フォックスファイヤー「インプロヴィス」

大型レンズも楽々収納のシティユース向けカメラバッグ

 フォックスファイヤーの「フォトレック」といえば、フライフィッシングやネイチャーフォトを中心とした、アウトドア向けカメラバッグというイメージがある。

 そのフォトレックに、シティユースをコンセプトとしたモデル「カラケート」(collocate、2万4,150円)、「プレジール」(plaisir、2万2,050円)、「インプロヴィス」(improvise、2万1,000円)が3月に追加された。今回はこのうち、最も小型のインプロヴィスを使用してみた。

 がっちりとしたシルエットや、チャコールグレイとオレンジをベースにしたデザインが特徴のフォトレックの中にあって、この3製品が異彩を放っている理由は、パッと見て同じブランドとは思えないデザインにあるだろう。

 表面は光沢のあるストライプ柄で、カラーはブラック一色。表面素材にはPVC(ポリ塩化ビニール)と合成皮革を使用しており、ポリエステル製のほかのフォトレックシリーズと比べて高級感を感じさせる。特に撥水加工が施されていると謳っているわけではないようだが、レビュー期間中は、小雨に降られても中に浸水することはなかった。

正面向かってやや左寄りにポケットを備える背面は合成皮革を使用
両側面にポシェットを備える。ストラップは脱着不可

 インプロヴィスは、ストラップをななめ掛けにして使用する。それも、バッグ本体を身体の側面で受けるというよりは、やや後ろに回して腰で受けるイメージだ。その時の使用感も考えてか、バッグ背面は全面に合成皮革を使用しており、擦れにくくなっている。

 また、機材を取り出す時は、前面か側面に回して取り出す形になる。蓋が傾斜しているので、無理な姿勢を取る必要がないのは、左右非対称なデザインのメリットだろう。

 本体から少しはみ出る形で、腰当ても備えている。この腰当ては、身体にかかる負担を肩と腰に分散するというよりも、バッグが揺れるのを抑えて疲れにくくするという役割があるようだ。実際、中に機材を入れて通勤していても、それほど疲れは感じなかった。

腰当て機材を取り出す時は、前に回すと取り出しやすい

 前面にはポケットが1つ、蓋の裏側にあたる部分にもポケットがある。また。両側面に大小のポシェットをそれぞれ備える。

 前面ポケットはA5サイズの書籍が入るくらいのサイズで、電池やホットシューカバーなど小物類を入れておくにはちょうどいいだろう。内部はメモリーカードが入るポケットが3つと、小物用のポケットを1つ備える。

 大きい方のポシェットは500mlのペットボトルを入れられる大きさだが、横幅があるので、クリップオンストロボも収納できる。小さい方は携帯電話やミュージックプレイヤーなどが入るサイズだ。どちらも着脱可能。カラビナとベルクロのループで固定されている。

脱着可能なポシェットクリップオンストロボなどを収納できる
ポシェットを取り外すと、よりスマートな印象になる蓋の裏側にもポケットがある。ファスナーを閉めた場所にカバーがあるのはうれしい配慮だ

 内寸は24.5×16.5×32cm(幅×奥行き×高さ)。底が深く、開発者によれば、通称「バケツ」と呼ばれているらしい。カタログによると、EF 70-200mm F2.8 L IS USMを装着したEOS-1Ds Mark III相当のカメラを収納できるとのこと。エントリークラスのカメラボディなら、レンズを取り外せば2台は余裕で入る容量だ。仕切り板は内部を均等に仕切っているわけではなく、初期配置は、大型望遠レンズを装着したフラッグシップ級カメラ用のホルスターといった風情だ。仕切り板の配置にも癖があるので、大型の望遠レンズを収納するのでなければ、配置を変える必要があると思う。

手持ちのズームレンズを入れてみたが、かなり余分なスペースができた全長20cm程度のレンズをカメラに装着したまま収納するのを想定しているようだ
前面ポケットショルダーパッド

 総合的には、やはり望遠レンズをメインに使用する人向けという印象を受ける。32cmという深さを最大限に活かしきるには、それなりに全長の長いレンズを収納するべきだろう。全長が短めのレンズを2段にするという手もあるが、側面からのアクセスがないため、取り出す時の手順は煩雑になる。

 また、シティユースという観点から考えると、ノートPCを収納するスペースも欲しいところだ。

 しかし、アウトドア向けバッグをデザインしているメーカーというだけあって、身体に負担をかけないための工夫は秀逸。側面の収納部も、よくあるメッシュのポケットではなく、脱着可能なポシェットにしたという点は気の利いたデザインだと思う。

 鉄道や建造物の撮影など、望遠レンズを使う機会が多いならば、ぜひ検討してみてほしい一品だ。



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2009/5/27 00:00