iPhone 4+iOS 4.1の新機能「HDR」を試す

iPhone 4

　アップルは9日（日本時間）、iOS 4のメジャーアップデートである「iOS 4.1」を公開した。iPhone/iPod touchユーザーの中にはすでにアップデートしている人も多くいるだろう。

　今回のアップデートでは、通信対戦などが行なえる「Game Center」やBluetooth機能の強化などが図られている。その中でも注目したいのが新カメラ機能の「HDR」だ。

　ご存じの通り、HDR（High Dynamic Range=ハイダイナミックレンジ）とは、露出の異なる複数枚の写真を合成して、明暗の差による“白飛び”や“黒つぶれ”の少ない写真を生成する技術のこと。これまでは主に画像編集ソフトを用いて生成していたが、最近ではデジタルカメラ単体でも連写機能などを用いて、HDR画像を生成できる機種が増えている。

　iPhoneではこれまでにも、サードパーティのHDRアプリを使ってHDR写真を楽しむことができたのだが、今回のアップデートにより手軽で楽しめるようになった。ただし、残念ながらHDRはiPhone 4以外の端末（iPhone 3GS、iPhone 3Gなど）では利用できない。

　iOS 4.1を導入すると、撮影画面上部、LEDフラッシュ切り替え表示の隣にHDRのオン/オフボタンが追加される。初期設定時は、HDRがオフに設定されているので、使用するにはタップしてオンに切り替える。ちなみに、HDRをオンに設定すると、LEDフラッシュが連動してオフに切り替わる。さらにこの状態でLEDフラッシュをオンまたは自動に設定すると、HDRがオフに切り替わり、HDRとLEDフラッシュの併用はできない。

撮影画面にHDRのオン/オフボタンが増える

　iPhone 4におけるHDR操作は、HDRのオン/オフしかない。同機能をオンにした状態でシャッターボタンをタップすると、露出の異なる3枚の写真を記録・合成し、1枚の合成写真となって保存される。

　もともとiPhoneのカメラ機能では露出調整ができず、いわゆるカメラが判断した露出でしか撮れなかったわけだが、HDRでもこの点は同じで、撮影される3枚の“素材写真”の露出を設定することはできない。iPhone 4が一連の作業や判断を行なうため、ユーザーはHDRのオン/オフ切り替えとシャッターボタンのタップ操作という2ステップでHDR写真の撮影（合成）ができることになる。

　ちなみに初期設定では、HDRをオンにした状態で撮影すると、HDRオフと、HDRオンの写真の両方がカメラロールに保存されるようになっている。なお、カメラロールでは、HDR写真の画面左上に「HDR」と表示されるので、一目で通常写真なのか、それともHDR写真なのかが確認できるようになっている。

　さらに、「設定」→「写真」画面には、「適正露出の写真を残す」という項目が追加されており、初期設定では「オン」になっている。HDRオフの写真を必要としない場合は、オフにすることで保存しないよう設定することもできる。

初めてHDRを利用する際、ポップアップでHDR設定についての確認が表示される。初期設定では、オリジナル露出とHDR合成の2枚の写真が保存されるようになっている	「設定」→「写真」でHDRの設定が可能。2パターンの写真が必要ない場合は、この設定をオフにする

　実際にHDRをオンにして撮影してみたが、オフにして撮影した時と比べ、撮影（合成）完了が若干遅くなったという程度で、快適に使える印象だ。HDRをオンにして撮影すると、撮影後に「HDRを保存中」と表示され、1～2秒程度で合成が終了する。

　ただ、iPhoneは手持ちが撮影のスタンダードスタイル。連写中に手ブレしてしまうと、合成後の写真もブレてしまうので、ある程度意識して撮影に臨みたいところだ。

　また、当然ながら動く被写体には対応しない。正確にいうと同じ被写体・環境で露出を変えた写真が必要なので、露出ごとに被写体が動いてしまうような状況では、合成が上手く機能しない。基本的には動かないモノに利用する機能だということを覚えておこう。

■実写サンプル

• 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

HDRオフ	HDRオン

HDRオフ	HDRオン

HDRオフ	HDRオン

HDRオフ	HDRオン

HDRオフ	HDRオン