気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

OLYMPUS PEN E-P5【第3回】

こっそりとフォーサーズレンズのAFが速くなっていた件

 「フォーサーズアダプターMMF-3」を使うと、OLYMPUS PEN E-P5にフォーサーズレンズを装着できるのだが、その際のAFが以前よりも速くなっているらしいという情報を入手したので検証してみることにした。

今回試したレンズ。左からZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD、ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD、ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro。右手前はフォーサーズアダプターMMF-3。

 と言っても、もともとが位相差検出AFで使うことを前提に設計されたレンズをコントラスト検出AFで動かすのだから、一眼レフのような速さを期待するほうが間違っている。我慢の限界を少しでも下回ってくれれば御の字だろう。

 ちなみに、AFが速くなるのは、「ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD」、「ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD」、「ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD」、「ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro」の4本だけ。レンズを駆動するアルゴリズムを最適化しているとのことで、E-P3などの従来モデルに比べて、だいたい15〜40%ほどの高速化を実現しているらしい。ようはソフトウェアの改善なので、開発陣の頑張り次第では、今後対応するレンズが増えるかもしれない。まあ、希望的観測でしかありませんけどね。

 で、今回は4本の対応レンズのうち、12-60mm、50-200mm、50mm Macroの3本をお借りできたので、OLYMPUS PEN E-P3とのスピード比較をやってみた次第。ご覧いただくのは、E-P3とE-P5とで、近距離の被写体と遠距離の被写体に交互にピントを合わせると言う、まあ、EOS Mの長期レポートでもやったテストである。12-60mmは広角端と望遠端、50-200mmは部屋の広さの関係で望遠端ではなく、焦点距離150mm程度になっている。

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 12-60mmの場合、広角端ではそれほど違いはないが、望遠端ではかなり差があった。E-P3のは「ちょっとこれは勘弁してください」とお願いしたくなるぐらいに時間がかかっているのに対して、E-P5はおおむね我慢できる範囲。イラッとする前にピントが合ってくれる感じである。動かない被写体しか撮らないのであれば、それなりに実用になるのではないかと思う。

ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD(広角端)

E-P3
E-P5

ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD(望遠端)

E-P3
E-P5

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 望遠ズームの50-200mmでは、E-P3とE-P5の違いはもっと顕著になる。広角側の動画を見比べると、E-P3では2、3回レンズがうろうろしてからピントが合う。遠距離の被写体にピントが合っている状態から近距離の被写体にピントを合わせるときには2回が多く、近距離から遠距離にピント位置が移動するときは3回が多い感じだった。E-P5でも、やはり2回ほどレンズがうろつくが、2回でいけるケースが多かった。また、1回目よりも2回目のほうがピントが移動する幅が狭く、その分早くピントが合ってくれる。

ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD(広角端)

E-P3
E-P5

 50-200mmの望遠側は、雲泥の差を超えている。E-P3のは、シャッターボタンを半押しすると、「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」っと端まで行って、今度は「ろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」っと反対側まで戻って、それからさらに「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」ってやってから、思い出したかのようにピントが合う。違う意味で絶叫マシンのようだった。近いほうが最短撮影距離付近だったこともあるだろうが、正直、これをAFとは呼びたくない。そういうレベルの遅さだった。

 E-P5にしたところで、誉められるほど速いわけではない。やはり数回うろうろっと動いてからピントが合うのは同じだが、MFに切り替えたくなるほどではない。実写で試したかぎりでは、比較的遠距離のコントラストがはっきりした被写体であれば、それほどストレスは感じなかった。心の広い方なら十分実用になる速さだと思う。

ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD(望遠側:約150mm)

E-P3
E-P5

 ただし、AF駆動時の作動音については一考を要すると思う。超音波モーター(SWD)の2本は、ピントが動くときに「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」みたいな、小っちゃい削岩機でも仕込んでいるかのような音を立てる(ハンチングしたときの音と言えば分かってもらえると思う。動画でも音量を上げると聞こえる)。それがちょっと耳障りなのと、振動でレンズに変な影響が出やしないかと心配になってしまうのだ。

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 3本目の50mm Macroは、2機種ともに半押しから近いところまではすうっと行くのに、そこから合焦マークが出るまでがみょうに長い。ただ、超音波モーターの2本のような派手なAF駆動音ではないので、それほど気にはならない。スピード的には、E-P3は少々げんなりしそうな遅さだが、E-P5はずっと短時間でピントが合うのでストレスは少ない。実写でも遅さが気になることはなかった。

ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro

E-P3
E-P5

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 試してみての個人的な感想としては、それなりに実用に足りるスピード、と言ったところである。「電子ビューファインダーVF-4」付きのE-P5で、半押し中手ブレ補正機能をONにしていれば、50-200mmの手持ち撮影もけっこういける。ピントも正確だった。動かない被写体しか撮らないのであれば、ほとんど問題はないだろう。

 ただ、オリンパスのサイトのMMF-3のページに、「SHGレンズ使用時は、ボディーのみで保持しないでください。防滴性能・光学性能が保てない場合があります。」なんて書かれているのを見れば、50-200mmとの組み合わせには不安を感じざるを得ない。これがMMF-3の問題なのか、それともボディの問題なのか、あるいはマイクロフォーサーズの規格自体の問題なのかは分からないが、機材の心配をしつつ撮影するというのも楽しくはない。重量バランスも良好なわけではない。何より、スーパーハイグレードやハイグレードレンズを愛用している人たちが期待しているのはもっと上のレベルだと思うが、マイクロフォーサーズのボディでフォーサーズのレンズもそこそこ快適に使えるようになったのはよろこんでいいニュースだと思う。

(参考)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8

※マイクロフォーサーズレンズとフォーサーズレンズのAFスピードの違いを見比べるため、マイクロフォーサーズレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」を装着して撮影した。
E-P3
E-P5
  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD

E-P5と組み合わせる標準ズームとしては大きすぎだし、重量バランスもいいとは言えないが、使い勝手としてはそんなに悪くはない感じ。1/1,250秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 12mm
開放F値は、広角端だけF2.8と明るめ。暗めの室内では有利だ。EVFだとそのありがたみを実感しづらいのがアレですが。1/25秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 12mm
ピントが合うまでの時間は、明るい場所でもそんなには速くないが、暗い場所でも遅くはならない。ピント自体も正確だ。1/50秒 / F3.3 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 21mm
そう言えば、フォーサーズのレンズの歪曲収差は自動補正してくれないんだね。次の世代に期待か? 1/200秒 / F3.7 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 36mm
現実的な話、E-P5にこのレンズの組み合わせはないと思う。重さと遅さを気にしなければ使えるし、画質的にも問題はないけれど、使う必然がない。1/1,250秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 12mm

ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD

マイクロフォーサーズのレンズと違って、ピント合わせにもたつく感じはあるが、待ちくたびれるほど遅くはない。まあまあ実用になるスピードだ。1/400秒 / F4 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 112mm
あまり絞っていないので周辺部までピントがきていないが、中心部のシャープさはハイグレードレンズならでは。1/1,600秒 / F4 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 158mm
四隅だけは少し崩れるものの、それ以外はケチのつけどころがない。解像力に関しては、1,600万画素でもまだ余裕がありそうな印象だ。1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 137mm
400mm相当の望遠で開放F3.5というスペックのレンズはマイクロフォーサーズにはない。スピードを別にすれば魅力的なレンズだ。1/640秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 101mm
いちばんのネックは、三脚座別で995gという重さ。それから、ズームリングが太くて重いので、ハンドリングの部分ではもうひとつだと思う。1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 200mm

ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro

フォーサーズの名レンズの1つで愛用者も多いはず。絞り開放だと軸上色収差が見えるときがあるが、コントラストが高くなければ平気。1/80秒 / F2.2 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 50mm
いかにもなマクロレンズ的切れ味よりも、少し優しい描写が持ち味。「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」とは違った魅力がある。1/80秒 / F2.5 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 50mm
半押しから合焦までの時間は2本のズームより長めだが、作動音がかしましくないのはいい。1/400秒 / F4 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 50mm
シャッター速度を落としたかったのでISO LOWで。手ブレ補正が強力なので、こういうシーンはらくちん。1/10秒 / F10 / 0EV / ISO100(拡張) / 絞り優先AE / WB:晴天 / 50mm
これはMFに切り替えて最短撮影距離で撮ったカット。半押し中手ブレ補正のおかげでマクロ域でもピントが見やすい。1/400秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 50mm
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北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら