ミラーレスデジカメ3機種を比較する(画質編)

実写画像でチェック
Reported by 大浦タケシ

左からオリンパス・ペンライトE-PL1、ソニーNEX-5、パナソニックLUMIX DMC-GF1

 ミラーレスモデルは、一般向けデジタルカメラとして、今や一眼レフ、コンパクトに続く第3のセグメントだ。複雑で精密なミラー機構を持たない構造は、従来のカメラメーカー以外の参入が期待できるものといえる。そのようなミラーレスモデルの中から現在人気のソニーNEX-5(以下NEX-5)、オリンパス・ペンライトE-PL1(以下E-PL1)、パナソニックLUMIX DMC-GF1(以下DMC-GF1)による比較特集の後編は、主に感度別のノイズと標準ズームレンズの描写、それにパンケーキタイプの単焦点レンズの描写についてみてみたい。

  • 静止画作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

感度

 まずはノイズ比較だが、高感度撮影時におけるノイズリダクション機能の効果が変えられるカメラは、それぞれの設定でも撮影した。使用したレンズはそれぞれ標準ズームで、絞り値はF8に統一した。設定可能ISO感度はNEX-5がISO200-12800、E-PL1とDMC-GF1がISO100-3200となる。

 ノイズリダクションの設定がデフォルトの場合(NEX-5:オート、E-PL1:標準)、DMC-GF1も含めISO400までのノイズレベルはほぼ同じだ。どのカメラで撮影した画像もクリアで“作品レベル”といってよいだろう。

 ISO800になるとDMC-GF1のノイズが目立ちはじめてくる。NEX-5とE-PL1はほぼ同レベルだ。ISO1600では、E-PL1のノイズが目立ちはじめてくる。NEX-5はまだ“作品レベル”といってよいだろう。

 そのNEX-5のノイズが際立ってくるのはISO3200からといえるが、いうまでもなくセンサーの大きさの違いがアドバンテージとなっている。ちなみにAPS-Cサイズはマイクロフォーサーズと比較したとき面積比で1.6倍となる。それぞれの有効画素数の違いは小さいので、いかにAPS-Cサイズがノイズに対し有利であるかが立証された結果となった。

 なお、DMC-GF1がもっともノイズが現れやすい結果となったが、解像感だけを見るならば同一感度の場合E-PL1を上廻り、ノイズの現れ方もさほどイヤな感じではない。また、NEX-5でのISO12800は取り敢えず撮れるというレベル。同モデルはISO6400までが実用レベルといってよい。


・感度(デフォルト)
※NEX-5:オート、E-PL1:標準、DMC-GF1:設定なし
 E-PL1 / ISO100DMC-GF1 / ISO100
NEX-5 / ISO200E-PL1 / ISO200DMC-GF1 / ISO200
NEX-5 / ISO400E-PL1 / ISO400DMC-GF1 / ISO400
NEX-5 / ISO800E-PL1 / ISO800DMC-GF1 / ISO800
NEX-5 / ISO1600E-PL1 / ISO1600DMC-GF1 / ISO1600
NEX-5 / ISO3200E-PL1 / ISO3200DMC-GF1 / ISO3200
NEX-5 / ISO6400
NEX-5 / ISO12800  

 ノイズリダクションの強弱が選べるNEX-5とE-PL1のそれぞれについては次のとおりだ。

 「オート/弱」の2つが選べるNEX-5の場合では、今回の比較ではその差はほとんど感じられない。解像感にもその違いは見受けられなかった。


・感度(NEX-5:ノイズリダクション弱)
NEX-5 / ISO200NEX-5 / ISO400NEX-5 / ISO800
NEX-5 / ISO1600NEX-5 / ISO3200NEX-5 / ISO6400
NEX-5 / ISO12800  

 一方、E-PL1ではノイズレベルとともに解像感にその違いが大きく現れる。「標準(デフォルト)/強」では、ノイズは抑えられているもののどこかもやっとした描写だ。特に「強」ではその傾向が強くなる。一方、「OFF/弱」は、感度によってノイズが盛大に現れるものの解像感は高い。個人的には、E-PL1での高感度撮影の場合、軽くノイズリダクションが機能し解像感の低下が少ない「弱」が使い勝手がいいように思えた。


・感度(E-PL1:ノイズリダクションOFF)
E-PL1 / ISO100E-PL1 / ISO200E-PL1 / ISO400
E-PL1 / ISO800E-PL1 / ISO1600E-PL1 / ISO3200

