パナソニックLUMIX DMC-GH1【第2回】

オリンパスのパンケーキレンズを試す

Reported by 本誌:折本幸治


 7月3日、オリンパスからもマイクロフォーサーズ機が登場した。言わずと知れた「オリンパス・ペンE-P1」だ。その人気はかなりのもののようだが、DMC-GH1ユーザーとして気になるのは、オリンパスが同時に発売した2本の交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」と「M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6」だろう。

 この2本は同じマイクロフォーサーズ規格なので、DMC-GH1にももちろん装着が可能。もちろん、マウントアダプターを使わずに装着できるし、AFも動作する。

 中でも17mm F2.8は、待望のパンケーキスタイルにして、マイクロフォーサーズレンズで唯一の開放F2.8を実現している。AFが効いて大口径、さらにマウントアダプターなしで使える。マイクロフォーサーズネイティブなので広角なのに小さい。これを見逃す手はないだろう。というわけで今回は、E-P1ツインレンズキットに付属していた17mm F2.8をDMC-GH1につけて、散歩に出かけてみた。

 しかし、装着したとたん、「AFSになります」とのメッセージが表示されて慌てる。カメラのAFモードをAFCにしていると強制的にAFSになるようだ。

 では動画ではどうかと試してみると、動く被写体に何とか追随はするものの、LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.のような滑らかさはない。耳障りなAF動作音も記録されてしまう。もっとも、静止する被写体を散歩しながらスナップするには問題ないだろうと、気を取り直して持ち出してみた。


M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8を装着。全長22mmの薄型パンケーキスタイルのレンズだ
AFCの状態で接続すると、こんなメッセージが。いまのところAFS専用のようだ

 

 外観はフォーサーズ用の「ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8」を踏襲したもので、今風でシンプルなスタイリング。絞りリングも距離指標もない。樹脂製なのは賛否両論だろうが、おかげで71gという軽量なレンズになったのは喜ばしい点だろう。

 ただし私の場合はコンフォートゴールドのボディにシルバーの鏡胴なので、ド派手なのはともかく、何かがおかしい、ちぐはぐな印象。「頼むからゴールドかシルバーのどちらに統一してくれ」といいたくなる配色だ。もっとも見慣れてくると、それほど気にならなくなった。コンフォートゴールドボディはどんなレンズも結局は強烈な見た目になるので、その辺はすでに鈍感になっているのかもしれない。

 それにしても17mm F2.8をつけたDMC-GH1は軽くて軽快。普段つけている14-140mm F4-5.8の大きさを改めて感じた。小さなバッグへの収まりも良い。これまでレンジファインダーカメラで使っていたアルティザン&アーティストのGCAM-7200に、レンズをつけたまますっぽり入る。14-140mm F4-5.8装着時でも入らないことはないが、少々窮屈で取り出しにくかったのだ。マイクロフォーサーズには本当に単焦点レンズが良く似合うと思う。素直にE-P1で使えば、さらに小さくまとまるのだが。

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8装着時LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.装着時
そしてLUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.

 画質にも満足。単焦点レンズにしては軽く歪曲収差が見られるのと、絞り開放だと周辺光量が落ちることを差し引いても、パンケーキレンズにしては十分な画質だと感じた。補正がかからないRAWで撮るとまた違った印象になりそうだが、個人的には満足いく品質だった。35mm判換算で焦点距離35mm相当の画角も楽しい。

 最短撮影距離は0.2m。コンパクトデジカメのマクロモードには適わないものの、近距離での画質は悪くない。背景がグルグル回るようなボケ描写になることもないし、はっきりとした二線ボケも見られなかった。

 とにかく大変気に入ったので、常にボディ装着しておきたいと感じた次第。別の画角が必要なときは14-140mm F4-5.8とチェンジし、動画も14-140mm F4-5.8にまかせるのが前提だが、通勤時にも持ち歩く私の使い方を考えると、常用レンズとしての魅力的は高いという結論だ。

 もっともDMC-GH1ユーザーにとって、今17mmを単体で購入購入すべきかは少々悩ましい事柄かもしれない。パナソニックのロードマップに、同じくパンケーキスタイルで焦点距離が近い、20mm F1.7があるからだ。

 といっても35mm相当と40mm相当は画角として違うわけだし、最短撮影距離も異なるはず。F1.7とF2.8ではボケ表現が違うとか色々理屈をこね出すと、17mm F2.8と20mm F1.7の両方が手元にあっても悪くない気がする。加えて、ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8(フォサーズマウントアダプターを使用)を含めれば、充実したAF対応パンケーキレンズのラインナップが揃うのだが、いかがだろうか。

 


  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
DMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約6.7MB / 4,128×2,752 / 1/125秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 17mmDMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約6.3MB / 4,128×2,752 / 1/1,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 17mm
DMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約4.6MB / 4,128×2,752 / 1/320秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:曇り / 17mmDMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約5.1MB / 4,128×2,752 / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 17mm
DMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約5.6MB / 4,128×2,752 / 1/500秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 17mmDMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約5.6MB / 4,128×2,752 / 1/1300秒 / F9 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 17mm
DMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約4.5MB / 4,128×2,752 / 1/5秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 17mm(フィルムモード:バイブラント)DMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約4.6MB / 4,128×2,752 / 1/6秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 17mm(フィルムモード:バイブラント)

・最短撮影距離

DMC-GH1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / 約4.7MB / 4,128×2,752 / 1/500秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 17mmDMC-GH1 / LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約4.4MB / 4,128×2,752 / 1/160秒 / F5.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 140mm




本誌:折本幸治

2009/7/17 00:00