ソニーの現行デジタルカメラのほとんどには、「スイングパノラマ」機能が搭載されている。その名のとおりカメラをスイングして、パノラマ画像を得るものである。似たようなパノラマ撮影機能を搭載する他社のデジタルカメラも見かけるが、同社のものは他に先がけ登場し、しかも繋ぎ合わせの精度が高いのが特徴だ。もちろんDSC-RX1にも搭載されており、今回のロングレポートではこのスイングパノラマ撮影を試してみたいと思う。
DSC-RX1でのスイングパノラマは、標準サイズとより広い範囲を撮れるワイドサイズから選択できる。おおよそとなるが、横位置でスイングした場合の角度は、標準サイズで90度ほど、ワイドサイズでは140度ほどとなる。スイングする方向は左もしくは右のほか、上または下からも選択が可能。上または下方向は、カメラをタテ位置にすると左もしくは右方向へのスイングとなり、横幅は短くなるものの天地をより広く写すことができる。
スイングパノラマはソニーのデジタルカメラのほとんどに搭載されている機能だ。カメラを振るだけで、パノラマ撮影が簡単に楽しめる。設定はモードダイヤルで行なう。 記録サイズは、標準サイズの場合で左右方向約1,520万画素(8,192×1,856ピクセル)、上下方向約836万画素(2,160×3,872ピクセル)、ワイドサイズの場合では左右方向約2,304万画素(12,416×1,856ピクセル)、上下方向約約1,195万画素(2,160×5,536ピクセル)といずれもリサイズされるため、さほど大きなものとはならない。
画像サイズは[標準]と[ワイド]から選択が可能。画像サイズは、標準では左右方向8,192×1,856ピクセル、上下方向2,160×3,872ピクセル、ワイドでは左右方向1万2,416×1,856ピクセル、上下方向2,160×5,536ピクセルとなる。 スイングする方向は右、左、上、下から選択できる。撮影時は背面液晶に振る方向が示されるので、それに従ってカメラを振っていくだけだ。 撮影方法は液晶モニターに表示された矢印の方向にシャッターボタンを全押しした後、振るだけである。ただし、振るスピードなどによってカメラが画像を記録することを止めてしまったり、記録しても途中までとなり本来の記録サイズにならないこともあるので、留意が必要だ。また、コントラストの無い被写体、例えば画面全体が空だけのような場合でも撮影を中断してしまうこともあるので、こちらも気にしておく必要がありそうだ。ちなみに、何度トライしても最後まで撮影しない場合、振る方向を変えてみると改善されることが多いように思えた。
露出の設定にも注意したい。撮影開始直後に固定されてしまうため、明るいところと暗いところがある被写体など、あらかじめ露出補正を調整しておくかAEロックで固定する必要があるからだ。なお、スイングパノラマに設定すると、撮影モードは自動的にプログラムAEに切り換わる。
ピント位置をどこにするかも大事な要素だ。遠景と近景が混じり合っている被写体の場合、フォーカスロックでピント位置をあらかじめ決めておく必要があるだろう。ここまで書くとスイングパノラマは何か難しいように思えるが、画像を何枚も撮影してパソコンで合成するよりは、はるかに手軽で簡単なことはいうまでもない。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦の写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
・横スイング[標準]
DSC-RX1 / 約3.6MB / 5,536×2,160 / 1/500秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約5.6MB / 8,192×1,856 / 1/500秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約4.1MB / 8,192×1,856 / 1/500秒 / F10 / -0.7EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約5.2MB / 8,192×1,856 / 1/500秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約5.2MB / 8,192×1,856 / 1/500秒 / F5 / +0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約5.3MB / 8,192×1,856 / 1/500秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm ・横スイング[ワイド]
DSC-RX1 / 約5.9MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F10 / -1EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約7.9MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約6.8MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約6.4MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm ・縦スイング[標準]
DSC-RX1 / 約2.6MB / 2,160×3,872 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約3.2MB / 2,160×3,872 / 1/500秒 / F7 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約2.6MB / 3,872×2,160 / 1/500秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約3.3MB / 3,872×2,160 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm ・縦スイング[ワイド]
DSC-RX1 / 約3.2MB / 2,160×5,536 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約4.2MB / 2,160×5,536 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約3.4MB / 5,536×2,160 / 1/500秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約3.5MB / 5,536×2,160 / 1/500秒 / F5 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約4.5MB / 5,536×2,160 / 1/500秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm DSC-RX1 / 約3.4MB / 5,536×2,160 / 1/500秒 / F4 / +1EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 35mm 撮影した結果については作例を見てもらえば分かるとおり、基本的には上々の仕上がりだ。カメラを振ることによる、ブレの発生も見当たらないといってよい。ただし、さざ波の立つ水面や動いているクルマなどが画面に入ると、繋ぎ合わせが上手くいかなかった部分もある。動いている被写体はなるべく画面に入れないよう撮影する必要がありそうだ。
ちなみに、水平にした雲台にカメラを載せ、左右に回転させてパノラマ撮影も行なってみたが、これが意外と具合がよかった。手軽に楽しめることをコンセプトとするスイングパノラマを否定してしまうような撮影方法であるが、水平線などが途中で傾くようなことがなく、精度の高いパノラマ写真を楽しむことができる。スイングパノラマを搭載しているカメラを持つソニーユーザーは、ぜひ試してみるとよいだろう。
DSC-RX1のスイングパノラマ機能は、2,430万画素をフルに活かした撮影こそできないものの、十分に楽しめるものである。個人的にはこれまであまり注目していなかった機能の1つであったが、今回のテストではその楽しさを感じることができた。