・感度(E-PL1:ノイズリダクション弱)
E-PL1 / ISO100E-PL1 / ISO200E-PL1 / ISO400
E-PL1 / ISO800E-PL1 / ISO1600E-PL1 / ISO3200

・感度(E-PL1:ノイズリダクション強)
E-PL1 / ISO100E-PL1 / ISO200E-PL1 / ISO400
E-PL1 / ISO800E-PL1 / ISO1600E-PL1 / ISO3200

レンズ描写

 標準ズームの描写比較は、NEX-5が「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」、E-PL1が「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 L」、DMC-GF1が「LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」としている。いずれもレンズキットとしても付属するものだ。

 まず広角端での描写だが、画面中央部はいずれも解像度、コントラストなど良好だ。色のにじみもなく、3本とも不足のない描写特性である。画面周辺部となると、開放値での光量低下が一番少ないのがM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 L。解像感も比較的良好といえるものである。

 反対に周辺光量の低下が一番強く感じられたのがLUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.。ただし1〜2段ほど絞ると大きく改善される。ただし、画面周辺部の解像度や色のにじみについては、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 Lに次いで少ないほうである。

 E 18-55mm F3.5-5.6 OSSは、周辺光量の低下は少ないものの、解像感の低下や色のにじみがわずかに見受けられる。


・標準ズームレンズ(広角端)
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSSE-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 LDMC-GF1 / LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.

 望遠端の描写は、作例を見るかぎり3本とも比較的似たような結果。それぞれのカメラで撮影した画像を並べても、描写からの見分けはつきづらい。手頃な価格の標準ズームとしては、全体的に解像感も高く、コントラストもまずまず。わずかにE 18-55mm F3.5-5.6 OSSの画面の隅に解像感の低下や色のにじみが見受けられるもののいずれも上々の結果といえる。


・標準ズームレンズ(望遠端)
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSSE-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 LDMC-GF1 / LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.

 単焦点レンズは、NEX-5がE 16mm F2.8、E-PL1がM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8、DMC-GF1がLUMIX G 20mm F1.7 ASPH.となる。フルサイズ判換算での画角は、それぞれ焦点距離24mm、34mm、40mmに相当する。

 M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8およびLUMIX G 20mm F1.7 ASPH.は、画面のほとんどで目立つような解像感の低下や色のにじみは見当たらない。開放値での周辺光量低下も少ないほうといえる。ヌケのよさも単焦点レンズならではのよさだ。この2本はエントリークラスからベテランまで多くのユーザーから支持されているが、その期待に十分応えられるだけの描写特性を持つといっても過言ではない。

 一方、E 16mm F2.8は少々苦しい立場だ。周辺部のみならず画面全域で解像感の低下が見受けられるほか、周辺部の光量の低下、色のにじみなども少々目立ち気味。2Lサイズまでのプリントならさほど気にならないが、大きくプリントするには辛いことがあるかも知れない。


・単焦点レンズ
NEX-5 / E 16mm F2.8E-PL1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8DMC-GF1 / LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.

ボケ

※標準ズームレンズの望遠端


NEX-5 / F5.6E-PL1 / F5.6DMC-GH1 / F5.6

NEX-5 / F8E-PL1 / F8DMC-GH1 / F8

NEX-5 / F11E-PL1 / F11DMC-GH1 / F11

近距離での画質

※単焦点レンズを使用


NEX-5 / F5.6E-PL1 / F5.6DMC-GH1 / F5.6

動画

  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードが始まります。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
NEX-5 / 1,980×1,080 / AVCHD(H.264)
E-PL1 / 1,280×720 / Motion JPEG
E-PL1 / 1,280×720 / AVCHD Lite(H.264)

まとめ

 今回のレビューを総括すると、E-PL1とDMC-GF1のマイクロフォーサーズ2モデルは、高い人気から分かる通りレンズの描写特性もほぼ不足のないもの。高感度域ではノイズが比較的現れやすく思えるものの、安心して撮影が楽しめる。

 APS-C機のNEX-5は、他の2機種よりも前評判どおりノイズには強い。同じ画角、絞り値であればマイクロフォーサーズよりも大きなボケも楽しめる。ただ、レンズの描写に少々及ばないところが見受けられたのは残念なところ。標準もしくは準標準といわれる画角の明るいレンズのリリースも含め、ソニーには今後のレンズの展開に期待したいところである。

【2010年8月26日】ノイズリダクションについて述べた箇所で、「DMC-GF1に関しては、高感度撮影時のノイズリダクション機能を備えていない」との記述がありましたが、実際には各フィルムモードにおいて、ノイズリダクションを設定できます。後日、比較画像を更新する予定です。



大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2010/8/24 00:00