写真で見るロモグラフィー「Fred Perry 60th Anniversary La Sardina」
ロモジャパンが4月10日に発売した「Fred Perry 60th Anniversary La Sardina」は、ロモグラフィーとフレッドペリー(FRED PERRY)のコラボレーションによる限定生産の銀塩カメラ。直販サイトなどで取り扱いがあり、価格は1万1,550円だ。
本機種のベースモデルは、オイルサーディン缶をモチーフにしたボディに、ポップなカラーリングやパターンを採用する銀塩カメラ「La Sardina」。このフレッドペリーエディションでは、真鍮製ボディにエッチング処理でヘリンボーン柄を施しており、クラシックかつお行儀のよさそうな雰囲気を醸し出している。
フレッドペリーと聞けば、モッズコートでベスパを乗り回す諸兄に限らず、定番のポロシャツや月桂樹のロゴマークを思い浮かべる方は少なくないだろう。このカメラのボディには、フレッドペリーがスポーツウェアのブランドとして設立してから2012年で60周年を迎えることを記念し、ローレルマークと「60th」の文字が側面にデザインされている。
前面・背面・側面にそれぞれ大きさの異なるヘリンボーン柄をあしらう | 側面にはブランド設立60周年を記念したマーク |
ユニオン・ジャックをデザインした巻き戻しノブ | はめ込み式レンズキャップが付属する |
見た目は長年に渡り使い込まれたブラックペイントのカメラのようで、購入時から貫禄たっぷり。特にファインダーの側面部分に見られるスレの仕上げなどに、筆者は“エイジド”や“レリック”と呼ばれる加工を施されたオールド風エレキギターを連想した。これで真新しいシルバーのネジが経年でくすんでくると、なおよい風合いになるだろう。
手にとって実機を眺めてもチープさは感じず、1万円ほどでこの存在感たっぷりのカメラを手元に置けるのはなかなか魅力的と感じる。一見して「古そうなカメラだね」と声を掛けられることも多く、このクラシックなにおいを演出したロモグラフィーのセンスには感心しきりだ。
レンズはおそらくノンコートのプラスチック製。フィルム2本ほど撮影してみたが、逆光では円形の虹のようなゴーストが盛大に現れる。中心部以外は色収差や描写のゆるさが目立ち、遠くの被写体もさほどシャープには写らない。これがファンを引きつける独特な“味”なのだろう。露出やピントといった細かなことは気にせず、偶発性も楽しみたいカメラだ。
また、ロモグラフィーのWebサイトでは、わざとカメラの裏蓋を一瞬開けて光線漏れを演出したり、レンズ先端を半分ずつ覆って多重露光を行なうなど、一風変わったテクニックがいくつも紹介されている。飾るだけでもサマになるカメラだが、せっかくなのでそうした掟破りの撮影にもチャレンジしてみたい。
レンズは22mm F8の固定式 | レンズは沈胴式で、撮影時に引き出す。先端部を回して0.6〜1m、1m〜∞の撮影範囲を選ぶ |
ロモグラフィーが販売するフィルムを用意してみた。パッケージデザインが楽しい | 同社「LomoLab」(ロモラボ)では、ロモグラフィーの各種カメラで撮影したフィルムの現像・プリント・データ化に対応。失敗写真のような演出の1枚をプリントから省かれてしまうこともないだろう |
鈴木 誠
2012/4/19/ 00:00