げた車内などで徐々に温度に慣れさせた上で室内に持ち込むか、屋外で使用したカメラバッグにカメラを入れたまま室内に持ち込み、室内の温度に慣れるまでバッグを開かないようにするようにするとよい。

雪の上に三脚を立てる際にはコツが必要だ。いつものようにそのまま立てようと思っても、雪のなかに脚が刺さってしまいまっすぐに立てることができない。そのような場合は、3本の脚を少しすぼめた状態から1本ずつ雪に刺していくとよい。このとき三脚上部から放射状になるように射し込む。最終的にカメラが水平になるようにイメージしながら三本の脚を開いていくようにしよう。

また脚の先端部に装着できる円盤状のスノーシューを利用するとより安定させて立てることができる。これなら雪上を歩く際の杖代わりにもなるのでなかなか便利だ。

三脚の先についているのが、三脚用のスノーシュー。これがあると、脚の先が雪に埋もれにくくなる

ここまでで雪撮影に於ける機材や装備についてお話ししたが、雪のある撮影地に赴く「アシ」にも十分な準備が必要となる。私の場合は、撮影地へは自分のクルマで向かうことが多い。さまざまな状況に対応できるようにと撮影機材も多く積み込み、また長期間の旅となることも想定して着替えや身の回りの品も載せていく必要があるからだ。

南関東では雪がなくても……
新潟まで行くとこれだけ積もっている!

もちろん雪撮影においても同様で本州はもちろんのこと、北海道での撮影でも自分のクルマで撮影に赴く。この際に重要なのがしっかりとした冬タイヤを装着するということだ。

これまでにも冬タイヤを履き何度となく雪撮影を行なってきたが、今シーズンは久々に新しい冬タイヤ「ミシュランX-ICE XI3」を装着したので履き心地を試してみようと、まずは手始めに関東から程近い雪積もる里山を訪れた。ここは長い月日を雪に閉ざされる豪雪地帯として知られている地だ。

新しく装着したスタッドレスタイヤのミシュランX-ICE XI3。トレッドパターンがしっかりと路面の雪を捕まえてくれる。

ただし道路にはしっかりと除雪車が入っているおかげで道の積雪はさほど多くない。だがそのおかげで、半分溶けた雪が残っており、シャーベット状になることでより滑りやすい状況になっている。ドライとウエットが混じり合う道路環境としてはあまりよいコンディションとは言えない状況だ。また里山のあいだを抜ける細い道は急な坂となっている箇所もある。

そのような道でいったんクルマが滑り出すと非常に危険な状況となってしまうのだが、今回新たに履いたミシュランX-ICE XI3では、4WDの私のクルマでもほとんど全輪とも空転することなく道路に食らいついてくれる。

昨シーズンまで履いていた国産メーカーの冬タイヤは、これもそれなりにガンバってくれてはいたがアクセルを踏み込みトラクションがかかると四輪のうちいずれか一輪は空転し合いながら進むという感じであったのだ。

次に訪れたのは北関東に位置する標高1,500m級の山頂。そこに至るまでは急峻な峠道を上る必要があり、冬期は積雪が踏み固められた圧雪路となる。峠のつづれ折をひとつ上るごとに気温が下がって行き、道路の表面は固く踏み締められたアイスバーンとなる。ときおり日光の射した路面がうっすらと溶け、まるでアイスリンクのようなツルツル路面となっているような道だ。雪道のなかで一番危険なコンディションと言える。

完全に圧雪された道路。このような路面では慎重なアクセルワークが必要。ときおり現れるアイスバーンには要注意

このような路面ではとにかく慎重なアクセルワークとハンドル操作が必要となる。急激なアクセル操作やブレーキは厳禁。減速にはエンジンブレーキを多用する。さすがにこれほどの悪コンディションでは、ときおりミシュランX-ICE XI3も空転を起こすが、それでも四輪のうち三輪は常に路面を掴んでおり、また空転後もすぐにまたトラクションを取り戻してくれた。

このように決して運転に適した環境とはいえない雪道をわざわざ走るのには、そこにしかない白いベールに包まれたシンプルで神秘的な光景に出会うためだ。当然ながら写真はそこに訪れなければ撮影することはできない。そのためには十分でかつ信頼できる装備が必要不可欠だ。その観点から、私は安全かつ確実に目的地へと向かい、帰ってくることができるスタッドレスタイヤは、冬期撮影には欠かせない重要で信頼できる撮影機材と位置付けることができる。

暗く灰色一色となった空から降り積もる雪は里山一面を白く封じ込める。積もった雪の下には棚田。盛夏の頃には鮮やかな緑が輝いていた棚田は、遠い春の雪解けまでその身を横たえ静かに眠る
山間を流れる川面。気温が極度に下がると水面より毛嵐が立ちこめる。谷を渡る風に毛嵐の霧が吹かれると瞬間水面と川岸の樹々の姿がクリアに現れる。静かな谷間に無言のせめぎ合いが繰り広げられる
積雪量が多いこの地方の家々は、みな鋭く鋭角な屋根が印象的だ。雪に晒され永年耐えて来た板塀の染みがここに暮らす人々の営みを感じさせる。拠り所の木の下にいると、重さに耐えかねた枝葉から白い雪の固まりが時折どさっと落ちてくる
圧雪されたつづれ折りの峠道を標高約1,500mmの山頂まで慎重に上ると、そこにはかつての噴火でできたという火山湖がある。冬期は結氷する湖面に真っ白な雪が降り積もり、周囲に立つ白樺の木と共に荒涼とした光景を見せつける
雪の中での撮影は、決して風景写真だけのものではない。真っ白な世界のなかで捉えたポートレート作品は、日常から離れた独特でシンプルな世界観へと誘ってくれる。特に女性ポートレートでは白い雪がレフ板の代わりとなり、柔らかな光にあふれた写真とすることができる(モデル:夏弥

初めての雪道に挑戦

 続いては、雪景色の撮影はほとんどないというコムロミホさん。ダイナミックな自然や街中のほっと風景など、海外で撮影した作品を女子カメ Watchで公開中だ。

 ただし運転免許を取ってから日が浅く、雪道での運転は初めての挑戦。読者の中にも、「雪景色は撮りたいけど、運転が心配」という方は多いだろう。初心者のコムロさんは、雪景色の撮影と雪道での運転をどう感じたのだろうか。

初心者ドライバー代表:コムロミホさんより

「気軽にいろんなところに写真を撮りに行きたい」という思いから、1年前に車の免許を取得しました。おかげで行動範囲も広がり、いろんなロケーションで撮影ができるようになりました。一年経った今では、移動するためのツールとしてだけではなく、運転する楽しさを感じられるようになっています。さらに行動範囲を広げるために、今までチャレンジすることができなかった雪景色を撮影することにしました。

今回向かったのは、棚田で有名な新潟県十日町です。東京から関越自動車道を走り、新潟を目指しました。この日の天気は晴れ。高速道路での走行は、普通のタイヤとの違いもあまり感じることなく、違和感なく運転できました。

スタッドレスタイヤは普通のタイヤと走行感覚が違うと聞いていたのですが、このミシュラン XI3は普通のタイヤと同じ感覚で運転できました

関越トンネルを抜けると、一面真っ白な雪景色。さっきまでの晴れから一転して山の反対側では雪が降っていたのです。感動と共に不安が募ってきました。初心者マークが取れたばかりだったので、初めて体験する雪道の運転が不安でした。

行く手に雪山が!
トンネルを抜けると一面の雪景色。ここからが本番です

高速道路や街中は除雪作業がされており、路面に雪があるところはほとんどなかったのですが、日陰の道では凍結しているところもあったので、緊張しながらハンドルをしっかり握り、慎重に運転しました。十日町に入り、棚田を望む山道へとさしかかると、除雪されていないのでまだ雪が。最初は不安もありましたが、運転しているうちにタイヤのグリップ感やブレーキでどのくらい滑るのか感覚的に掴めるようになってくるのがわかります。焦ってしまうようなシーンも何回かありましたが、そこで慌てないことが大事だと思いました。不安を感じていた雪道の運転でしたが、撮影と共に運転も楽しめるようになっていたのです。

今回、私はOLYMPUS OM-D E-M1で撮影に挑みました。雪山では突然の雪や雨に襲われました。天気がすぐに変わってしまうため、防塵防滴なこのカメラを持っていって良かったです。おかげで激しく降る雪の中でも撮影に集中することができました。

カメラは購入したばかりのOLYMPUS OM-D E-M1です

今回初めて雪道を走行して、想像していたよりも不安なく運転できました。ただ天気や気温によって路面の状況は変化するので、十分な装備と危険を予知する注意力が必要だと思いました。

今回はあいにくの曇り空だったので、次は晴れた雪景色を撮影に行ってみたいです。今回スタッドレスタイヤを履いて、さらに車で撮影に行く楽しみができました。

十日町に到着して最初に撮った一枚。雪山に入ったばかりの道。道を進むにつれて、さらに雪深くなっていく。どこまでも続く山道をローアングルで切り取りました
車を停めていると、道に人が歩いているのが見えました。雪を背景に暮らす人々を撮影したくて、転びそうになりながらも必死に走ってシャッターを押しました。雪道はゆっくり歩かないと危険ですね
棚田のある山を上りきったところで見つけた雪景色。そこは雪深く、静かで穏やかな表情をしていました。遠くに望む山々と一面に高く積もった雪がとてもキレイでした
向かいの山に見えた棚田を撮影しました。夏に見る棚田とは違って、一面雪化粧。同じ場所でも雪が降ると、ガラリと印象が変わってしまう。これも雪撮影の楽しさの一つだと思います
棚田周辺を撮影していると、雪まじりの大粒の雨が降ってきました。向こう側見える山にも雨が降ってきて、とても幻想的でした。雨に濡れながら、撮影した1枚です。

 今回のコムロさんの撮影旅行は、同行してもらった礒村さんに、撮影や運転を教わりながらの行程だった。雪景色というと遭難しそうな山の中での撮影を思い浮かべがちだが、車道から少し外れた程度の場所でも、都会では味わえない雪景色を堪能できる。思ったより手軽に撮影できることに、コムロさんも感動していたようだ。皆さんも挑戦してみてはいかがだろうか。

おいしい料理も雪国の楽しみのひとつ!

