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オリンパスE-620【第2回】

E-520とダイナミックレンジを比較

Reported by 北村智史


今回使ったレンズはZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6、同ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6、同ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macroの3本

 遅ればせながらの第1回からずいぶん経って、ようやくの第2回である。忙しくてじたばたしていたら、マイクロフォーサーズのE-P1が登場して、OLYMPUS Studio 2やOLYMPUS Master 2もバージョンアップ。E-30とE-620、E-P1の3機種のRAW画像だけだが、現像時にアートフィルターを適用できるようになって、Photoshop LightroomもE-620に対応した(E-P1はまだ)。

 さて、オリンパスのレンズ交換式デジタルカメラは、E-30からベース感度がこっそりISO200に変わっていて、それまでよりもハイライト側のダイナミックレンジが伸びている。しかし、E-30の使用説明書にはそのことがちゃんと書かれておらず、カメラの警告表示類にしても、高感度側は点滅表示で拡張感度だというのがわかるようになっているのに対して、低感度側は何もない。

 E-620の使用説明書を見ると、「ISOオート設定」のところに「自動的に変わるISO感度の上限値を200〜3200の間で」とか「適正露出が得られる撮影状況で通常使用する値を200〜3200の間で」とか書かれていたり、「ISOオート有効」のところで「Mモードでは[オート]に設定されていると、ISO200になります」とかいった具合に、一応ISO200がベース感度であると推測できなくはない状態にはなっているものの、明言はしていない。結構大事な情報だと思うので、きちんとアナウンスしてもらいたいところである。

 そういうのは、ちょっと横に置いておいて、ISO100に比べてISO200だとどれぐらい白とびが減るんだろう? それと、従来モデルとの差はどれぐらいなんだろう? というわけで、ISO100ベース時代のE-520とも撮り比べることにした。

ダイナミックレンジ検証

 E-620とE-520のそれぞれISO100とISO200で、どオーバーからどアンダーまで段階露光をやったのをチェックしてみた。同じ露出値で比べると、E-620のISO200がもっとも白とびが少なくて、E-520のISO200が2番目なのだが、E-520のISO200だけ、ほかのよりもちょっと暗い。感度がやや足りていないのか、光の具合の問題なのかはわからないが、とりあえず1/3段明るいコマを選ぶと、おおむね明るさも揃い、白とびの度合いも似かよってくる。なので、E-520のISO200が白とびが少ないというわけではなさそうだ。

 一方、ほかのよりも2/3段〜1段ほど明るいコマを見ると、白とびの度合いがおおよそ同じぐらいになっている。なので、E-620のISO200は、ほかのよりも2/3段ほどハイライト側のダイナミックレンジが広いと考えていい。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

 内蔵露出計の適正の数値(いわゆる“出た目”)は、ISO100でF8、1/400秒。同じ露出値で撮ったカットをピックアップした。わかりやすいように、各画像をPhotoshop Lightroomに読み込んで「クリッピングを表示」にした状態(赤い部分が白とびしている範囲を示している)の画面キャプチャーも併せて掲載する。

E-620(ISO100)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/640秒 / F8 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示
E-620(ISO200)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/1,250秒 / F8 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示
E-520(ISO100)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/640秒 / F8 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示
E-520(ISO200)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/1250秒 / F8 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示

 E-520のISO200だけ少しアンダー目になるので、1/3段明るめのカットのほうがよさそう。

E-520(ISO200)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/1000秒 / F8 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示

 今度は、E-620のISO200で、白とびの範囲がほかのと同じぐらいのコマを探してみる。E-620のISO100の1/400秒のに比べると、ISO200の1/400秒だとちょっと多め、1/500秒だとちょっと少なめという感じ。おおざっぱに見て、だいたい2/3段ぐらいハイライト側のダイナミックレンジが伸びていると考えてよさそうだ。

E-620(ISO200)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/400秒 / F8 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示
E-620(ISO200)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/800秒 / F8 / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
Lightroomでの白とび警告表示

高感度画質の比較

 ついでに、高感度域の画質の違いもチェックしてみた。有効画素数はE-520が1,000万画素だったのがE-620は1,230万画素に増えている一方、画像処理エンジンはTruePic IIIからTruePic III+に変わって、最高感度はISO1600からISO3200にアップしている。そのあたりも気になっていたところだったのである。まだ明るいうちだったので、F11ではシャッター速度が足りなくて、E-620のISO3,200だけF16で撮影している。回折の影響が大きくなる分、解像力が落ちるのはちょっと我慢である。

