新製品レビュー

キヤノンPowerShot G5 X(外観・機能編)

一眼レフ的デザイン+明るいズームの本格コンパクト

キヤノンから発売された「PowerShot G5 X」は、同社がラインナップするコンパクトデジタルカメラのなかでもプレミアムシリーズに位置するカメラだ。コンパクトデジタルカメラとしては大型である1型のCMOSセンサーを搭載しており、また電子ビューファインダー(EVF)を内蔵したモデルでもある。

1型の撮像素子は、有効約2,020万画素の裏面照射型CMOSセンサーだ。映像エンジンにはDIGIC 6を採用。同時に発表されたポケットサイズの「PowerShot G9 X」と同じ画素数を持つ。なお、PowerShot G9 XにはEVFが搭載されていない。

外観はデジタル一眼レフカメラのミニチュア版といった趣。一眼レフで言うところの“ペンタ部”には、同社の一眼レフデジタルカメラEOSシリーズに共通するデザインのロゴが施されている。

“イチガン”っぽい本格的スタイリングが魅力

一眼レフだとすこし手にあまるという女性の手にもちょうど良いサイズ。それでいて本格的なカメラスタイルなので、見た目にもちょっとこだわりたいユーザーにもお勧めできる

大きさは幅112.4×高さ76.4×奥行き44.2mm。質量は約377g(撮影時)と、コンパクトデジタルカメラとしては大柄で重め。ただ一眼レフを日常的に使用している筆者からすると、一眼レフっぽい見た目ながらに非常にコンパクトで軽く感じてしまう。

直線的なデザインがクラシカルにも感じる。右手グリップの上部に電子ダイヤル、レンズの周囲に大型のコントロールダイヤルを配する
約104万ドット3型TFTカラー液晶のバリアングルモニターを採用。操作部は右手側に集中しており、親指で操作可能。十字方向ボタンとSETボタンの周囲にはコントロールホイールを用意。大きめのサムグリップが設けられている
樹脂カバー内にはリモコン端子(EOSシリーズと共通のリモートスイッチRS-60E3が使用可能)、DIGITAL端子(Micro-B)、HDMIコネクターDタイプが用意されている。また筐体下部には内蔵Wi-Fi機能をスタートさせるためのワンタッチスマホボタンを配置
筐体側面にスピーカー、ファインダー側面には視度調整ダイヤルがある
カメラ上面には大きなモードダイヤルと露出補正ダイヤルがそれぞれ独立して配置。他は電源ボタンとシャッターボタン、ズームレバーというシンプルな構成だ。いわゆる“ペンタ部”の左右側面に沿うようにマイクの小さな穴が見える
バッテリー/メモリーカード室と三脚穴が配置される。NFC対応機器との接続を行う際には、底面のNFCマークを機器と接触させる

搭載されたレンズは両面非球面レンズ1枚、片面非球面UAレンズ1枚、片面非球面レンズ1枚、UDレンズ1枚で構成された9群11枚の倍率4.2倍のズームレンズ。焦点距離は35mm判換算24-100mm相当で、F1.8(広角端)〜F2.8(望遠端)と比較的明るいレンズだ。

インナーフォーカス方式で、シャッタースピードにして約3段(望遠端)の光学式手ブレ補正機構を搭載する。

電源オフ。レンズバリアを装備
電源オン(広角端24mm相当)
電源オン(望遠端100mm相当)

操作性の高いダイヤル、高精細EVFなどで本格撮影にも対応

PowerShot G5 Xはアナログ感覚で操作できるダイヤルによって高い操作性を実現している。背面のコントロールホイールと併せて、EVFを覗きながら指先だけで各種設定を変更可能だ。ホイールには好みの機能を割り当てられる。筆者はレンズ周辺のコントロールリングにステップズームを割り当てて撮影を行った。

内蔵ストロボは手動で引き上げる。調光範囲は広角端で50cm〜7m、望遠端で50cm〜4m。ガイドナンバーは非公表
バッテリー/メモリーカード室の蓋はカメラ本体方向に沿って開くため、交換時は三脚およびネジ穴で吊り下げるタイプのストラップは必ず取り外す必要がある。バッテリーはNB-13L。対応メモリーカードはSDXC/SDHC/SDメモリーカード(UHS-I対応)

EVFには0.39型約236万ドットの高精細な有機ELを採用。アイポイントが22mmあり、メガネをかけた状態でも周囲がケラレることなくファインダー像を見られる。背面モニターと自動で表示先を切り替えるアイセンサーも装備している。

また、アクセサリーシューはEOSデジタルと共通のスピードライトが使用可能。電波無線シンクロ方式のスピードライトトランスミッターST-E3-RTも使える。

EVFの画面表示は、カメラの横位置、縦位置に合わせて表示情報が切り替えられる。表示は精彩で色割れも感じない。ただ初期設定の表示フレームレートでは、カメラを大きく振った際に画像が少し遅れる感覚がある。気になる場合は、EVFと背面モニターの両方の動きをなめらかにする[なめらか優先]と、EVFの設定で[ファインダーの表示]を[高速]にすることで改善される。

