特別企画

緊急企画:さらばアイソン彗星……代わりに「ラブジョイ彗星」を撮ろう!

筆者が撮影したラブジョイ彗星。2013年12月3日朝撮影 / OM-D E-M5 / ZUIKO DIGITAL ED 150mm F2 / 赤道儀追尾 / 8コマコンポジット

アイソン彗星は残念ながら崩壊・消滅!

 11月29日に近日点を通過したアイソン彗星は、残念ながら太陽の強大な熱と重力に耐えきれず崩壊してしまいました。無事に通過できれば12月の明け方に雄大な姿を見せてくれるだろうと予想されていましたが、我々の思うようにはなってくれませんでした。

 近日点通過のようすを地上から観察するのは難しいことですが、太陽観測衛星SOHOがそのようすをはっきりと捉えていました

 アイソン彗星の発見者の一人、アルチョム・ノビチョノクさんは、彗星が崩壊するようすをこれまでに無く克明に観測できたことは研究上たいへん有意義なことだと述べたとのことです。研究者だけでなく、私たちと同じように彗星に興味を持つ世界中の人々が、同じようにハラハラドキドキする時間を共有したことも、これまでに無い、ある意味面白い経験でした。

 その後の観測によれば、崩壊したアイソン彗星核の破片から新たな塵の供給は無いとのこと。これは、雄大な尾を伸ばしてくれる可能性が無くなったことを意味します。あとは近日点通過時に見られた尾がそのまま拡散するばかりですが、その明るさは12月5日頃に天の川の最も明るい部分の1/5くらいの輝度にしかならないだろうとのことです。

 薄明で空が明るい中では肉眼で見ることはまず不可能ですが、アイソン彗星が見えるはずだった位置に、もしかしたらぼんやりした集光部が写真には写せるかもしれません。かなり難易度は高いと思われますが、腕に覚えのある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。人工光の影響の無い場所で、天文薄明が始まる前(今ごろだと日の出の1時間30分前)に撮影する必要があります。

いまラブジョイ彗星が明るい!

 アイソン彗星は残念な結果に終わりましたが、代わって注目されているのがラブジョイ彗星(C/2013 R1)です。この彗星は2013年9月7日にオーストラリアのアマチュア天文家テリー・ラブジョイさんによって発見された彗星です。彗星には発見者の名前がつきますが、ラブジョイさんはこれまでに4個の彗星を発見しているので、合計4個のラブジョイ彗星があることになります。

 なかでも素晴らしいのが2011年に発見したラブジョイ彗星(C/2011 W3)で、これはアイソン彗星同様太陽にきわめて接近したサングレーザーでしたが、無事に近日点通過を生き延びて-3〜-4等級まで明るくなり、南半球の空に雄大な姿で輝きました。残念ながら日本からは、まったく見ることができませんでしたが。

 いま見えているラブジョイ彗星は、明け方の東の空、かんむり座あたりからヘルクレス座にかけて移動中です。明るさは今がピークで4等級ほど。空の条件が良ければ肉眼でも見える明るさで、双眼鏡を使えばを尾の伸びているようすも確認出来ます。もしも初めからアイソン彗星が無ければ、じゅうぶん星空の主役になれるほどの彗星です。

筆者が撮影したラブジョイ彗星。2013年12月5日朝撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 / LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 / F1.4 30秒 ISO1600 追尾撮影

 12月は17日が満月なので、その前14日〜15日くらいまでが月明かりの影響を受けずに撮影できるチャンスです。12月14日は三大流星群のひとつであるふたご座流星群のピークでもあり、うまくすれば彗星と流星のツーショットをものにできるかもしれません。

「アイソン彗星撮影講座」もチェック!

彗星の撮影方法については、「アイソン彗星撮影講座」をご覧下さい。基本的にアイソン彗星を撮るために解説したものですが、ラブジョイ彗星にも利用できます。

また、実施中の「アイソン彗星フォトコンテスト」は、「アイソン彗星+ラブジョイ彗星フォトコンテスト」に名称を変更します。その名の通り、アイソン彗星に加えて、ライブジョイ彗星も被写体の対象となります。ふるってご応募ください!

飯島裕

1958年埼玉県生まれ。1969年のアポロ11号月面着陸の際、はじめて天体望遠鏡で月を見て天文の面白さにはまったアポロ世代。大学卒業後、広告制作会社のカメラマンに。1986年からフリーの写真家として独立。現在はおもに広告、雑誌、書籍などの写真を撮影。科学関係雑誌や天文情報誌などには執筆も行ない、国立天文台の広報関係の撮影も担当している。科学的な天体写真をベースに表現性も付加した、いわゆる星景写真に早くから取り組む。