 同じ感度のコマ同士を見比べてみると、たいして変わりはないといったところ。ISO800やISO1600を見ると、E-520のほうがノイズの粒が少しだけきれいなような気もするが、やっぱり画素数が少ないほうが画質はいいんだねぇ、と言えるほどの差だとは思えない。ISO400以下だと、どれがどれだかほとんど区別できなくなってしまうほどだし、実用上はほぼ同じと見てもいいように思う。

 E-520にないE-620のISO3200は、けっこうノイズが多くてもうひとつな印象。高感度に強くなったというより、単に感度の設定範囲が広がっただけともいえる。緊急時のオマケができたと受け止めるのがよさそうである。

 これまでのフォーサーズ機は撮像素子サイズの小ささがネックになっているのは間違いなくて、白とびが早く起きる傾向があった。しかしハイライト側のダイナミックレンジが広くなったおかげで、APS-Cサイズ機にもあまり引け目を感じずにすみそうなぐらいになってきている。

E-620(ISO100)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/250秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-620(ISO200)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/500秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-620(ISO400)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/1000秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-620(ISO800)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/2000秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-620(ISO1600)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/4000秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-620(ISO3200)
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/4000秒 / F16 / WB:晴天 / 50mm
E-520(ISO100)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/250秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-520(ISO200)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/500秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-520(ISO400)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/1000秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-520(ISO800)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/2000秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm
E-520(ISO1600)
3,648×2,736 / ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro / 1/4000秒 / F11 / WB:晴天 / 50mm

 ベース感度をISO200に上げてダイナミックレンジを拡張するやり方は、おおざっぱには、ISO100で露出を1段ほどアンダー目で撮って、後処理でトーンカーブを調整するのと同じようなものなので、小手先的と言えなくもない。が、ISO100とISO200の画質の差は目くじらを立てるほど大きくもない。あまり気にせずにISO200を常用してもよさそうに思う。

そのほかの作例

※「仕上がり」は「NATURAL」、「階調」は「標準」、「長秒時ノイズ低減」は「OFF」、「高感度ノイズ低減」は「標準」で撮影しています。

ISO100で撮ってたら白とびが気になって、マイナス補正をしていただろう条件。ハイライトが粘ってくれるのはありがたい
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/500秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
ふらふら歩いていたら、レインボーブリッジはこっち、って書いてあったので。これも今までなら露出を切り詰めないといけなかった条件
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/400秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 26mm
レインボーブリッジ遊歩道の入口。橋脚の向こうにフジテレビの社屋が見える。芝浦側からはエレベーターで遊歩道まで上る
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
レインボーブリッジにつながるループ。こういうのを見下ろすのってけっこう新鮮である。見晴らし自体はいいのだけれど、金網が邪魔
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/400秒 / F8 / 0.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 42mm
すぐ横は車道(高速道路はこの上)なので、びゅんびゅん自動車が走っている。おかげでうるさいし、ぶんぶん揺れる
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/250秒 / F8 / 0.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
フェンスの下の隙間からのぞくようにして撮ったカット。見晴らしはいいのに普通に写真が撮れる場所は案外に少なかったりする
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 1/400秒 / F8 / 0.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 43mm
レインボーブリッジの主塔。高さは120mあるらしいけど、遊歩道自体もけっこう高いので、あまり高くは感じない
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/2500秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
主塔付近から見た芝浦方面。向こうの主塔まで約570mあって、地球が丸い関係で、塔のてっぺんの間隔は根本よりも11mm広いとか
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/1,000秒 / F8 / 0.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
すっきりしたオリンパス日和。日差しも強いが風もあって橋の上はけっこう気持ちいい。ちなみに、頭上に見えるケーブルは直径が80cm近いそうだ
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/1,000秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
橋から見た台場公園。奥手のお台場海浜公園は平日なので、人影は少ない。昔のオリンパスはもっと空が青かったんだよなぁ、と思う
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
いちばん端の測距点はちょっと性能が落ちる感じはするが、フレーミングの自由度が高くなったのはうれしい点だ
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 1/1,250秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 132mm
台場公園北側の船着き場。海鳥が羽を休めていた。ちょっとブレっぽい気もするが、橋の揺れまでは手ブレ補正では補正しきれないということかも
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:晴天 / 150mm
こういう輝度差のある条件は、今までフォーサーズが苦手にしていたものだったが、E-620は露出決定がかなり楽になったと思う
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/160秒 / F8 / 0.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 14mm
空の青さを残すか、シャドーの階調を残すか、二者択一だったのが、ダイナミックレンジが広がって、両方いかすことができるようになった
4,032×3,024 / ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 1/1,000秒 / F8 / -1.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 20mm


北村智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2009/7/31 00:00


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