特別企画
この夏、やっぱり「尾瀬」に行きたい!
初心者にオススメしたい日帰り撮影コースを紹介
2016年7月29日 11:08
この夏、カメラを持って、自然を撮影しに出かけませんか。
今回はフォトトレッキングの入門コースとして人気の高い、尾瀬ヶ原を訪れました。尾瀬ヶ原は、群馬、福島、新潟にまたがり、標高約1,400mに位置する高地の湿地帯。国立公園に指定された、貴重な自然の宝庫です。
尾瀬ヶ原にいる被写体のほか、装備やアクセス方法についても触れておきます。初めて訪れる方は日帰り撮影のモデルプランとして、参考にしてみてください。
用意する装備、持ち物など
尾瀬ヶ原は山道もあり、かなりの距離を歩きます。トレッキング用の装備をしっかり準備してから出かけましょう。
ウェアは速乾性が高く、動きやすいものを選びます。暑くても長袖、長ズボン、そして帽子の着用が基本です。ゴアテックスなどの防水・透湿性のある素材を使ったレインウェアも準備しておきましょう。気温は東京より10度ほど低いと想定してください。
そして、トレッキングで最も重要なのはシューズです。長時間歩くうえ、木道は滑りやすいので、足首を痛めないために自分の足にあったトレッキングシューズを用意しましょう。
今回、ザックは25リットルのタイプとヒップバックを持って行きました。脇にポケットがあると三脚とペットボトルを入れることができます。ツキノワグマが生息しているので熊よけ鈴をザックに結べば安心です。
トレッキングだけなら30リットル程度のザックひとつでいいですが、フィルターやバッテリーを交換するのにヒップバックがあると出し入れがしやすいです。いずれも雨対策としてレインカバー付きのものを選びましょう。
機材はカメラ、標準ズーム、望遠ズーム、マクロ、三脚、PLフィルター、メディア、予備バッテリー、クリーニングキットを持って行きました。
今回持って行った三脚は、7月22日発売のベルボンの新製品、UT-63(メーカー希望税別小売価格4万3,400円)。小さく縮めて大きく伸ばせる「ウルトレック」シリーズの最上位モデルです。新タイプからはフリクションコントールがついたので、重いカメラとレンズでも、さらに使いやすくなっています。
縮めているときは28.2cmとコンパクト。でも、伸ばすと約1.5mにまで高くできます。この高さなら、一般的な撮影に十分対応できるでしょう。使用できるカメラ機材は3kgまでと、こちらも余裕があります。
今回はザックの横に取り付けて歩きました。
こんなオリジナル専用ケースが限定でついています(初回生産分のみ付属)。
今回使ったUT-63(左)のほか、UT-53(中央)、UH-43(右)というより小型のモデルも用意されています。
食べ物や飲み物は前日の夜にコンビニで購入しておきましょう。山小屋で調達することもできますが割高です。水は山小屋で汲めますが、ペットボトルを用意するなどして、熱中症には注意してください。
東京からのアクセス例(マイカー利用・日帰りコース)
前日まで仕事をし、帰宅後、その日の夜に出発。関越自動車道沼田インターチェンジを下り、周辺の日帰り温泉施設でリフレッシュ。途中のコンビニで食べ物や飲み物を買って、明日に備えます。
尾瀬ヶ原へのアクセスは、群馬県の鳩待峠入山口が定番です。距離が短く、高低差が少ないので初心者にぴったり。春から秋にかけて鳩待峠口付近では交通規制が行われているので、乗り合いバスが出発する戸倉第一駐車場に駐車。そのまま車中泊しました。
いろいろな地域から観光客が集まっているようで、関東甲信越はもちろん、関西地域のナンバーも目立ちました。駐車場は24時間1,000円。トイレもあります。
4時40分始発の乗り合いバスに向けて続々とハイカーが集まってきました。AダイヤとBダイヤがあり、始発と終発時刻が異なります。出発時刻は決まっていますが、満員になり次第、続々と出発します。車に揺られ、30分ほどで鳩待峠に到着しました。料金は大人930円。
いよいよ出発! まずは鳩待入山口〜山ノ鼻
鳩待入山口に着いたら、まずは最終バスの時刻を確認しておきましょう。バスを逃すと、バスより高額なタクシー利用になってしまいます。
それから入山口の脇にある、尾瀬と書かれた看板の脇に地図があるので貰っておきましょう。ポイントまでの到達時間がかかれています。
ただし、ゆっくり撮影しているとそれ以上に時間がかかるので、途中で柔軟にコースを選んでいきましょう。
入口には外来植物の侵入を防ぐための種子取りマットがあるので、靴底をこすってから入ります。ここから1時間ほどの山歩きです。
入山と言っても、はじめは下り。階段状のやや急な石段から始まり、木製の階段、その後はなだらかな木道を歩きます。木道は右側通行です。滑らないようにゴムマットや凹凸が付いている箇所もありました。
尾瀬ヶ原に出るまでは緑の林の中を歩いてきます。すれ違うハイカーから「こんにちは!」と挨拶をされますので、こちらからも声をかけましょう。
マクロレンズがあれば、道中でこんな作品も撮れます。
途中にクマに注意の看板がありました。鐘を叩いて、クマに人の存在を知らせましょう。
山ノ鼻
長い下り道を経て、山ノ鼻ビジターセンターに到着。天気や花の開花情報などを入手しましょう。
竜宮までトイレがないので、ここで済ませておきます。トイレは100円のチップ制なので小銭を用意しておきましょう。綺麗なので女性も安心です。水汲み場もあります。
山ノ鼻〜牛首分岐
さあ、ここが尾瀬ヶ原の始点になります。前方には燧ケ岳、後方には至仏山がそびえ、目の前に突然広がる湿原の大パノラマに感動します。
さっそく撮影開始です。木道は人ひとりが歩けるほどの幅しかないので、後ろから人が来ていないかを確認して立ち止まりましょう。
三脚を立てるときは2本の木道にまたがるように立て、人が近づいて来たらすぐ退けること。シャッターを切るまで待たせてはいけません。
人が頻繁にすれ違うときは一脚のようにたたんで使います。脚を広げたときより安定感は落ちますが、他の人の通行の妨げになるのは絶対にNGです。
低い位置の花を狙うなら、脚を短くしてから開脚機能を使って広げましょう。UT-63にも開脚機能があり、広げるとちょうど木道の上に立てることができました。
木道以外は立ち入り禁止です。自然を守るため、三脚の脚も入れないようにしましょう。
このエリアは上田代と呼ばれ、木道沿いはノアザミの濃いピンク色が鮮やか。
薄紫色のコバギボウシも咲いています。
池塘(ちとう)と呼ばれる小さな池。PLフィルターがあると水面や水生植物の葉のテカリを抑えることができます。
逆さ燧(さかさひうち)は燧ケ岳(ひうちがたけ)が池塘に映り込む撮影ポイントのひとつ。ちょっと風があったので、水面が揺らいでしまいました。
牛首分岐〜竜宮
入山時は日が出ていたのに、突然雨が降り出しました。山の天気は変わりやすいので、レインウェアは必ず用意しておきましょう。親子連れのハイカーのレインウェアが彩り豊か。
ニッコウキスゲも露をまとっています。マクロレンズでの接写はぶれやすいので、なるべく三脚を使いたいところ。自然の中にいることを感じつつ、ライブビューを見ながら、じっくりと構図とピントを合わせます。
濡れた木道は滑りやすいので注意してください。木道を歩いていると山小屋に荷物を運ぶ歩荷さんに出会うかもしれません。
三又に分岐する牛首からは中田代エリア。竜宮方面へ向かい、山小屋のベンチで早めの昼食をとりました。
竜宮〜見晴
下田代エリアは草地が広がり、風が抜けるととてもすがすがしい気分になります。四方をこんなに遠くまで見渡せる場所はそうそうないでしょう。至仏山(しぶつさん)が遠くなる一方で、燧ケ岳が迫ってくるようです。
見晴のベンチで休憩するハイカーさんたち。湧き出る清水でお湯を沸かしてコーヒーを飲むなど慣れた様子。水はとっても冷たいです。
見晴〜東電尾瀬橋〜東電小屋
見晴から進むと東電尾瀬橋に出ます。橋の上から川の流れを撮影しました。
三脚があれば、シャッター速度を遅くして、流れを感じさせる写真が撮れます。大きな三脚だと持ち歩くのに覚悟と体力がいりますが、今回のUT-63なら気軽に携帯できます。初めて行く場所はどんな被写体や光景に出会うかわからないので、なるべく三脚を持っていきたいですね。
東電小屋まで歩いて再び休憩。屋根付きの休憩所もあります。
背負子に積み上げられた歩荷さんの荷物が置かれていました。重いときには100kgにもなるそうです。この方たちが運んでくれたと思えば、250円の缶ジュースも決して高くありません。
東電小屋〜ヨッピ吊橋
先ほどの雨はすっかりやんで、今度は青空が出てきました。今日は曇りのち雨の予報でしたが、やはり山の天気は読めませんね。
ポツポツとニッコウキスゲが見られますが、シカの食害や遅霜の影響もあって、今年は全体的に数が少なめのようです。木道脇の一輪に迫ってパチリ。
ヨッピ川にかかる鉄製のヨッピ吊橋。
橋から見下ろすと、水草が繁茂していました。魚も泳いでいましたよ。吊橋なのでちょっと揺れます。
ヨッピ吊橋〜牛首分岐〜山ノ鼻
ヨッピ吊橋を抜けると再び池塘が見られます。水があると変化があるので草地より写真になりやすいですね。
浮島の周囲に赤く見えるのは食虫植物のモウセンゴケ。
池塘には小さく白いヒツジグサの花が開いていました。未の刻(午後2時)に開花するので、往路では花がつぼんでいました。
牛首から山ノ鼻までは往路と同じルートとなります。しかし、復路とは天候も光の指す方向も変化し、また違った印象でした。山ノ鼻に到着したのは15時ごろ。
山ノ鼻〜鳩待峠
歩き疲れた後に上り坂が待っているのが尾瀬トレッキング。地図には往路は1時間、復路は1時間半と書かれています。17時10分の最終バスに間に合うよう、余裕を持って山ノ鼻を出発しました。
最初は木道の緩い上り坂ですが、最後の最後に急坂になります。すれ違うのはこれから尾瀬に入る宿泊組のハイカーさんたちの涼しい顔。方や心臓バクバクの私。休みつつ、長い道のりを経てゴール。天空の世界から突如現実に戻った感じです。
再び乗り合いバスに乗って駐車場へ。帰りには温泉に入って汗を流し、さっぱりして帰路につきました。
5月後半から6月上旬はミズバショウ、7月中旬にはニッコウキスゲ、9月下旬は草紅葉と、季節によって見頃が異なります。
さらに山小屋に宿泊すれば、霧に包まれた朝の風景を目にすることができるかもしれません。
皆さんもぜひ尾瀬ヶ原にお出掛け下さい。
協力:ベルボン株式会社