北海道好きが高じて2年前に移住

 最後は北海道在住の中西敏貴さん(NPO法人北海道を発信する写真家ネットワーク会員)。北海道の魅力に取り付かれて移住されたそうだ。愛車、三菱 デリカD:5と中西さんが活躍する姿は、前編でみることができる。カメラはペンタックス派だ。

 今回は撮影テクニックの解説に加え、新しいスタッドレスタイヤを換えてから撮った近作を寄せてもらった。さすがは真冬の北海道! 撮影ツアーも主催しているとのことなので、雪景色の撮影に興味のある方はホームページをのぞいてみてはいかがだろうか。

北海道在住ドライバー代表:中西敏貴さんより

大学の写真部に所属していた19歳の秋、私は初めて北海道に出会います。生まれ育った大阪とのスケールの違いに衝撃を受け、同時に震えるような感動を覚えたことを思い出します。当時から自然風景をメインに撮影していた私にとって、そんな出会いはその後の人生を大きく左右するものとなりました。

就職後も休暇を利用しては北海道へ通い、写真を撮り続けることとなったわけですが、撮影旅行というのは結局のところ観光の延長であって、どうしても北海道に対する視点が深まっていかない、という悩みを常に抱えながら、20年近くも北海道に通い続けていました。いつの頃からか、もっと深く知りたいと考えるようになり、18年勤務した職場を離れ、2年前に移住。写真家として独立することを決心したわけです。

しんしんと降り続ける雪を表現するにはストロボを使ってみるといいでしょう。絞りを開放にすることで、カメラに近い雪は大きくボケ、雪どうしの遠近感も表現することができます

北海道の冬は長く厳しいものです。12月から3月の4カ月に前後1カ月ずつを足せば、ほぼ半年が冬という場所。北海道を撮影し続けていく上では、冬の撮影はその大半を占めるものとなります。だからこそ、被写体も豊富でその可能性は無限大。白いキャンバスがあるからこそ、さまざまな色彩を描くことができると考えています。寒さや雪といったマイナス面はもちろんあるのですが、それ以上に被写体の魅力に満ちあふれた場所が冬の北海道だと言えるでしょう。

氷点下20度以下まで冷えることのある北海道ですから、撮影時の注意点もいくつかあります。最近のバッテリーは性能が向上したとはいえ、予備のバッテリーは必須です。また、冷えきった機材を急に暖めないものポイント。レンズや内部が結露してしまい、撮影出来なくなってしまいます。車内にカメラを持ち込む時はカメラバッグに入れてから、が基本になります。撮影時の露出にも注意が必要です。雪を白く表現するためにはプラス補正がセオリーなのですが、影などを入れ込んだ表現をする場合は時にはマイナス補正した方がよい結果を生んでくれることもあります。雪撮影のセオリーは覚えておきながらも、是非、大胆な露出補正を試してみてください。

美瑛にはブルーリバーと呼ばれる青い川があります。真っ白な森と青い流れの対比がとても美しく、冬には是非訪れたい撮影場所の一つです。温泉街にあるのでアクセスも比較的容易です
白い雪はさまざまな色に染まります。夕日をライティングすればご覧のとおり黄金色に。光が強いとコントラストも付き、鮮烈な色彩をみせてくれます

我々北海道に暮らす者にとって、スタッドレスタイヤはとても大切なアイテムです。真冬には乾燥路面がほとんど見えなくなるため、一日中アイスバーンの上を走ることになります。当然、その性能にも拘らざるをえず、安心して命を任せられるかどうかが非常に重要なポイントになってきます。また、氷雪路でのブレーキ性能やタイヤライフが長持ちする、というのも重要な判断基準でしょう。長く使う我々だからこそ、タイヤの初期性能が長持ちするというのは嬉しいものです。

ミシュランのスタッドレスタイヤを履いてすでに6,000km近くを走破しました。ここ北海道では12月下旬から大雪に見舞われ、道路はほぼ圧雪アイスバーンになったわけですが、路面のコンディションが大きく変わっても、氷雪路での性能が乱れることはなく、逆に冷えれば冷えるほどタイヤの食いつきが良くなっている印象です。事実、乾燥路面と全く同じとはいかないまでも、サマーシーズンとあまり変わらない感覚のまま冬の路面で運転出来ており、ミシュランのスタッドレスタイヤの性能には感心させられます。

東側に山々が連なる美瑛では、冬の日没後に山が赤く染まることがあります。丘では日没を迎えているのですが、標高の高い山には夕日が射しているというわけです
晴れの日は青い景色が広がります。空気が澄んでいるため、影はひたすら青く、空も抜けるような色です。逆光での撮影ですが、雪がレフ板の代わりとなり、シャドウが潰れすぎることもなく、青のグラデーションが表現できます

協力:日本ミシュランタイヤ株式会社

(デジカメWatch編集部)