交換レンズ実写ギャラリー
富士フイルムXF 55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS
Reported by澤村徹(2013/7/10 00:00)
XF 55-200mm F3.5-4.8 R LM OISは、富士フイルムXマウント待望の望遠ズームレンズだ。35mm判換算で84-305mmに相当する。2012年11月に登場したXF 18-55mm F2.8-4 R LM OISにつづき、Xマウントのズームレンズとしては2本目となる。
大半のミラーレス機はズームレンズをメインにラインナップしているが、富士フイルムXシリーズは他と一線を画し、単焦点レンズ主体のラインナップだった。これは画質を重視するための布陣だろう。ズームレンズでもその方向性はブレることなく、キットレンズとは別モノの高画質望遠ズームに仕上がっている。
本レンズは重量580gと手にした瞬間ズシリとした重みに驚くだろう。重いレンズは良いレンズ、などと短絡的なことはいえないが、画質や機能性を追求すると、それが重量に跳ね返ってくるのは事実のいち側面だ。蛍石レンズに匹敵するというスーパーEDレンズを1枚、非球面レンズ1枚、異常分散レンズ2枚など、クオリティの高いマテリアルを用いている。
そうしたこだわりは描写によくあらわれており、ズーム全域にわたって色収差はよく補正され、開放からシャープでコントラストや色ノリも申し分ない。7枚羽根の円形絞りで玉ボケの形も良好だ。あえて難点を挙げるとすれば、いわゆる大口径望遠ズームではないため、より大きなボケを得るには被写体と背景の距離に工夫が必要となる。ただこれも、本レンズのウィークポイントということのほどではないだろう。
操作面ではAFの俊敏さが印象的だった。今回はX-Pro1と組み合わせて撮影したが、X-Pro1を最新ファームVer.2.04にアップデートすると、本レンズのAF速度が向上する。この環境で試用したところ、狙ったところにスッとピントが合う。本レンズは2基のリニアモーターを搭載しており、その恩恵を十分に実感できるAFパフォーマンスだった。また、AF動作はきわめて静かで、静粛性を求められるシーンでも安心だろう。
手ブレ補正は4.5段分の効果があり、テレ端では特に頼りになる。今回曇天下のやや薄暗い環境でも撮影してみたが、手ブレが気になるカットはほぼ皆無だった。手ブレ補正有効時は液晶モニターの表示が安定し、構図に専念できるというメリットもある。
リングまわりは重みのあるしっかりとした手応えが特徴だ。重量のあるレンズなので、ズームリングはかなり重めの設計になっている。カメラを下に向けても焦点距離がズレることなく、意図した焦点距離でしっかりと固定できる。ピントリングもトルク感があり、ピントの移動量に対してリングをまわす量が多く、厳密かつ微妙なピント合わせがやりやすい。絞りリングは1/3段刻みで、小気味よいクリック感が特徴だ。ブラックペイント風の風格のある外観で、X-Pro1やX-E1にバランスよく装着できるだろう。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。