横位置撮影時のEVF表示
縦位置撮影時のEVF表示

約104万ドット3型TFTカラー液晶のバリアングルモニターを採用。ハイアングルやローアングル時にはとても便利。また、バリアングルモニターは縦位置撮影時にも扱いやすい。

モニターはタッチパネル式。画面での操作やタップした位置でのフォーカス&シャッターレリーズができる。

バリアングルモニターとタッチシャッターを組み合わせることで、自撮りも楽に行える。シーンモードには「自分撮りモード」を搭載。撮影画像には美肌効果も与えられる

メニュー画面はデジタル一眼レフのEOSシリーズに似通ったデザインと配置となっている。EOSデジタルのユーザーならば戸惑うことなく操作できるだろう。

オートモード撮影時の液晶表示。グリッドと水準器を表示させたところ
記録画質選択画面。P、Av、Tv、M、CモードのみRAW記録が可能
撮影モードダイヤルに連動して、液晶画面にも選択モードが表示される

なお、PowerShot G5 XはUSB充電に対応している。DIGITAL端子にマイクロUSBのケーブルを挿入し、PCのUSB端子や、USB電源アダプターなどからカメラ内のバッテリーを充電できる。

最近はカフェや空港ロビーなど電源スポットが用意されている場所が増えているので、出先などで充電が必要となったときにとても便利だ。また、USB充電と比べて高速な単体バッテリーチャージャーも同梱されている。

USB充電に対応。キヤノンが別売でインターフェースケーブルIFC-600PCUを用意しているが、写真のように手持ちのマイクロUSBケーブルでも充電できた

Wi-Fi接続でワイヤレス撮影や画像転送に対応

PowerShot G5 Xには、ワイヤレス接続のためにWi-Fi機能が搭載されている。また。より簡単にWi-Fi接続できるNFCペアリングにも対応しており、対応スマートフォンだけでなく、同じくキヤノン製品のストレージ機器「Connect Station CS100」にワンタッチで接続してデータ転送を行うこともできる。またWi-Fiアクセスポイントに直接接続し、インターネット上のクラウドサービスやSNSへの画像投稿も可能としている。

スマートフォンとのWi-Fi接続をスタートさせる「ワンタッチスマホボタン」。事前設定を行っておけば、次回からはこのボタンを押してスマートフォンの専用アプリ「Camera Connect」を立ち上げるだけでWi-Fi接続が可能
PowerShot G5 XとiPhoneをWi-Fi接続した状態で、Camera Connectを立ち上げた画面
カメラ内のメモリーカードに記録された画像を閲覧。Wi-Fi経由で画像を転送して、スマートフォン内のカメラロールに保存することができる
スマートフォンからPowerShot G5 Xをリモート操作。ライブビュー画面を見ながら撮影できる。スマートフォン画面のタッチ操作で露出設定、ズーム、AF、シャッターなどが操作可能。ただし、露出補正された明るさはスマートフォン上のライブビュー画面には反映されない
スマートフォン内蔵のGPS機能などを使って得た位置情報を、PowerShot G5 Xの撮影画像に付与することもできる

あたらしいクリエイティブ画像の楽しみを提案

PowerShot G5 Xに搭載されたうち、特徴的で面白い撮影モードが「クリエイティブショット」だ。これは正方形スタイルが目を引く「PowerShot N2」などにも搭載されていた撮影モードで、撮影時にカメラが自動的に複数の異なるフィルター効果などを適用して記録するという機能だ。

撮影モードでクリエイティブショットを選択
PowerShot G5 Xを被写体にむけてシャッターを切ると、カメラが被写体を解析し「構図」「色」「光」をカメラが自動で変えて、オリジナル画像+5種類の効果を与えられた画像が生成・保存される

クリエイティブショット撮影例

「構図」「色」「光」をカメラが自動的に変えて保存した画像。画像比率を変えてトリミングまで行われている。1枚目がオリジナル画像

このモードで作り出される画像は、慣れないうちには違和感も強いものだった。しかししばらく使用していると、自分では決して選択しないような組み合わせが生まれてくるので、なかなかに面白いと感じるようになった。

PowerShot G5 Xはコンパクトながらも一眼レフライクなスタイリングで、見た目も操作系も一眼タイプのカメラを使用しているユーザーにとって違和感の少ない仕上がりになっている。次回は実際に撮影した画像をみながら、このPowerShot G5 Xの描写力を検証したい。

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現 東京ビジュアルアーツ)卒。女性ポートレートから風景、建築、舞台、商品など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーおよび撮影ツアーの講師を担当。デジタルカメラに関する書籍やWeb誌にも数多く寄稿している。近著「オリンパスOM-Dの撮り方教室 OM-Dで写真表現と仲良くなる」(朝日新聞出版社)、「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド」(玄光社)など。 2015年9月よりデジタルハリウッド「カメラの学校」講師。Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy